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写真提供:東芝ブレイブルーパス東京
今日、3月8日でラグビーワールドカップ開幕までちょうど半年。東芝ブレイブルーパス東京でプレーする、4度目の出場を狙う77キャップの日本代表FL(フランカー)リーチ マイケルと、20歳で初出場をうかがう6キャップのLO(ロック)ワーナー・ディアンズが会見を行った。
出場すれば自身4大会目のワールドカップとなるリーチは「今はリーグワンのシーズンの真っ最中なので、ブレイブルーパスでのプレーに集中していますが、頭の奥に、ワールドカップがあるのは常に意識をしている。前回の半年前は、まだ合宿がたくさんあって、ウルフパック(※日本代表候補の特別編成チーム)もありましたが、今回は(リーグワンの)シーズンの最中に半年前なのですごく短い感じがする」と今の心境を吐露した。、
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4度目の出場を目指すリーチ マイケル
2019年の日本大会終了後、コロナ禍もあり、日本代表の活動ができない時期もあったが、「(ワールドカップを経験した選手に加えて)新しい選手のレベルの高さがプラスになっている。ジャック(・コーネルセン)、ディラン・ライリー、ベン・ガンター(いずれも埼玉ワイルドナイツ)、(サナイラ・)ワクァ、(シオサイア・)フィフィタ(ともに花園ライナーズ)、中野将伍(東京サンゴリアス)、ワーナーとか、たくさんいい選手が出てきて、それはコロナに関係なく、運良くそういう選手が出てきたのはよかった」と前向きに答えた。
ただ、一方でコロナの影響でテストマッチなどが少なくなり、2大会でスキッパーを務めた経験のあるリーチは「試合数が少なくなったことはマイナス。チームの入れ替えができず、なかなかチャンスをつかめない選手もいる」とも語った。
残りの半年間をどう過ごすか。今季、リーグワン開幕から10試合連続で出場しており、良いパフォーマンスを続けているリーチは「シーズンが始まった時に、1試合1試合レベルアップできるようにしたくて、また身体を大きくしてやろうと思っていた」。
「毎試合レベルアップしたところも、できてないところもあり、あと身体を大きくしすぎた。現時点では何をやらないといけないかが明確になって、身体をもっとシャープにして、ワークレート高くすることを今一番意識してやっています。あと、コンタクトエリアで負けないように、そういう意識をしている」と語気を強めた。
日本代表のジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)とは、2月のミーティング合宿や、1対1のミーティングで顔を合わすことが増えたという。「細かいところだけの修正をしていて、あまりハードワークをしすぎないように。周りのことでなく、自分のことを集中して質を高くやれば、もっと効率的にできるのでは、というアドバイスをもらった」。
リーグワンが終わったら一度、母の母国・フィジーに戻ってリフレッシュしてワールドカップに臨みたいというリーチ。34歳で迎える4度目の大会は「僕は最後だと思っていない。ただ、毎回毎回のワールドカップはスペシャルで、ベストを尽くしたいという思いがある。歳を取ったからといって最後と言わないし、本当にベスト尽くしたい」と意気込んだ。
過去3大会と比べて「このチームが一番ポテンシャル高い」と自信をのぞかせているリーチは「ワールドカップというものは、ベストのベストでテストする場所だと思う。一番高いプレッシャーの中、一番強い選手が集まった中で、どれくらいできるかというレベルを測るところだと思う」。
「また、日本ラグビーを紹介する場だと思う。日本のラグビーが世界一素晴らしいというのを伝える場所。あとは日本代表、日本の選手が強いというのを証明する場所でもある。たくさん日本の高校生、中学生、クラブラグビーをやっている人がハードワークしているから、日本代表もハードワークする。その努力が無駄じゃないというのを証明したいし、そういう特別な場所だと思う」と力を込めた。
続いて、昨年の日本代表で最年少(20歳)のLOディアンズは、初のワールドカップ出場への思いを聞かれて「ワールドカップのことは考えてはいないですが、ちっちゃい頃から夢だったワールドカップに出ることが近づいてきているので、楽しみにしています」と笑顔を見せた。
初出場を目指すワーナー・ディアンズ
小さい頃はニュージーランド代表の黒のジャージーを着たかったが、今は変わったという。流通経済大学柏高校2年だった4年前の日本大会の時は、4年後に自分が出るイメージは全くなかったが、今は「ワールドカップの試合はラグビーの世界で一番大きいし、会場の盛り上がりや、ファンがたくさん見てくれると思うし、それがまたチャレンジになるからすごい楽しみにしている」と話す。
この4年間で自身が成長を感じていることを聞かれて「一番大きくなったのはたぶん身体じゃないですか?あとはプレーの成長だとコンタクトのエリア。アタックでもディフェンスでも前に出られるようになった。リーグワンでいいパフォーマンスをして、合宿でもアピールできればワールドカップに出られるチャンスはある」と胸を張った。
合宿やミーティングでジョセフHCと話す機会も増えており、「一番言われているのは、ボールを持ってないところでのスピード。セットアップのスピードとか、早く戻ってラインに入ることとか、そういうボール持ってないところのスピードです」と話した。
昨秋はオールブラックス戦、イングランド代表戦にも出場し、「最近はボールキャリーに自信を持ってプレーができている」。一方で自分に足りないところはと聞かれると、「メンタルのところ。ラグビーの世界で一番大きなステージの試合で戦う、それがすごくメンタル的にはタフだと思うし、まだ若いのでもうちょっと試合で経験をしないといけない」と話した。
大きな舞台でもあまり緊張こそしないものの、以前NECのS&Cコーチを務めていた父のグラントさんにも考えすぎることを指摘されたという。「(そういう時は)仕事に集中して、自分のやらないといけないことをシンプルにやっていく。とりあえず次のラインアウトや、次のスクラムに集中して、それが終わって次のプレー、とそれだけに集中する。そこから1個ずつのプレーを考える」。
初めてのワールドカップの舞台に立ったら「フィジカルでは負けない。アタックでもディフェンスでも前出て身体を張ります!」と語気を強めた
同じニュージーランドのクライストチャーチ出身で、ブレイブルーパスでのチームメイトでもあるリーチとディアンズ。日本代表のFWの大黒柱と新鋭はともにリーグワンで個人のレベルを上げてチームの勝利に貢献しつつ、9月8日の開幕に向けて個の能力を研ぎ澄ませていく。
文:斉藤健仁/写真提供:東芝ブレイブルーパス東京
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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