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【ハイライト動画あり】イエロー2枚の逆境も克服!ワイルドナイツがヴェルブリッツ相手に貫禄。ジャパンラグビーリーグワンD1第13節
ラグビーレポート by 多羅 正崇トヨタヴェルブリッツ vs. 埼玉ワイルドナイツ
この日1位(12戦全勝/勝点54)の埼玉ワイルドナイツは、ロケット・スタートを決めた。
「ボールを手放したとしても、ディフェンスから取り返す、ということを確認していました」(ワイルドナイツ、HO坂手淳史キャプテン)
その意思統一は開始直後から発揮された。
開始直後のラインアウトでいきなり防御裏へショートパント。ボールを手放したが、FL福井翔大が即座にジャッカル。
ここでPG(ペナルティゴール)により3点先取。リーグ最強の守備力から先制点を奪った。
ジャパンラグビーリーグワンD1(ディビジョン1)第13節。
3月25日(土)、愛知・豊田スタジアムで、7位(5勝7敗/勝点24)のトヨタヴェルブリッツは、昨季王者相手に序盤からディシプリン(規律)に苦しんだ。
先制点を奪われ、さらに前半7分にPGで3失点。
自陣で反則を重ねる悪循環のヴェルブリッツに対し、ワイルドナイツは前半12分にフォワード戦で1本目のトライ。開始13分で13点をリードした。
「前半はペナルティが多くなって、主導権を渡してしまいました」(ヴェルブリッツ、FL姫野和樹キャプテン)
対するヴェルブリッツはSOウィリー・ルルーがキック合戦で存在感。的確なキック処理、キック「50:22」(前半27分)でチャンスメイクした。
潮目の変化は、前半40分過ぎに訪れた。
「前半はフィールドのポゼッションを勝ち取っていましたが、前半終了間際、思わぬ事が起きました」(HO坂手キャプテン)
ワイルドナイツのLOルード・デヤハーが、ラックにおいて寝たままプレー。不当なプレーにより即座にイエローカード(シンビン)となった。
前半のテリトリーが35%に留まったヴェルブリッツ。ラインアウトにおける3回のロスト、8回のペナルティが響いていたが、潮目が変わった。
ここで右コーナーに入ったヴェルブリッツは全員モール。
ホストの大歓声を受けながら前進し、HO彦坂圭克がトライでチーム初得点。コンバージョン成功で5点差(7-13)。追い上げムードで後半へ入った。
ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1
【第13節ハイライト動画】トヨタヴェルブリッツ vs. 埼玉ワイルドナイツ
後半開始後も14人のワイルドナイツ。しかし――
「ディフェンスのブレイクダウンは『14人でも戦えるな』という手応えはありました」(HO坂手キャプテン)
ワイルドナイツは後半4分、FLラクラン・ボーシェー、PRヴァルアサエリ愛がダブルでジャッカル。数的不利を感じさせない堅陣を魅せた。
ところが、ようやく15人に戻ったワイルドナイツは後半11分だった。
守備側のPRヴァルアサエリ愛の頭部が相手と衝突。関谷惇大レフリー、藤実TMO担当が協議し、イエローカードが提示された。
後半20分頃まで、ふたたび14人で戦うことになったワイルドナイツ。
ここで堀江翔太がリザーブ組の一番手として途中出場。有利であるはずのヴェルブリッツだが、モールで取り切れず、フェーズプレーでもトライを奪えなかった。
「14人になった時間が2度ありましたが、一人ひとりがコミュニケーションをとり、素早く立ち上がって動く、という点を頑張ってくれました」(HO坂手キャプテン)
反対に後半19分、ヴェルブリッツが自陣で反則。ワイルドナイツのPG成功で、点差は「6」から「9」に広がった。
「数的優位の大事なところで焦ってしまい、ミスが響きました。意思疎通の部分です。サインミスもありました」(FL姫野キャプテン)
ただ後半23分、前節サヨナラのコンバージョンを外していたFBティアーン・ファルコンが高難度のPGを成功。ふたたび6点差(10-16)とした。
ここでワイルドナイツを後押ししたのは、スクラムの一貫性だ。
2連続のスクラムPKで有利に立ち、この日プレースキック成功率100%の松田力也が決定的なPG成功。
残り5分で、リードを9点(19-10)に広げた。
一縷の望みにかけるヴェルブリッツだが、試合時間残り4分で痛恨のノックオン。
少しでも得点したい場面で、ブレイクダウンで反則を犯し敗色濃厚に。最後は自陣でのミスにより、19-10というスコアでノーサイドを迎えた。
8敗目(5勝)を喫したヴェルブリッツは8位に順位を落とした。ベン・ヘリングHC(ヘッドコーチ)は、レスリングのような試合だった、と振り返った。
「天候の影響があり、レスリングのような身体をつかう試合になりました。ワイルドナイツはテンポを上手にスローダウンさせていました。特にセットピースの部分です」
「キックバトルはコントロールできていました。結果は残念ですが、今のチームは一丸として戦っています」と結束は評価していた。
ヴェルブリッツの次戦は、勝点4差で追走している10位。入替戦圏内にいる三菱重工相模原ダイナボアーズと4月8日(土)、岐阜で迎え撃つ。
開幕13連勝、無敗のワイルドナイツはリーグ3試合を残し、4強によるプレーオフ(優勝決定戦)に一番乗り。
2枚のイエローを受け、約20分間14人だった昨季王者だが、それでも守備網は崩れなかった。
指揮官は「タフな試合だった」と振り返った。
「終盤に自分たちで勝利への道を探し当てていた。相手は失うものはないと向かってきて、激しいプレッシャーでした」(ワイルドナイツ、ロビー・ディーンズ監督)
ワイルドナイツの次戦は同じく4月8日(土)、まだ入替戦行きの可能性がある6位(5勝8敗)のブラックラムズ東京との一戦。地元熊谷でのホストゲームが待つ。
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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