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トヨタヴェルブリッツ vs. クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
再浮上のキッカケを掴めるか。
ジャパンラグビーリーグワン、ディビジョン1(D1)第7節交流戦。2月4日(土)、愛知・パロマ瑞穂ラグビー場で注目の対決が行われる。
ホストはついに連敗を脱出した2勝4敗の7位、トヨタヴェルブリッツ。
ビジターは5勝1分けの2位、クボタスピアーズ船橋・東京ベイだ。
上昇ムードで土曜日を迎えるのはヴェルブリッツだろう。
先週の第6節、コベルコ神戸スティーラーズ戦でのハードワークは出色だった。試合後、ヴェルブリッツのベン・ヘリングHC(ヘッドコーチ)の言葉は熱を帯びていた。
「私が今日一番エンジョイしたのは、選手が見せてくれたハート。そこを見ることができて本当に良かったです」
イエローカード3枚で終盤12人になりながら、逆にトライまで奪った。無類のハードワークで「4」まで伸びていた連敗を止めた。
ヘリングHCは選手の対戦相手だったスティーラーズを「非常にフィジカルが強いチーム」と表現し、「相手のチャンスをどうやって自分たちのチャンスに変えるか」がフォーカスポイントだった、と明かしていた。
ただ12人でスティーラーズを防ぎ、逆にトライを奪った経験は自信となっているはずだ。
しかも今節からはパロマ瑞穂ラグビー場でのホスト3連戦。反転攻勢の流れをつくる好機だ。
トヨタヴェルブリッツスターティングメンバー
前節から先発FW8人は変わらない。
迫力十分のバックローは、フランカーとして初先発ながら獅子奮迅だったFLウィリアム・トゥポウ、共同主将のFL古川聖人、南アフリカ代表のNO8ピーターステフ・デュトイ。
BKでは先発2名に変更がある。
同志社大学出身のWTB山口修平がリザーブから上がり、NZマオリ代表歴のあるFBロブ ・トンプソンが13番に入った。
ビジターのスピアーズは前節、乱調気味だった。
結果的にホストスタジアム「えどりく」(江戸川区陸上競技場)での連勝を「12」に伸ばしたが、前半31分のシンビン(SOバーナード・フォーリー)をひとつの契機として、24点差をひっくり返された。
最終局面、相手FBマット・マッガーンのPGが決まっていたら今季初黒星を喫していただろう。フラン・ルディケHCは「前半と後半で対照的な試合になりました」と振り返っていた。
「特に後半に関しては、チャンスも作りましたが、簡単には得点させてくれませんでした」
「逆に相手はエッジや裏のスペースを上手に使い、そこでモメンタム(勢い)を作られました。非常に学びの多い試合でした」(スピアーズ、ルディケHC)
モメンタムを取り戻せなかった反省はあった。しかし5勝目を手中にして、引き分けはあるものの、首位の埼玉ワイルドナイツと共に「無敗」をキープした。
クボタスピアーズ船橋・東京ベイスターティングメンバー
6勝目の懸かるビジター戦は相手同様、先発FWに変更はない。
FW第1列は日本代表1キャップのPR海士広大、HOマークス、PRヘルというリーグ屈指のスクラムマン3人。
そしてロックとナンバーエイトだ。
191cmの堀部直壮、188cmの青木祐樹が4、5番を背負い、8番は178cmの末永健雄が担う。両ロックとナンバーエイトは海外出身選手が担うことが多い。働きに注目したいところだ。
先発15人中3人の変更は、全員がバックスだ。
まずD1で3位タイの6トライを挙げているWTB木田晴斗が先発復帰。そして南アフリカ代表を狙える逸材CTBリカス・プレトリアス、日本代表3キャップのCTBテアウパ シオネが入った。
試合ではヴェルブリッツの守備に注目したい。
第5節では東芝ブレイブルーパス東京を相手に63失点。第6節ではシンビン連発で不利になった終盤を7失点に留めている。
第6節は守備時のブレイクダウン・ワークでも力を発揮。今節のディフェンスは果たしてどうか。まずはファーストタックルの正確性、激しさから守備の勢いを生み出したい。
セットプレーの正確性に強みがある両軍だけに、スクラムやラインアウトの攻防も要注目。ヴェルブリッツのラインアウトDFは、安定感に定評のあるスピアーズのラインアウトを崩せるか。
注目したいマッチアップは、両軍の背番号12だ。
スピアーズ期待の新戦力、南アフリカ出身のCTBプレトリアスは今季初先発。南アフリカの年代別代表を経験しており、現地メディアによる「将来の南アフリカ代表」の予想記事の常連だった。
将来を嘱望されてきた南アフリカのエリートが日本を選んでいる点も興味深い。193cmと巨躯ながらハンドリングスキルもある。異色の12番だ。
プレトリアスと同い年の24歳、ヴェルブリッツのCTBチャーリー・ローレンスもスキルフルだが、的確で激しいタックルが目を引く。
ニュージーランドの強豪ハミルトン・ボーイズ高出身、同国7人制代表も経験した。同い年の2人の衝突も見逃せない。
昨シーズンも両軍の対戦は交流戦第7節だった。その時はホストのスピアーズが41-20で勝利している。
キックオフは土曜日の午後2時30分。果たしてリーグ2年目の対戦の結末は――。
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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