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ラグビー コラム 2023年2月6日

【ハイライト動画あり】タフネス発揮のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ。ヴェルブリッツも後半猛追。リーグワンD1第7節

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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バーナード・フォーリー(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)

クボタスピアーズ船橋・東京ベイは、最終盤までタフだった。

2月4日(土)、愛知・パロマ瑞穂ラグビー場で開催されたジャパンラグビーリーグワンの第7節交流戦。

7位(2勝4敗)のトヨタヴェルブリッツと、2位(5勝1分け)のスピアーズの激突は好勝負になった。

両軍通じてスクラム、ラインアウトのロストは2回のみ(スピアーズの後半17、30分のラインアウト)。瑞穂ラグビー場が熱戦に沸いた。

序盤のせめぎ合いは、キックゲームの熟練度が分水嶺になった。

スピアーズは前半3分、武器になっているアンストラクチャー(乱れた局面)からWTB根塚洸雅が先制トライ。ヴェルブリッツはキックのチェイスが整備不足だった。

ヴェルブリッツもペナルティゴール(PG)で前半14分に3点を返すが、直後、SOティアーン・ファルコンがキックチェイスの圧力を受け、ボールキャリーを選択。

木田晴斗(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)

効果的なチェイスを仕掛けたスピアーズはここでターンオーバー。すぐ左大外まで繋ぎ、先発復帰のWTB木田晴斗がチーム2トライ目。

ヴェルブリッツもWTB山口修平が切れ味鋭いカットインでチーム初トライを挙げ、4点差(10-14)に詰めるが、相手SHの藤原忍にインターセプト・トライを許す。

直後の前半27分、ヴェルブリッツはキックチェイス後、またもオープン側に数的優位を許した。ここからの波状攻撃でHOマルコム・マークスが飛び込み4トライ目。

ヴェルブリッツがボールを保持して9次攻撃、10次攻撃を重ねて跳ね返される一方、スピアーズはキックカウンターなどから一発で効率的に得点していった。

「前半はかなりボールを動かして、自分たちで自分たちを苦しめるようなゲーム展開を作ってしまいました」(ヴェルブリッツ・FL古川聖人共同キャプテン)

守備から効率的にスコアするスピアーズは、さらにPGで3点追加。キックパスの内返しをふたたびWTB根塚が仕留め、前半を26点リード(36-10)で折り返した。

しかし後半はヴェルブリッツが主導権を握り、3連続トライを奪った。

スピアーズのフラン・ルディケHC(ヘッドコーチ)は「反則を立て続けに犯してしまった」とコメント。後半はペナルティ数が前半の「3」から「7」に増えた。

「後半は自滅したと思います。自陣に釘付けになり、チャンスをモノにされてしまいました」(スピアーズ、ルディケHC)

ヴェルブリッツは後半開始から南アフリカ代表のウィリー・ルルーを投入していた。ファーストレシーバーを任せ、ボール展開を指揮させた。

「ウィリー(・ルルー)はボール運びが得意です」「(起用によって)より効率的に表、裏の選手を使うことができたので、チームとして自信を得られたと考えています」(ヴェルブリッツ、ベン・ヘリングHC) 

ヴェルブリッツは後半6分、ラインアウトモールからHO彦坂圭克が飛び出し、ショートサイドにいた相手SOバーナード・フォーリーとの1対1を制して後半1本目。

後半10分にはCTBロブ・トンプソンがピック&ゴーで連続トライ。同14分にはこの日3度目のモールで、3度目の正直となるモール・トライを奪った。

残り15分。

26点あったスピアーズのリードは、いつの間にか7点(29-36)まで縮まっていた。

ここで悪循環を堰き止めたのは、スピアーズの日本代表WTB根塚だ。

スピアーズは後半21分、キーマンとなったウィリー・ルルーへプレッシャー。WTB根塚のタックルでターンオーバーすると、WTB根塚はさらにキック後にチェイスして攻守交代を主導。

連続失点していたスピアーズ、後半開始から23分後、ようやくPGで3点を追加。リードを10点(39-29)に広げた。

厳しい時間帯の後半34分には、FLピーター・ラピース・ラブスカフニがジャッカル。

ここで自陣脱出と思われたが、ヴェルブリッツが巧みなラインアウトDF。ふたたび自陣で守備が始まるタフな展開となった。しかし――

「自陣を出た後にミスをして、また自陣に釘付けになることも多かったですが、選手は『もうできない』とったネガティブなことは考えていませんでした」

ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1

【第7節ハイライト動画】トヨタヴェルブリッツ vs. クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

「全員がもう一度仕切り直して敵陣に入る、というマインドだったので、ファイトし続けられました」(スピアーズ、FLラブスカフニ)

スピアーズはラインアウトモールを防ぎ、驚異的なタフネスで守り続けた。

ヴェルブリッツも後半38分にウィリー・ルルーのキックパスからトライが生まれるが、コンバージョンが決まらず5点差(34-39)。トライを取る以外に勝利への道はなくなった。

最終局面、自陣から展開せざるをなくなったヴェルブリッツ。

ここでパスミスがあり、スピアーズに自陣ゴール前で怒濤のカウンターラックを浴びた。

そして途中出場のハラトア・ヴァイレアがルーズボールに飛び込み、立ち上がって、勝負を決める6トライ目。

最後まで集中力高くハードワークしたスピアーズが、44-34で6勝目を挙げた。

今季初の連勝はならなかったヴェルブリッツのベン・ヘリングHCは「ハードな試合でした」と振り返った。

「前半の結果に関しては悔しい思いです。後半はチームの抵抗力、個性を出してくれましたが、最後に上回ることができませんでした」

7位から9位に順位に落としたヴェルブリッツの次戦は2月18日(土)。6連敗中のグリーンロケッツ東葛を迎え撃つ。

引き分けはあるが無敗は守ったスピアーズは2位キープ。

ルディケHCは「ファンタスティックな良いゲーム」としながらも「前半は試合をコントロールしてプレッシャーを掛け、点数に変えていましたが、後半は自滅したと思います」と振り返った。

「来週はオフに入りますが、5連勝は良い結果でした。シーズンはまだ途中です。しっかりと休み、また新たなエネルギーを生みつつ、自分たちのプロセスを良い形で締めくくれるようにしたいと思います」

開幕節から堂々と上位に居座っているスピアーズ。

次週は2月19日(日)、相手は3勝1分け3敗の三菱重工相模原ダイナボアーズ

舞台は、スピアーズのホストスタジアム、リーグワンでの不敗神話が続いている東京・江戸川区陸上競技場だ。

文:多羅 正崇
多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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