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【ハイライト動画あり】東京サントリーサンゴリアスが8連勝。静岡ブルーレヴズは大学4年生2人の躍動が収穫。ジャパンラグビー リーグワン第9節
ラグビーレポート by 斉藤 健仁静岡ブルーレヴズvs.東京サントリーサンゴリアス
A・Bのカンファレンス交流戦が行われている「NTTジャパンラグビー リーグワン」のディビジョン1。後半戦のスタートとなる第9節が行われた。25日(土)、静岡県・ヤマハスタジアムでは、ホストの8位・静岡ブルーレヴズが、3位につける強豪・東京サントリーサンゴリアスを迎えた。
今季は接戦をするものの、なかなか勝ちきれないブルーレヴズ。前節のコベルコ神戸スティーラーズ戦では、試合終了間際に逆転を許し29-32で5敗目を喫した。堀川隆延HC(ヘッドコーチ)は、スティーラーズ戦からFW(フォワード)1名、BK(バックス)4名の先発を変えた。
今季から始まった大学4年生が試合に出場できる「アーリーエントリー制度」でSO(スタンドオフ)家村健太(京都産業大学4年)、WTB(ウイング)槇瑛人(早稲田大学4年)の2人が初先発。
他にはNO8(ナンバーエイト)のキャプテンで、南アフリカ代表のクワッガ・スミス、日本代表HO(フッカー)日野剛志、1年目のFL(フランカー)ジョーンズリチャード剛(東海大学出身)、ニュージーランド出身のSH(スクラムハーフ)ブリン・ホールらが引き続き先発した。
一方、開幕戦ではクボタスピアーズ船橋・東京ベイに敗れたものの、その後は連勝を続けてきた東京サントリーサンゴリアス。前節は苦しみながらもリコーブラックラムズ東京を18-7で退け7連勝。しっかりとプレーオフ進出圏内の3位につけている。
田中澄憲監督は、FW3名、BK2名を入れ替えた。バックローは、FLは先週と同じく下川甲嗣、新人の山本凱(慶應義塾大学出身)が務め、NO8は日本代表テビタ・タタフが控えとなり、今季好調の箸本龍雅となった。前節POM(プレーヤー・オブ・ザ・マッチ)に輝いた中村駿太が引き続き2番を背負った。
BKは、ハーフ団には共同キャプテンのSH齋藤直人、SOは田村煕が第2節以来の復帰となる。FBには日本代表の松島幸太朗がベンチに下がり、前節WTBでプレーした現在トライランキングでトップに立つ尾崎晟也が入った。
ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1
【ハイライト動画】第9節 静岡ブルーレヴズ vs. 東京サンゴリアス
両者の対戦は、リーグ戦では2008-09年シーズンまではブルーレブズ(当時はヤマハ発動機ジュビロ)が5勝1敗と大きく勝ち越したが、以降はすべてサンゴリアスが勝利している(2014年度の日本選手権ではヤマハ発動機がサンゴリアスを退けて優勝した)。
セットプレーのブルーレヴズか、アタッキングラグビーのサンゴリアスか。2月25日(土)、強い風が吹く中、静岡県・ヤマハスタジアムで4552人の観客が集い、午後2:30にキックオフされた。
試合はSO家村、WTB槇ら、若き力が先発したホストのブルーレヴズが先制する。前半12分、相手の反則からゴール前のラインアウトのチャンスを得て、モールを押し込み、最後はSHホール、NO8スミスとつないで左隅にトライ。5点を先制する。
この試合に向けてセットプレー、接点の練習を重ねてきたサンゴリアスも18分、負けじとモールを押し込み、HO中村が左隅に押さえて、SH齋藤がゴールを決め、7-5と逆転に成功。さらに風下のサンゴリアスはボールを継続し、最後はWTBテビタ・リー、WTB河瀬諒介とつないで河瀬がそのままトライを挙げて7点差。29分にはSH齊藤がPG(ペナルティゴール)を決めて15-5とリードして前半を折り返した。
後半、先に好機を得点に結びつけたのはリードしていたビジターのサンゴリアスだった。5分、相手陣奥でラインアウトからモールで押し込んだ後、右に展開し、NO8箸本がゲインし、最後は日本代表CTB中野将伍のオフロートパスを受けたLO(ロック)ハリー・ホッキングスが右中間にトライ。20-5とさらにリードを広げた。
2トライ2ゴール以上の点差となったブルーレヴズだが、15分、相手ゴール前で、ホストのファンの声援を受けて、チームの武器であるモールを力強く押し込んで、最後はHO日野が押さえて10点差に追い上げる。
さらにスクラムでペナルティを得たブルーレヴズ、このままペースに持ち込めるかに思われたが、サンゴリアスはボールを動かし、最後は途中出場のWTB松島、FB尾崎晟也とつないで、尾崎がトライランキングトップをキープする14トライ目を挙げて再び15点差とした。
最後にブルーレヴズも意地を見せる。WTB槇らのゲインからチャンスを得ると、サンゴリアスのCTB中野がピンチでハンドの反則をしてしまいシンビン(10分間の一時的退場)。ロスタイム、最後はブルーレヴズが8人一体となってスクラムで押し込み、ペナルティトライを獲得した。しかし、試合はここでノーサイド。25-17でビジターのサンゴリアスが勝利した。
2節目から8連勝のサンゴリアスは、3トライ差のボーナスポイントこそ得られなかったが、勝ち点4を上積みして3位をキープした。ブルーレヴズは8点差の敗戦と惜しくも勝点を挙げられなかった。POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)にはサンゴリアスのLOホッキングスが選出された。
サンゴリアスの田中監督は「ブルーレヴズは何試合も僅差の試合を落としているチームだったので、我々相手にホストスタジアムでモチベーション高く臨んでくると想定していたので、我々も危機感を持っていたが、結果も内容もその通りだった。ペナルティのところで主導権を握りきれなかった。特に後半のスクラムは誤算で有利に組めなかった」と勝利したが硬い表情だった。
キャプテンのSH齋藤も「相手はNO8スミス中心に来ると思っていたが、いいブレイクダウンはつくれたと思う。ただ、自分たちで最後までペースを握れなかった。毎節、必ず課題に上がるペナルティ、ディシプリンのところをなんとかしたい」と気を引き締めた。
連敗となり、勝ち点を伸ばすことができなかったブルーレヴズの堀川HCは「選手はいいパフォーマンスだったし、チームの成長を感じ、若い力も躍動した。ただ、勝負の面で言うと、ラスト20分の自陣でのペナルティとか踏ん張りきれないところは、今のチームの弱さ。そこは伸びシロで悲観することはない。足りなかったところを見つめ直して、次の横浜キヤノンイーグルス戦に向かいたい」と前を向いた。
キャプテンのNO8スミスも「サンゴリアスのような強い相手はチャンスにしっかりトライをとってくる。ミスやアタックのブレイクダウンのところなど、課題を改善してハードワークして次に臨みたい」と話した。
指揮官は大学生4年生ながら80分出場したSO家村、WTB槇の2人に関して「家村は2試合(練習試合で)使ってみたが、ゲームコントロールの部分で、このチームの良さをどう出すか考えてプレーできる選手で、信じて使った。サントリー相手に結果は非常に良かった」。
「槇はボールを持ったとき躍動感があった。コミュニケーションレベルが上がるともっと良い場所でボールをもらえるようになると思う。(2人とも)まだまだ若くて伸びる選手なので大事に育成していきたい」と話した。
カンファレンスAとBの交流戦は残り2節となった。連敗を止めたい静岡ブルーレヴズは、次はショートウィークで、3月3日(金)に東京都・秩父宮ラグビー場で、4位と好調を維持する横浜キヤノンイーグルスに挑む。上位2チームを追う東京サントリーサンゴリアスは、次節は3月5日(日)にホストの東京都・秩父宮ラグビー場で、10位のトヨタヴェルブリッツを迎える。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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