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ラグビー コラム 2023年1月30日

【ハイライト動画あり】12人でトライ!? 超絶ハードワークでトヨタヴェルブリッツが連敗脱出。コベルコ神戸スティーラーズは3連敗

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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コベルコ神戸スティーラーズ vs. トヨタヴェルブリッツ

厳しい時間帯である後半32分30秒過ぎから約6分間超、動き続けた。

そしてダメ押しのトライを奪った。15人で獲ったのではない。

12人で獲った。

「今週は自分たちのラグビーに対する情熱、一人ひとりがやるべき仕事、責任にフォーカスしてきやってきました」

「自分たちが見せたかったものは感じてもらえたかなと思います」(トヨタヴェルブリッツ・FL古川聖人共同キャプテン)

2連敗中で7位(2勝3敗)のコベルコ神戸スティーラーズが、1月28日(土)、ジャパンラグビーリーグワン第6節で、4連敗中の9位(1勝4敗)トヨタヴェルブリッツを迎えた。

前半のスティーラーズは2トライ1ゴールを奪い、5点リード(14-9)で折り返した。

開始2分40秒、CTBラファエレティモシーの美技グラバーキックが炸裂し、WTB山下楽平が6次攻撃目で先制トライ。

ヴェルブリッツも優勢のスクラム、モールを足場に好機を呼び込み、前半8分から3本のPG(ペナルティゴール)で9-7と逆転した。

スティーラーズもお返しとばかりに前半17分、ラインアウトモールをHO松岡賢太が仕留め、14-9と逆転したが、転機は後半にやってきた。

スティーラーズのゲームキャプテンを務めたFLマルセル・クッツェーは、後半の出だしを振り返り、チームとしてやってはいけないことやってしまった、と話した。

「絶対に作ってはいけない緩む時間、『ソフト・モーメント』を後半最初の10分間に作ってしまいました」「相手につけ入るスキを簡単に与えてしまったことが一番良くなかったと思います」

ヴェルブリッツは、後半2分から4連続トライを決めた。

まずスティーラーズは後半開始のキックオフボールの保持に失敗。ヴェルブリッツが9次攻撃からこの日チーム最初のトライ(ゴール)を決め、16-14と勝ち越し。

後半8分には武器になったラインアウトモールで押し込むと、WTBジョネ・ナベテレヴが左隅に押さえて2本目。

ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1

【第6節ハイライト動画】コベルコ神戸スティーラーズ vs. トヨタヴェルブリッツ

3分後(後半11分)には、モールから飛び出したHO彦坂圭克のロングゲインから3本目。5分後(後半16分)には、モールを押し込んでふたたびHO彦坂。

4連続トライで19点リード(14-33)を奪った。

しかしヴェルブリッツは終盤戦で窮地に陥る。

後半27分に司令塔のSOティアーン・ファルコンがシンビン(10分間の1次退場)。さらに2分後に途中出場の西村龍馬が、危険なタックルで2人目のシンビン。

悪循環は続く。

キックパスからボールを繋いだスティーラーズのWTB山下に3トライ目を決められ、2トライ2ゴールで逆転可能な12点差(21-33)に迫られると、後半33分だった。

直前に途中出場したFBウィリー・ルルーが、パスを故意にはたいたとしてシンビン。ヴェルブリッツのピッチ上のプレイヤーは12人になった。

ここでヴェルブリッツのFL古川共同キャプテンは、仲間とプレーの指針を確認した。強いプレーをしながらボールキープをしよう――。

「シンプルに僕たちの強みである強いプレーをしながらボールキープしていく、という共通認識ができていました」

「起きてしまったことは変えられません。一人ひとりが自分の仕事は何なのか、何をしなければならないのかを考え、行動する。そして行動に責任、情熱をもってプレーできました」(ヴェルブリッツ・FL古川共同キャプテン)

この後スティーラーズは15対12の数的優位を活かせなかった。ヴェルブリッツでは、この日ビッグヒットを連発、フランカーで初先発したウィリアム・トゥポウの存在も大きかった。

12対15となった直後の後半32分、敵陣アタックを始めたスティーラーズ。

ここでFLトゥポウが相手ボールをもぎ取り、そこからヴェルブリッツは約3分30秒にわたるボール保持が始まった。

「(FLトゥポウは)今回スタメンとして初めての6番(フランカー)でのゲームでした。すごく高い強度でプレーし、素晴らしかったです」(ヴェルブリッツ、ベン・ヘリングHC)

FLトゥポウのボール奪取からWTB高橋汰地がチェイスし、相手のミスもあってボールを確保。ここから12人のヴェルブリッツはボールキープの近場攻撃。

その攻撃回数は、実に27フェーズに及んだ。

反則を犯さずにスティーラーズも守った。ついに後半36分27秒、途中出場のヴィリー・ポトヒエッターがジャッカル成功。川原佑レフリーが笛を吹いた。

プレーは約4分継続していたが、スティーラーズとしてはなんとしても2トライ2ゴールを奪って逆転したい。

スティーラーズが速攻を仕掛ける。しかしSO李承信のキャリーへの反応が遅れ、ヴェルブリッツがまたしても攻守交代。

ここからヴェルブリッツはさらに12人で13次攻撃。今度はボールキープはしなかった。リスクを冒して攻めていた。

そして後半39分17秒、ふたたびFLトゥポウが突進。ビデオ判定の結果、トライが認められた。

12人でトライを獲りきったのだ。

ヴェルブリッツは38対21で開幕節以来の勝利。2023年の初勝利は、連敗を「4」で止める会心の勝利となった。

敗戦したスティーラーズのニコラス・ホルテンHC(ヘッドコーチ)。

「何も言い訳できないと思っています。トヨタヴェルブリッツさんのほうがハングリーな気持ちがあった。特に後半は相手の方が気持ちが強かったです」

「(後半崩れた理由の)一つはタックルミスだと思います。ハーフタイムに『もっとディフェンス・ラインを上げるチャンスがある』と伝えましたが、後半できていない部分が多かったです」

スティーラーズ、4連敗を阻止する機会は2月5日(日)。

神奈川・相模原に乗り込んで、3勝1分2敗の三菱重工相模原ダイナボアーズと対戦する。

ヴェルブリッツのベン・ヘリングHC。「この4週間は本当に厳しかった」と振り返り、そして選手たちを讃えた。

「残念な結果が多かったですが、そこから選手たちがカムバックしてくれたことが非常に嬉しい。今日はみんなのレジリエンス(復元力)、落ち着きが見られてよかった」

「このままこの先もチームとして前進を続けたいと思います」と再起を誓った。

強く正確なボールキャリー、武器であるディフェンス・ブレイクダウンも復活。セットピースの安定性でも上回った。

2勝目をあげたヴェルブリッツは7位に浮上。

次戦は今季負けなし、2位(5勝1分け)のクボタスピアーズ船橋・東京ベイを、ホストスタジアムの愛知・パロマ瑞穂ラグビー場で迎え撃つ。

文:多羅 正崇
多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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