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ラグビー コラム 2023年2月20日

【ハイライト動画あり】トヨタヴェルブリッツ、課題残る内容も3勝目を獲得。グリーンロケッツ東葛は連敗脱出ならず。ジャパンラグビー リーグワン第8節レビュー

ラグビーレポート by 直江 光信
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高橋汰地(トヨタヴェルブリッツ)

試合後の記者会見。トヨタヴェルブリッツのベン・ヘリングヘッドコーチ(HC)は、厳しい表情でこう切り出した。

「非常にフラストレーションを感じた試合でした」

何度も波に乗るタイミングがありながら、みずからそれを手放すような戦いに終始した80分。結果的に勝ち点4を手にしたものの、逆転トライを挙げたのは残り5分の試合最終盤だった。「勝利できたことはよかったのですが、我々のプレーしたいレベルでプレーできたと思っていません」。その言葉が、まさにこの日の内容を表していた。

立ち上がりの20分は完全なヴェルブリッツのペースだった。コンタクト局面で当たり勝ち、SOウィリー・ルルー、FBティアーン・ファルコンという新しい並びの司令塔2人が判断よくプレーを組み立ててたびたび敵陣レッドゾーンへ攻め込む。しかし決定機でイージーエラーや連携ミスが重なり、何度もゴールラインに迫るもののあと一歩を押し切れない。

すると前半21分、ペナルティが2つ続いたことから一気に陣地を戻され、自陣ゴール前での相手ボールラインアウトのピンチに。キャッチ後すぐにボールを動かして組むグリーンロケッツのモールに対応できず、あっさりゴールラインを割られる。

逆にここ2戦続けて完封負けのグリーンロケッツは、3試合ぶりの待望の得点となるこのトライをきっかけに流れを引き寄せた。以降も敵陣で優勢にゲームを進め、31分にはSO金井大雪が正面のPGを成功。序盤の内容を考えれば上々といえる展開で、10-0とリードを奪う。

思うように力を発揮できず、いら立つようなシーンも散見されたヴェルブリッツだったが、前半終了間際にようやく状況を変えるビッグプレーが飛び出す。自陣からテンポよくラックを連取して敵陣へ攻め入ると、SH茂野海人のリターンパスを受けたWTBヴィリアメ・ツイドラキがラックサイドを突破。続くフェーズで右タッチライン際をWTB高橋汰地が駆け抜け、コーナーにダイブする。

相手のタックルをかわしながらワンハンドでインゴールに押さえるVTRが場内の大型ビジョンに流れると、ホストスタジアムのパロマ瑞穂ラグビー場は大きく沸いた。FBティアーン・ファルコンの難しい角度のコンバージョンも決まり、7-10と追い上げてハーフタイムを迎えた。

このトライで落ち着きを取り戻したヴェルブリッツは、サイドが入れ替わった後半も勢いを持続し、先にチャンスを作る。

47分、中盤のキックリターンを起点に切り返しのアタックで相手防御を崩し、CTBロブ・トンプソンがラインブレイク。オフロードを受けたSH茂野から内にコースチェンジしてきたSOルルーへとボールがつながり、そのままポスト下へ駆け抜ける。ゴール成功で14-10と試合をひっくり返した。

杉本悠馬(グリーンロケッツ東葛)

ヴェルブリッツにすれば一気にたたみかけたい場面。しかし開幕節以来の白星獲得に燃えるグリーンロケッツもこのままでは終わらなかった。WTB杉本悠馬が右隅に飛び込んだ54分のシーンは、グラウンディング寸前にボールが手から離れていたというTMO判定でノートライとなったが、SHニック・フィップスの巧みなゲームコントロールとひたむきなタックルを軸にテリトリー、ポゼッションとも優位に立ち、じわじわと相手にプレッシャーをかけていく。

そして63分、またもペナルティからゴール前ラインアウトの機会をつかみ、モールを一気に押し切ってFL亀井亮依がトライ。これで15-14と逆転すると、直後のプレーでヴェルブリッツのPR淺岡俊亮が危険なタックルによりシンビンに。この好機に乗じてさらに攻めたて、67分にはFBレメキロマノラヴァが正面約40メートルのドロップゴールを成功させて18-14とリードを拡大する。

残り10分でPGでは追いつけない4点差。ヴェルブリッツにとってはじわじわと追い込まれていく状況だったが、最後にもうひとつ見せ場が待っていた。

74分、中盤のキックカウンターを起点に途中出場のNO8フェツアニラウタイミが中央を突破し、サポートしたSOルルーを経由してWTB高橋がゴール前へ。後半からピッチに入ったSH 福田健太が思い切りよくラックサイドを突き、右中間にねじ込む。これが決勝点となり、ヴェルブリッツが21-18で接戦を制した。

ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1

【第8節ハイライト動画】トヨタヴェルブリッツ vs. グリーンロケッツ東葛

苦しみながらも今季3勝目を挙げ、勝ち点を14に伸ばしたヴェルブリッツ。ヘリングHCや選手が口々に語ったように、内容的にはさまざまな課題が浮き彫りになる試合だったが、今季最長の6連戦の初戦をものにできたことには、小さくない意味があるだろう。

非凡な個々の力がひとつの方向にまとまれば卓越したパフォーマンスを発揮できることは、この試合でも随所に感じられた。2試合ぶりに手にした勝利を、タフな連戦で白星を重ねていくためのはずみにしたいところだ。

一方のグリーンロケッツ。2節から続く連敗ストップはならなかったが、7点差以内の敗戦で開幕戦以来の勝ち星を手にしたことは、チームが自信を取り戻すきっかけになるかもしれない。「残念な結果の中で、学んだことも多かった。それを次の試合につなげていきたいと思います」とロバート・テイラーHC。

リーグ戦は次週から全16戦の後半戦に入る。巻き返しの機会は、まだ十分残されている。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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