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アーロン・スミスとボーデン・バレット、トヨタヴェルブリッツに来シーズンやって来る2人のオールブラックスが会見。ジャパンラグビー リーグワン
ラグビーレポート by 斉藤 健仁アーロン・スミス(左)とボーデン・バレット
3月22日(水)、2023年秋に行われるラグビーワールドカップの終了後、来シーズンのリーグワンからトヨタヴェルブリッツに加入することが発表された2人のオールブラックス、SH(スクラムハーフ)アーロン・スミスと、SO(スタンドオフ)ボーデン・バレットが、ニュージーランドからオンラインでの会見に応じた。
オールブラックスのSHとして最多の114キャップを誇るスミスは冒頭、「来年から始まるこのチャンスに、とても感謝しています。このクラブで、かつて(ハイランダーズで)チームメイトだった姫野和樹とまた一緒にプレーできることをとても楽しみにしている。そして、家族を連れて新しい土地で、文化や、スピードが速いスキルの高い日本のラグビースタイルを吸収する機会を得たことは、私にとってエキサイティングな挑戦です」と語った。
オンラインで会見するアーロン・スミス
ヴェルブリッツに入団を決めた理由についてSHスミスは「キャリアを重ねるにつれてニュージーランドとは違った環境でチャレンジしたいと思っていた。(前オールブラックスのHC、現ヴェルブリッツのディレクター・オブ・ラグビーの)スティーブ・ハンセンとまた一緒にやれるということは、私にとって大きなポイントであり、魅力的な要素でした。
ヴェルブリッツのプレースタイル、ベン・ヘリングHCはハイランダーズで一緒にやったことがあり、彼のプレースタイルをとても気に入っています。そして、このクラブで歴史を作ろうとする機会も理由です。タイトルを目指すということは、私にとって大きな原動力となる」と説明した。
SHスミスはハイランダーズでチームメイトだった姫野と連絡を取り合っていることを明かし、「(姫野からは)すでに、私が日本での暮らしになじめるように、子供を連れて行ける場所や、ディナーの後などに行ける場所についてメッセージをもらっている」。
「彼がダニーデンに来たときは案内して、彼が現地に溶け込めるようにサポートしてあげました。カズには(自分がダニーデンでしてあげたことの)恩返しのつもりで、いろいろな場所を案内してもらったり、世話をしてもらったりするつもり」と笑顔を見せた。
ボーデン・バレット
一方、2021年に東京サントリーサンゴリアスでトップリーグをプレーした113キャップのSOバレットは、再び、日本でプレーを決めたことに関して「私は日本のことをよく理解していますし、家族としても、前回のコロナ禍の下で経験したこと以上に、日本に戻りより多くの貴重な経験ができることを楽しみにしています」。
「前よりもっと外に出ることができるでしょう。それから新しいチームメイトとの出会いや、親交の深いヘッドコーチやハンセンとの再会、そしてもちろん、ベン(・ヘリングHC)やチームと一緒にやれること、楽しみなことがたくさんあります。そして、親友のアーロン・スミスとも一緒にやれるので、とてもエキサイティングです」と再び来日してプレーすることの喜びについて語った。
さらに古巣ではなく、新たにヴェツブリッツでのプレーを決めた理由についてバレットは「『人』が重要だったのです。スティーブがディレクター・オブ・ラグビーに就任し、その話を聞いて惹かれました。スタッフも、チーム全体もそうです」。
「スティーブはとても説得力がありましたし、何度か話をしたのですが、私は以前サントリーでプレーしたことがあり、クラブを変えることを決意するのは簡単ではありませんでした。でも、目の前の選択肢の中で、ヴェルブリッツは僕にとって最良だと思いました。そして、アーロンが行くことがわかったので、私自身もとてもスムーズに決めることができた」と話した。
2024年以降のオールブラックスでのプレーについて、34歳のアーロンは「今は2023年、今年のワールドカップに選ばれるためにできることをすべて出し切る。そして、それが現段階で私ができることのすべてです。そうして、新たな挑戦のために、新鮮な気持ちで、準備万端で、ワクワクしながら日本に来ることになるでしょう」と答えた。
一方の31歳のバレットは「トップリーグでプレーしたとき、多くのことを学びました。自分のプレーに役立つし、ニュージーランドに戻ってプレーすることになれば、その経験を活かしてニュージーランドのチームにも貢献できる。そうですね、検討する余地はたくさんありますね。私のプロとしてのキャリアは、まだまだ続くと信じています」と2024年以降も代表でプレーすることに前向きな姿勢を見せた。
ヴェルブリッツでどんなプレーをしたいか聞かれて、SHスミスは「年長のアスリートとして、これから出てくる若いSHたちを手助けすることであり、スキルだけでなく、勝利の文化、つまり日々の勝利を目指す意識を作り上げたい」。
「SHとして選手の長所と短所を把握し、ボールキャリーやラインランニングなど、自分たちの強みを生かしながら、選手にパスを出したい。また、バレットや姫野とも良い関係性があるので、すべての強み、特に大きなボールを運ぶフォワードパックやスキル、そしてゲームの中でチャンスを提供することを目指したい」と語気を強めた。
東京サントリーサンゴリアス在籍時代、ヴェルブリッツと対戦した経験のあるSOバレットは「(ヴェルブリッツの印象は)フィジカルで、セットプレーがとても強かった。アーロンと私にとっては、フェイズプレーのアタックとディフェンス、そしてセットプレーからの攻撃オプションのクリエイティビティをどのように実行するのか。マネジメント陣や選手と協力し、現在のチームから最高のものを引き出すことができればと思います」と力を込めた。
トップリーグ時代からリーグ戦ではトップ4に入っても、なかなかタイトルが獲得できていないヴェルブリッツ。オールブラックスなどで経験したウィニングカルチャーをどのようにもたらし、タイトル奪取に貢献できるのか。
SOバレットは「ウィニングカルチャーは、良い習慣や規律を作ること、良い人間であること。競争の激しい環境での一貫性を育むことです。自分の仕事を楽しみ、毎日欠かさずトレーニングし、それを楽しむ。スティーブがオールブラックスのHCを務めていたときも、そんな感じでとても実直でした。ハードワーク、誠実さ、そしてお互いを信頼すること、これらの重要な価値観が私たちの成功に不可欠でした」と話した。
また、SHスミスは「(ヴェルブリッツに)自分たちが入ってきて、できることをプラスしていくことが目的です。私たち全員がチームを最優先し、毎回全力で取り組み、弱音を吐かなければ、結果はおおむね思い通りになるし、厳しい状況に陥ったとしても、より早く立ち直ることができる。スポーツに保証などありませんが、学び、成長できる環境を作ることが大切です」と自らの経験を交えて話した。
来日したら「とんこつラーメンが食べたい!」と話した2人。SOバレットは「(ヴェルブリッツに来たら)一緒に食事をしたり、お酒を飲んだり、人としての性格を理解することで、フィールドでのパフォーマンスも向上すると思いますし、ラグビーのフィールドでコミュニケーションを取り、そしてフィールド外でのつながりを深めることがとても重要だと思います」と今からチームメイトとの交流を楽しみにしている。
2015年ワールドカップでオールブラックスを優勝に導いたハンセン氏の下、来季のヴェルブリッツにはオールブラックス100キャップを越えるSHスミスとSOバレットというハーフ団が加わる。国際経験豊富で、勝ち方を知る2人がヴェルブリッツの柱となることは間違いない。今から2人がどんなプレーを見せるか想像するだけで、楽しみでならない。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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