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クリタウォーターガッシュ昭島 vs. 九州電力キューデンヴォルテクス
「NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23」のディビジョン3、2月12日(日)に神奈川・荻野運動公園陸上競技場で、3位につけるホストのクリタウォーターガッシュ昭島(3勝2敗、勝ち点13)が、首位の九州電力キューデンヴォルテクス(4勝1敗、勝ち点20)を迎えた。
前節、中国電力レッドレグリオンズ相手に7トライを挙げて49-22で勝利、連勝で3位につけるウォーターガッシュ昭島。ワイクリフ・パールーHC(ヘッドコーチ)は、レッドレグリオンズ戦からFW(フォワード)3名、BK(バックス)2名の先発を変更した。
主将を務めるFL(フランカー)石井洋介、現在ディビジョン3で得点ランキングトップのSO(スタンドオフ)アンドリュー・ディーガン、元7人制オーストラリア代表のCTB(センター)トム・イングリッシュらが先発した。
一方、4連勝で首位を走るキューデンヴォルテクス。前節もホストでマツダスカイアクティブズ広島に30-6と快勝。ゼイン・ヒルトンHCは、前節からFW3名、BK3名を入れ替えた。
共同キャプテンのFL高井迪郎が復帰し、NO8(ナンバーエイト)ウォーカーアレックス拓也、スコットランド代表経験を持つSOフィル・バーリー、ディビジョン3のトライランクトップタイのCTBサム・ヴァカらが先発に名を連ね、リザーブには2015年ワールドカップ日本代表のWTB山田章仁らが控えた。
両者は、昨年12月24日に行われた第2節では43-34、昨シーズンも順位決定戦で36-24といずれもキューデンヴォルテクスが勝利しているが接戦だった。ウォーターガッシュのホストゲームだっただけに、この試合もクロスゲームが予想された。
試合は午後1:00から640名の観客を集めて、ウォーターガッシュボールでキックオフされた。序盤は拮抗した状態が続いたが、徐々に自力に勝る風上のキューデンヴォルテクスペースとなっていく。
キューデンヴォステクスは前半22分、相手ゴール前ラインアウトからチャンスを得てアタックを継続。そのプレー中の23分、クリタウォーターガッシュPR(プロップ)栗山塁が、ラックで危険なプレーをしてしまい、レッドカードで一発退場となる。
ジャパンラグビー リーグワン ディビジョン3
【ハイライト動画】第7節 クリタウォーターガッシュ昭島 vs. 九州電力キューデンヴォルテクス
14人となり数的不利となったウォータガッシュだが、「持ち味はアタックなのでボールを継続しようとした」と石井キャプテンが話したように、この後アタックする時間が増えていく。だが、ウォーターガッシュは自陣からのアタックで相手のプレッシャーからミス。そのボールをキューデンヴォステクスのCTB中鶴憲章が拾い、SOバーリーにつないで先制トライ。WTB萩原蓮がゴールを決めて7点を先制する。
さらにキューデンヴォルテクスは前半終了間際、自陣のアタックからNO8ウォーカーアレックス、FLコルビー・ファインガ、再びウォーカーアレックスとつなぎ、40m走り切って中央にトライ、14点をリードして前半を折り返した。
後半も数的有利に立つキューデンヴォルテクスが、6分、相手陣奥のモールを起点にWTB萩原が近場のスペースを突いてトライ、自身でゴールも決めて、21-0とリードを広げた。
しかし、ウォーターガッシュもすぐに反撃する。8分、相手陣奥で得たラインアウトのチャンスからモールを形成し、相手に止められたが、FL川瀬大輝がボールを持ちだしトライ。さらに16分にもゴール前ラインアウトからモールを押し切って、HO(フッカー)北條耕太が押さえてトライ。SOディーガンがゴールを決めて12-21と9点差に追い上げる。
勢いに乗るウォーターガッシュだったが、キューデンヴォルテクスは相手に追加点を許さず、逆に、25分、ゴール前のスクラムからNO8ウォーカーアレックスが持ち出してトライを挙げた(28-12)。
さらに直後のキックオフからキューデンヴォルテクスはLO(ロック)レイ・タタフが抜けだしチャンスメイク。ボールを継続し、最後はSOバーリーが右大外に張っていた途中出場のFL中島謙へのロングパスを通して、そのままトライを挙げて33-12と大きくリードした。
しかし、ホストのウォーターガッシュも数的不利な状況でも意地を見せる。32分、相手の反則後、途中出場のSH(スクラムハーフ)大政亮がクイックタップから仕掛けてそのままトライ。さらに試合終了間際にもアタックを継続し、最後はSOディーガンがねじ込んでトライを挙げて26-33と7点差に追い上げを見せるも、そのままノーサイドを迎えた。
キューデンヴォルテクスが5連勝を達成し、勝ち点を24に伸ばし首位をキープした。60分ほど14人でプレーしたウォーターガッシュだったが、7点差以内の敗戦で勝ち点1を得た。POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)にはキューデンヴォステクスWTB萩原が選出された。
キューデンヴォルテクスのヒルトンHCは「ウォーターガッシュは14人になっても素晴らしいエフォートだった。試合はコントロールできたが、相手もプレッシャーかけてきてスコアされた。グループ全体としてはいいパフォーマンスができた。シーズンはまだ続くので、マインドセットを1週間でも緩めてしまうと負けてしまう。2週間後にNTTドコモレッドハリケーンズ大阪戦があるので、しっかりやりたい」と振り返った。
共同キャプテンのFL高井は「九州唯一のリーグワンチームとしてキューデンヴォルテクスがあることを、関東で証明できるチャンスだというマインドで臨んだ。ウォーターガッシュの方が難しいゲーム展開になったと思うが、やっぱりプレッシャーかけ続けるところで、自分たちで(ボールを)リリースしてしまった。そこにつけ込まれ、得点につなげられた。ただ、ビジターでしっかり勝つことができたのは成果で、いろんな勉強ができたのは大きい」と答えた。
敗れはしたものの、7点差以内の敗戦で勝ち点1を獲得したウォーターガッシュのパールーHCは「勝てた試合だった。PRがいなくなって14人になった状態でファイトしてくれたことは誇りに思う」と選手たちをたたえた。
キャプテンのFL石井は「レッドカードが出たときは覚悟を決めるしかないと、チーム全員にこの状況は変えられないと、あとは自分たちの努力、ハードワークすると話し続けた。14人でも勝つ、14人でも勝ったらかっこいいよね、という話はみんなでずっと盛り上げながらできていたのでモチベーション高くやれた」と敗戦したものの胸を張った。
首位をキープした九州電力キューデンヴォルテクスは、次節は2月26日(日)鹿児島県・白波スタジアムで、消化試合が1つ少ない2位のNTTドコモレッドハリケーンズ大阪(勝ち点20)を迎え撃つ。勝ち点14で3位につけるウォーターガッシュは、2月18日(土)に広島県の「Balcom BMW Stadium」で5位のマツダスカイアクティブズと戦う。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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