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ラグビー コラム 2023年3月20日

【ハイライト動画あり】白熱のキッキングゲーム。2位スピアーズ×3位イーグルスはロースコア決着!ジャパンラグビーリーグワンD1第12節

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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ファフ・デクラーク(横浜キヤノンイーグルス)

序盤からハイレベルなキッキングゲームが展開された。

「前半は、ボールは手放すけれど、プレッシャーを掛けて取り戻す、というプランを遂行できていました」(横浜キヤノンイーグルス、CTB梶村祐介キャプテン)

継続ラグビーには不向きな雨中戦だった。

前半8分、イーグルスのSO田村優が一次攻撃でハイパント。ランナーは攻守交代を狙ってキックをチェイスし、捕球する相手に殺到した。

しかしクボタスピアーズ船橋・東京ベイも準備万端だった。

「キッキングゲームになると分かっていました」とは、スピアーズのCTB立川理道キャプテンだ。

「相手はコンテストキックを蹴ってきましたが(スタンドオフの)バーナード・フォーリーや、バックスリー(ウイングとフルバック)が上手くカバーしてくれました」

前半8分のSO田村のハイパントは、備えていたオーストラリア代表のSOフォーリーが捕球。タックルを受けながらもオフロードパスで攻守交代を巧みに回避した。

ここでボールを受けたWTB木田晴斗がカウンター。SOフォーリーが蹴り返すと、そのキックを南アフリカ代表の相手SHファフ・デクラークがカバー。豪華メンバーによる高度なキック合戦だった。

ジャパンラグビーリーグワンのD1(ディビジョン1)第12節。

2位(9勝1分1敗)のスピアーズが3月18日(土)、本拠地「えどりく」(東京・江戸川区陸上競技場)での15連勝をかけ、3位(7勝2分2敗)のイーグルスと激突。

大注目の上位対決はロースコアの熱戦となり、前半に動いたスコアは5点に留まった。

ボールが滑るコンディションで、お互いにノックオンが多発。必然的に増えたプレー再開のスクラムでも一進一退となり、このまま前半無得点で終わるかと思われた38分。

スピアーズが、スコアを動かした。

「前半の最後、大事な時間帯にフォワードがモールを押してくれました」(スピアーズ、CTB立川キャプテン)

契機はイーグルスのSHデクラークの反則(ペナルティ)。

ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1

【第12節ハイライト動画】クボタスピアーズ船橋・東京ベイ vs. 横浜キヤノンイーグルス

スクラムで相手SH谷口和洋のパスを足で止めたプレーを見て、久保修平レフリーが笛。

ここから敵陣右に侵入したスピアーズは、2度目のラインアウトで22m付近から強力モール。

雨中戦にける堅実なプレー選択が奏功し、HOマルコム・マークスがスコア。5-0で前半を終了した。

「こういう展開でバックスを一人失うのは命取り。ペナルティをしてしまうと相手に流れをもっていかれてしまう」(イーグルス、沢木敬介監督)

イーグルスの指揮官がそう振り返ったのは、後半6分のシンビンだ。

キック処理に奔走していた相手SOフォーリーに対し、プレッシャーをかける役目があったのだろう。激しく圧力をかけていたWTB竹澤正祥が空中にいたSOフォーリーとコンタクト。

キッキングゲームで重責を担うウイングの一人が、10分間の退場となってしまった。

「イエローカードもあって、流れがくると思いました。チャンスがきたときにスコアできました」(スピアーズ、CTB立川キャプテン)

数的優位となったスピアーズは後半12分、HOマークスがラインアウトのサインプレーからロングゲイン。

一度はボールを失ったが、イーグルスがゴール前ラインアウトでボールコントロールを失う。強奪したLOルアン・ボタが目の前のインゴールに突進し、殊勲の2トライ目を奪った。

しかしイーグルスも粘る。

骨惜しみしないハードワークが光った。14人の間に7点を失ったが、後半18分過ぎのピンチでは相手の怪物プロップ、オペティ・ヘルの突進を再三防いだ。

ただ試合巧者のスピアーズは後半22分、PG(ペナルティゴール)で3点追加。リードを2トライ2ゴールでも届かない15点に広げた。

イーグルスの転機は73分46秒のスクラムだ。

相手のフロントローは途中出場のオペティ・ヘル、南アフリカの有望HOスカルク・エラスマス、スクラム猛者のPR紙森陽太。

イーグルスは、前半31分からスクランブルで途中出場したHO川村慎、同じく途中出場だったPR安昌豪、PR津嘉山廉人。この3人を最前列に並べたスクラムで、ペナルティを引き出した。

この会心のスクラムから前進したイーグルスは敵陣で粘り、最後は後半37分にシオネ・ハラシリがモールからスコア。

しかし残り時間は少なく、注目の「2位×3位」対決は、15-5というロースコアで決着した。プレイヤー・オブ・ザ・マッチにはスピアーズのLOルアン・ボタが選出された。

3敗目を喫したイーグルス。ただ沢木監督は「下を向く必要はない」と言った。

「今日はボールを動かすのが難しかったです。前半も後半もミスが(得点に)直結するのがこういう日」

「練習で確認はしていましたが、スピアーズさんの方が遂行力が上だったということ。下を向く必要はない。次のターゲットに向けてハングリーにやっていきたい」

4位の座は守ったイーグルスだが、今後リーグ戦で直接対決のない5位ブレイブルーパスが今節勝利し、勝点3差(38-35)に迫ってきた。

重要な「次のターゲット」は3月25日(土)、大分で行われる花園近鉄ライナーズ戦だ。

一方、上位対決を制したホストのスピアーズ。えどりくでの連勝は「15」に伸びた。

「この天候(雨)でランニングラグビーはできなかったので、フォワードバトル、キックバトルをどれだけコントロールできるかが重要でした」

「結果に対してはハッピー。リーダー陣もしっかりリーダーシップを取ってくれました」(スピアーズ、ルディケHC)

次戦は3月26日(日)のコベルコ神戸スティーラーズ戦。舞台は東大阪市花園ラグビー場だ。

近年は毎シーズン、チームベストを更新している印象のスピアーズ。その視線はプレーオフ進出、さらに、その先の悲願達成へと向けられている。

文:多羅 正崇
多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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