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ラグビー コラム 2023年4月1日

【ハイライト動画あり】桐蔭学園、FWで東福岡を上回り4度目の優勝。全国高校ラグビー選抜大会

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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4度目の優勝を果たした桐蔭学園

3月31日(金)、埼玉・熊谷ラグビー場で第24回全国高校ラグビー選抜大会の決勝戦が行われた。4年ぶり4度目の優勝を目指す関東王者・桐蔭学園(神奈川)と2年ぶり7度目のタイトルを狙う花園王者で、九州Aパート王者の東福岡(福岡)とが激突した。

昨年は県予選決勝で敗退し、花園に出場できなかった桐蔭学園は、「立って縦につなぐ」を大会のテーマに掲げて準決勝では國學院栃木(栃木)に51-7で快勝。一方、準々決勝の反省から「入り10分」に集中した東福岡も、準決勝は近畿大会準優勝の常翔学園(大阪)に58-17で快勝して決勝に駒を進めた。なお、両者は2年前の決勝でも対戦し、東福岡が46-31で勝利していた。

春を感じさせる快晴の中、東福岡ボールで試合はキックオフされた。前半開始早々、準決勝に続き、試合の入りに集中していたモスグリーンの東福岡が力を発揮する。

SO(スタンドオフ)井上晴生(2年)を中心にボールを展開し、リズムをつかむ。前半4分、相手陣30m付近のラインアウトからサインプレーとオフロードでつないで、WTB(ウイング)西浦岳優(2年)が中央右にトライ。ゴールも決まって7点を先制する。

東福岡、再びWTB西浦がトライ

さらに攻撃の手を緩めない東福岡は9分、相手陣20m付近のラインアウトからボールを継続、最後はオフロードパスを2本つないで、再びWTB西浦がトライを挙げて12-0とした。

桐蔭学園のFB吉田のPGで得点を重ねる

だが、桐蔭学園も「想定内だった」(主将NO8城央祐/2年)とパニックになることはなかった。接点で上回りだすと、徐々に東福岡に反則が増えて桐蔭学園のペースになっていく。15分のPG(ペナルティゴール)は外したが、19分はFB(フルバック)吉田晃己(2年)がPGを決めて、3-12として反撃を開始する。

桐蔭学園のLO中森がトライ

22分にはビッグプレーが生まれる。自陣に攻め込まれていたが、ラックからこぼれたボールをPR(プロップ)井吹勇吾(2年)が拾い上げてゲインしてパス。乱れたもののLO(ロック)中森真翔(2年)が足にかけて、自らキャッチして40mを走りきって中央にトライ。ゴールも決まって2点差に追い上げる。

第24回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会

【ハイライト動画】決勝 桐蔭学園 vs. 東福岡

30分には再びFB吉田がPGを決めて、2トライ先制された桐蔭学園が13-12と逆転して、前半を折り返した。

ハーフタイム、「立って縦につなぐ」をテーマとしていた桐蔭学園だったが、相手の圧力の前に出てオフロードパスすることができなかったため、「FW(フォワード)は当たってからレッグドライブしよう」と修正した。するとFWが塊となってしっかり前に出ることができるようになり、後半の入りは桐蔭学園が主導権を握る。

後半、桐蔭学園FB吉田のトライ

後半3分、桐蔭学園FWが前に出て、相手の反則をもらいアドバンテージの中、ハーフウェイライン付近からFB吉田が裏へキックし、そのボールを自らキャッチ。最後は相手をかわして飛び込んで左中間にトライを挙げて20-12と突き放す。

さらに11分にはFWがじわじわ前に出て、最後はPR前田麟太朗(2年)が左中間にねじ込んでトライ。さらに20分、FWで攻め込んだ後、左大外に展開し、WTB田中健想(2年)がトライを挙げ、34-12として勝負あり。

ノーサイド、桐蔭学園が4度目の優勝

東福岡も27分にFB隅田誠太郎(2年)が1本返したが、そのままノーサイド。『東の横綱』桐蔭学園が34-19で勝利し、4年ぶり4度目となる春の王者に輝いた。なお、桐蔭学園が全国大会の決勝で東福岡に勝利して優勝したのは初となった。

東福岡の高比良主将

冬の花園に続いて春の制覇を狙ったが、昨年に続いて決勝で敗れた東福岡のキャプテンNO8(ナンバーエイト)高比良恭介(2年)は「前半の10分は最高の形だったが、PGで点差を詰められた。後半の入りでトライを取られたのがきつかった。(後半)自分たちがPGでも先に取れたら流れが違った。(冬に向けて)ウェイトトレーニング、ディフェンスなど全部、もう1回見直していきたい」と前を向いた。

藤田雄一郎監督は「大会通じてこれだけ成長するとは思わなかった。(接点が)やれないと桐蔭学園に対抗できない、東福岡のラグビーができない。(花園まで)あと9ヶ月、(今の段階で)ここまでできるんだ、と楽しみではあります。最後に負けたこともいいエッセンスになったと思います」と悔しそうに振り返った。

桐蔭学園は選抜4度目の優勝

優勝した桐蔭学園のキャプテンNO8城は「優勝できてシンプルに嬉しいです。(昨年は)花園予選で負けて悔しい思いをしたが、今、ここに来られているのは去年の1年があったから。自分たちの代はとても仲が良く、上も下もなく関係なく、言い合えるチームで、応援してくれる選手も一体となって日本一になれた。自分が勝ちたい気持ちをあらわにしてやってきたので、これからも自分についてきてほしい」と笑顔を見せた。

冬の花園で3回、春の選抜で4度と7回目の全国制覇となった桐蔭学園の藤原秀之監督は「ヒガシ(東福岡)さんに(決勝戦で)勝った記憶は花園でも熊谷でもないので、新しい歴史を作ってくれた。今日は2トライ先に取られて、もう1本取られたら流れが相手にいったかもしれないが、(そこから逆転して)いい経験となった」。

「まだ雑なところもあったが、自分たちのやることはできた。ここまではある程度の準備しかしていない。これから先はどう成長していくかという逆算をしたい。まだまだケガ人もいますし、部内でポジション争いも始まるので楽しみな1年になる」と先を見据えた。

今年の春はFWの前に出る力でライバルを上回った桐蔭学園が強さを見せた大会となり、冬の花園は桐蔭学園を軸に展開されることは間違いないだろう。東福岡、大阪桐蔭、常翔学院、國學院栃木などのライバルも、冬まで力を付けてどこまで春の王者に迫れるか。桐蔭学園の成長と合わせて、今から楽しみにしたい。

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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