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【ハイライト動画あり】「府中ダービー」にふさわしい激闘。東京サントリーサンゴリアスが東芝ブレイブルーパス東京に勝利。ジャパンラグビー リーグワン第7節
ラグビーレポート by 斉藤 健仁接点で激しいバトルを演じた府中ダービー
2月5日(日)、東京・秩父宮ラグビー場では、ディビジョン1の交流戦2試合目が行われ、ホストで4位の東芝ブレイブルーパス東京(4勝2敗、勝ち点20)が、3位の東京サントリーサンゴリアス(5勝1敗、勝ち点24)を迎えた。ともに練習拠点が東京都府中市にあることから、トップリーグ時代から「府中ダービー」と呼ばれてきたライバル同士が激突した。
ブレイブルーパスは前節からFB(フルバック)をベテランの豊島翔平から松永拓朗へ変更したのみにとどまった。FL(フランカー)マット・トッド、日本代表のLO(ロック)ワーナー・ディアンズ、NO8(ナンバーエイト)リーチ マイケル、SH(スクラムハーフ)小川高廣と元オールブラックスのSO(スタンドオフ)トム・テイラーのハーフ団、CTB(センター)セタ・タマニバル、WTB(ウイング)ジョネ・ナイカブラら中軸が顔を揃えた。
パスを出すサンゴリアス主将のSH齋藤
サンゴリアスは前節と全く同じ先発メンバーで臨んだ。FW(フォワード)は日本代表NO8テビタ・タタフ、ハーフ団は日本代表SH(スクラムハーフ)でキャプテンの齋藤直人と、SOアーロン・クルーデン。さらに日本代表のCTB中村亮土、中野将伍、現在10トライでトライ王の尾崎晟也、FBには日本代表の松島幸太朗が入った。
試合を観戦する日本代表コーチ陣
昨季の「府中ダービー」はリーグ戦では1勝1敗だったが、プレーオフではサンゴリアスが勝利していた。今季は違うカンファレンスに属するために、リーグ戦ではこの試合のみの対戦である。ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)ら、日本代表のコーチ陣や1万を超えるファンが集う中、午後2:05にキックオフされた。
秩父宮には1万人を超える観客が集った
ブレイブルーパスはターゲットを「フィジカルバトル」に掲げて、一方のサンゴリアスのテーマは「ドミネイトゲインラインバトル」と設定。つまり、ともに、接点でのコリジョン(衝突)を焦点に挙げた。
まず、試合の主導権を握ったのはビジターのサンゴリアスだった。テンポのいいアタックを繰り返し、相手の反則を誘い、SOクルーデンが10分、13分にPG(ペナルティゴール)を決めて、6-0。
ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1
【ハイライト動画】第7節 東芝ブレイブルーパス東京 vs. 東京サンゴリアス
さらに12分には反則の繰り返しにより、ブレイブルーパスのFLトッドがシンビン(10分間の退場)。PGを1本を返されるが、数的優位となったサンゴリアスは隙を見逃さず、21分にスクラムを押し込み、NO8タタフが押さえてトライを挙げ13-3とリードを広げた。
ハットトリックでPOMの尾崎
しかし、15人に戻ったブレイブルーパスもすぐに反撃。ボールを動かして24分、WTBナイカブラが右隅にトライを挙げた。27分、サンゴリアスもハイパントキックからチャンスを作りFB松島、WTB尾崎とつなぎ、最後は尾崎が相手のタックルを外してトライ。20-10とした。その後、ブレイブルーパスがキックカウンターからボールを継続、最後はCTBタマニバルからWTBナイカブラにつないでトライ。3点差に追い上げてハーフタイムを迎えた。
後半、ともにPGを沈めて迎えた11分、ブレイブルーパスのSOテイラーがディフェンスラインの裏にキック、バウンドしたボールをCTBタマニバルが拾い上げてトライ。ついにブレイブルーパスが27-23と逆転に成功する。
サンゴリアスのSOクルーデン
それでもサンゴリアスがアタッキングラグビーで魅せる。14分、ラインアウトからボールを継続し、ファーストレシーバーとなったFB松島が相手のディフェンスラインを突破しゲイン、右大外にいたWTB尾崎にパスし、尾崎が右隅にトライ。SOクルーデンが難しい角度のゴールを決めてサンゴリアスが30-27とリードする。
ブレイブルーパスのCTBタマニバルは2トライ
ブレイブルーパスも意地を見せる。20分、スクラムで相手の反則を誘い、相手陣奥に攻め込み、2人にタックルされたWTBナイカブラがオフロードパスでつないで、CTBタマニバルがトライ。ゴールも決まり、再びブレイブルーパスが4点をリードする。
たが、サンゴリアスもすぐに自陣から反撃する。LOツイ ヘンドリックがピック&ゴーから抜け出しチャンスメイク。途中出場の日本代表SH流大がブラインドサイドを突いて、SOクルーデン、WTB尾崎とつないで、尾崎がハットトリックとなる3本目のトライを決めて37-34と再逆転した。
府中ダービーはサンゴリアスに軍配
30分、ブレイブルーパスもペナルティを獲得、同点となるPGを狙わずに攻めたが、サンゴリアスのWTB尾崎がジャッカルを見せるなどディフェンスで粘り、ゴールラインを割らせない。その後、サンゴリアスは相手陣でプレーを続けて、最後は途中出場のSO森谷圭介がPGを決めて40-34でノーサイドを迎えた
サンゴリアスが最後の最後まで勝敗のわからないダービーを制して6連勝を達成。勝ち点を28に伸ばして3位をキープした。7点差以内の敗戦で勝ち点1を得たブレイブルーパスは勝ち点を21にしたが、順位を1つ落として5位となった。
POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)は攻守に渡り大活躍だったサンゴリアスのWTB尾崎が選出。13トライでトライラインキングトップの尾崎は、「タフな試合だったが、3トライでチームを救えたのは良かった。毎試合、高いパフォーマンスを続けることが日本代表への近道だと思います」と胸を張った。
惜しくも敗れたブレイブルーパスのトッド・ブラックアダーHC(ヘッドコーチ)は「両チームのすばらしいプレーが見られた。プレッシャーの中で、実行できるかどうか。できたときとできなかったときが明確だった。できないときは痛い目にあった」。
「試合をものにできるチャンスはあった。最後の8分、大事なところで取り切れなかった。自分たちとしては学びを得られた部分はいいことだと思います。瞬間、瞬間、素晴らしいラグビーを見せられた。良い試合だった」と、敗戦したものの、試合そのものには満足した様子だった。
キャプテンSH小川は「いいところもあったし、悪いところもあった。連続でいいことできず、流れを自分たちに持ち込めなかった。前半、ペナルティが多かったが耐えて、3点差で折り返すことができたのは自信につながる。あとは後半、連続して、いいモメンタムを作れるように、マインドセットの部分をしっかりやっていきたい」と振り返った。
サンゴリアスの田中澄憲監督は「府中ダービーらしい、最後の最後まで結果がわからない試合になったと思います。フィジカルの部分は東芝に負けると試合にならないので、ファイトすることを80分、選手がやり切ってくれた。ちょっとの差だったが勝ち切れたことは自信になった。完璧ではないが、幅が取れたディフェンスができたときは前で止められていました。アタックは球を動かしながらスコアできたので満足しています」と激闘を振り返った。
接点でのバトルは最後まで激しかった
キャプテンSH齋藤も「タイトな試合になるのは試合前からわかっていたので、終わって見れば予想通り、という感想です。その中でも勝ち切れたこと、勝って反省できることをうれしく思います」と話した。
首位の埼玉パナソニックワイルドナイツ(勝ち点30)、2位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(勝ち点28)を追う東京サントリーサンゴリアス(勝ち点28)は、「Bye week」(休みの週)明けの2月18日(土)、東京・駒沢オリンピック公園陸上競技場で10位のリコーブラックラムズ東京(勝ち点9)と対戦する。
5位の東芝ブレイブルーパス東京(勝ち点21)は、18日に大分・レゾナックドーム大分で、4位の横浜キヤノンイーグルス(勝ち点22)と相まみえる。
今季、リーグ戦で唯一の「府中ダービー」はサンゴリアスに軍配が上がった。ともに上位4チームが出場できるプレーオフに出場して再戦はあるだろうか。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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