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サミソニ ・トゥア(浦安D-Rocks)
前半は浦安D-Rocksが圧倒。
後半は釜石シーウェイブスが盛り返した。
ジャパンラグビーリーグワン、2月11日(土)に行われたディビジョン2D2)第5節の残り1試合。
開幕4連勝で暫定2位の浦安D-Rocksが、1勝3敗(暫定5位)の釜石シーウェイブスを迎えた一戦は前半、浦安D-Rocksがブレイクダウンで圧倒した。
「ボールキープをテーマに臨んだ試合でしたが、ブレイクダウンでドミネート(制圧)されてしまいました」(シーウェイブス、WTB小野航大主将)
2022年に新チームとして誕生した浦安D-Rocksの武器の一つは、強烈なフィジカリティ。
前半から激しいファーストタックル、ブレイクダウン・ワークでシーウェイブスの連続攻撃をシャットダウン。ターンオーバーを連発した。
一方で、アタックに転じれば開始2分から6連続トライを決めた。
シーウェイブスは新加入の大器、南アフリカ出身のセルジオ・モレイラ(22歳)、FBキャメロン・ベイリーのトライセーブ・タックルもあったが、浦安D-Rocksの多彩かつ強力な攻撃に抗いきれなかった。
圧巻は、前半21分の4トライ目だった。
浦安D-Rocksは自陣でHO金正奎、LO小島佑太のタックルから攻守交代。自陣から約100mを切り返し、この日幾度もロングゲインしたFB安田卓平がフィニッシュした。
その後フォワード戦からLO金嶺志が連続トライ。浦安D-Rocksが盤石の38点リードで試合を折り返した。
しかし38点ビハインドのシーウェイブスは、諦めていなかった。
「前半はブレイクダウンで劣勢になりボールを失いました」とシーウェイブスのWTB小野主将。
「(ハーフタイムで)強いキャリー、強いクリーンアウト、ボールキープを意思統一しました。またオフロードパスを繋がれていたので後半はダブル(タックル)で入ろう、と話しました」
ハーフタイムで意思統一したシーウェイブスは後半1分、この日のチーム初得点を奪う。
第5節ハイライト動画
浦安D-Rocks vs. 釜石シーウェイブス|ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン2
浦安D-Rocksが自陣ゴール前でペナルティ。ここでタップからの複雑なサインプレーでショートサイドを急襲。WTB小野主将自ら、左隅に押さえた。
ここから浦安D-Rocksは3連続トライ(後半4、14、19分)を返すが、その後はハンドリングエラーなどミスも目立ち、逆襲を受ける。
浦安D-RocksのSH飯沼蓮主将は、後半のミス、強度の低下がチームの課題と話した。
「前半はハングリーに良いラグビーができました。しかし後半からミスが多くなり、主導権を握りきれない。そこはシーズンの課題でもあります」(浦安D-Rocks、SH飯沼主将)
その飯沼主将に代わり、後半18分には今季導入の「アーリーエントリー」(大学最終学年選手が卒業前に公式戦出場可能になる新制度)で、早稲田大学4年の小西泰聖が途中出場。
大学2年時の終了後から闘病生活を送り、長いリハビリ等を経て昨年夏に試合復帰を果たした小西。同制度で一番乗りのデビューを飾り、喜びを噛みしめた。
「もう一回ラグビーを始めるときに、母親からもう一回楽しむことを思い出しなさいと。楽しむことと、笑顔と、感謝を忘れずに、ラグビーを始めた頃の気持ちを忘れずにと」(浦安D-Rocks、小西)
試合は後半20分過ぎで50点ビハインド(7-57)だったシーウェイブスが、驚異の粘りを見せる。
まずは前半26分、得意のタックル、ジャッカルでも貢献していた途中出場の河野良太が、単独のボールキャリーから元ウイングの走力を発揮し、独走トライ。
釜石市役所に務め、釜石鵜住居復興スタジアムの施設管理等に従事しているという元大東大キャプテンが、「ステップワークをつかって突破することを意識した」というトライを決めた。
中村 良真(釜石シーウェイブスRFC)
シーウェイブスは後半33分に1トライを奪われるが、後半39分、こぼれ球の捕球から好機を迎え、中村良真がチーム3トライ目。
試合をラストを飾るトライもシーウェイブスだった。
「最後は釜石らしい、最後まで諦めない粘りのあるアタック、ゲームができました。そういった部分では次につながるゲームでした」(シーウェイブス、須田康夫HC)
試合はロスタイムに入り、浦安D-Rocksもボールを出せば勝利だったが、攻め続けた。
シーウェイブスは後半45分、河野良太が敵陣深くでジャッカル。ここから左大外までボールを運び、新加入のセタ・コロイタマナが4トライ目を決めた。
最終スコアは64-26。浦安D-Rocksが64-26で開幕5連勝とした。
ただ後半だけのスコアは同点(26-26)としたシーウェイブスも奮闘した。
「序盤の入りで、相手のブレイクダウンで激しいプレッシャーを受け、ミスを誘発されました。その中でも、流れが来た部分でボールを動かして得点できるようになってきたことはポジティブです」(シーウェイブス、須田HC)
4敗目を喫したシーウェイブスは2月26日(日)、敵地で2位(4勝1敗)の三重ホンダヒートと今季2回目の対戦に臨む。昨年12月の対戦では大敗を喫しており、成長を見せたいところだ。
かたやD2の首位をキープした浦安D-Rocks。
ヨハン・アッカーマンHCは「キックオフのミスがいくつかあったが、良いトライもたくさんあった。後半はプレーの強度が少し落ちてしまった。それは続いている課題なので修正したい」と話した。
浦安D-Rocksの次戦は同じく2月26日、ビジターとして3位(3勝2敗)の豊田自動織機シャトルズ愛知戦に臨む。1巡目の対戦では大勝(55-16)している相手だ。リーグ戦5試合を終えたD2は、いよいよリーグ後半戦に突入する。
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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