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2連勝で勢いに乗るブラックラムズ東京が、全勝の埼玉ワイルドナイツをストップできるか。ジャパンラグビー リーグワン、ディビジョン1第5節プレビュー
ラグビーレポート by 直江 光信ブラックラムズ東京 vs. 埼玉ワイルドナイツ
ジャパンラグビー リーグワンのディビジョン1は、今週末の第5節がカンファレンス内の1巡目の対戦の最後のゲームとなる。ここまで昨シーズン以上に拮抗した戦いが続いており、順位争いはまだまだもつれそうな様相だ。次節からスタートする別カンファレンスとの交流戦に向け、勝っていい流れを作り出したいというのが、どのチームにも共通する思いだろう。
そうした中、1月21日の駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場では、リコーブラックラムズ東京と埼玉パナソニックワイルドナイツが激突する(13時キックオフ)。トップリーグ時代の2021年4月10日のヤマハ発動機ジュビロ戦以来、不戦敗を除き現在公式戦25連勝中のワイルドナイツに対し、第3節から2連勝と調子を上げているホストのブラックラムズがどんなチャレンジを見せるのか、注目の一戦となった。
昨季リーグワンの初代王者に輝いたワイルドナイツは、開幕からの2戦こそ東芝ブレイブルーパス東京に22-19、静岡ブルーレヴズに15-14と苦しんだが、年が明けた1月7日の第3節では、好調の三菱重工相模原ダイナボアーズに40-5で快勝。前節も充実の戦力を誇るトヨタヴェルブリッツを34-19で退け、唯一の全勝チームとして首位を堅持した。昨秋の代表活動で合流が遅れていたメンバーも試合を重ねるに連れてフィットしてきており、ここからさらにチーム力を伸ばしていきそうな印象を抱かせる。
一方のブラックラムズはダイナボアーズに8-34、ブレイブルーパスに7-17で連敗スタートとなったが、第3、4節と敵地でヴェルブリッツ、ブルーレヴズに連勝。FBマット・マッガーンのキックとFWのハードワークを軸にゲームを組み立て、局面を打開できるSOアイザック・ルーカスをインパクトプレーヤーとして中盤以降に投入する試合運びが、勝利のパターンとして固まりつつある。地元駒沢で王者ワイルドナイツに挑む今節は、真価を示す絶好の機会といえるだろう。
過去4戦のスタッツ
それぞれ同じ相手と対戦した過去4戦のスタッツを比較すると、総得点はワイルドナイツの111に対しブラックラムズが78で、トライ数はワイルドナイツが全体5位タイの15本、ブラックラムズは同12位の8本。逆にPG数はブラックラムズが全体2位の10本で、4本(同9位)のワイルドナイツの倍以上の成功数を記録している。ともにディフェンスを持ち味とするチームだが、トライ奪取力も高いワイルドナイツに対し、ブラックラムズはショットでコツコツとスコアを積み上げていくスタイルであることがわかる。
もうひとつ特徴的なのは反則数。ワイルドナイツが全体で2番目に少ない44と高い規律性を示している一方、ブラックラムズは12チーム中最多の59で、1試合平均で4近く多い。現代ラグビーにおいてペナルティはゲームの流れを大きく左右する要素であり、ブラックラムズにとっては重要な得点源にも関わる部分だけに、ペナルティの数は勝敗を巡るポイントになるだろう。
ブラックラムズ東京 スターティングメンバー
キックオフ48時間前に発表された登録メンバーを見ると、ブラックラムズの前節ブルーレヴズ戦からの先発変更は2人。左LOがジョシュ・グッドヒューから今季初出場のジェイコブ・スキーンに代わり、アマト・ファカタヴァが6番に上がって、NO8にはここ2戦リザーブのネイサン・ヒューズが入った。BKは3節ヴェルブリッツ戦から3戦連続でまったく同じ顔ぶれの7人だ。
埼玉ワイルドナイツスターティングメンバー
対するワイルドナイツは前節のスターティングラインアップからクレイグ・ミラー、ヴァルアサエリ愛の両PRにFL長谷川崚太、FLラクラン・ボーシェー、NO8福井翔大のFW第3列、SH内田啓介とSO松田力也のHB団、さらにはCTB長田智希と、先発8人を入れ替えた。長田はこれがリーグワンのデビュー戦。前節SOの山沢拓也がFBに下がり、野口竜司は14番へシフトした。3試合ぶりのスターターとなるSO松田がこの布陣をどう機能させるのか、興味深い見どころとなる。
過去5シーズンの対戦成績はプレーオフトーナメントを含めワイルドナイツの4勝1敗(2020年は中止のため対戦なし)。ブラックラムズの勝利は、2018年のリーグ戦で挙げたものだ(26-17)。昨季は第10節の交流戦で対戦し、前半3トライを奪ったワイルドナイツが29-12で勝利している。いまやどこがワイルドナイツを止めるのかということがリーグ全体の話題となっている中、ブラックラムズがホストスタジアムでいかに挑むのか。好ゲームを期待したい。
直江 光信
1975年生まれ、熊本県出身。県立熊本高校を経て、早稲田大学商学部卒業。熊本高でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。早大時代はGWラグビークラブ所属。現役時代のポジションはCTB。著書に『早稲田ラグビー 進化への闘争』(講談社)。ラグビーを中心にフリーランスの記者として長く活動し、2024年2月からラグビーマガジンの編集長。
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