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【ハイライト動画あり】埼玉ワイルドナイツ、相模原ダイナボアーズとの全勝対決で王者の貫禄示す。ジャパンラグビー リーグワン第3節レビュー
ラグビーレポート by 直江 光信埼玉ワイルドナイツ vs. 三菱重工相模原ダイナボアーズ
これがディビジョン1の上位を争う戦いの厳しさ。そんな貫禄を誇示するような、埼玉パナソニックワイルドナイツの完勝だった。
同じ開幕2連勝ながらボーナスポイント1の差で首位に立つ三菱重工相模原ダイナボアーズを、ホストスタジアムの熊谷ラグビー場に迎えての第3節。昨シーズンの覇者ワイルドナイツは、ディビジョン2からの昇格初年度にしてここまで快進撃を続ける相手に対し、揺るぎない攻守で序盤からペースを握った。
お互いに出方をうかがうような堅い立ち上がりの中、ゲームが動いたのは開始10分。ワイルドナイツが敵陣左中間のスクラムを起点にBK展開でゴールラインに迫ると、折り返しのラックから左へテンポよくボールを動かし、CTBダミアン・デアレンデが先制トライを挙げる。
その後、ダイナボアーズも敵陣で攻める機会を作り、18分にSOジェームス・シルコックが右中間約40メートルの位置からPGを狙ったが、これはわずかに左へ逸れて得点はならず。すると以後は時間の経過とともに、流れがワイルドナイツの側へと傾き始める。
27分、ダイナボアーズのエラーで得た敵陣22メートル付近の左スクラムからアタックを継続し、SO山沢拓也が左大外のCTBデアレンデへキックパス。内をサポートしたFL大西樹にボールがつながり、ゴールラインを越える。
続く32分には敵陣深い位置でのラインアウトのスティールからFL福井翔大がこぼれ球に反応し、オフロードを受けたFL大西がふたたびインゴールへ。ワイルドナイツが19-0と大きく先行して、前半を折り返した。
迎えた後半。ダイナボアーズがチャレンジャーらしく接点で果敢に体を当ててプレッシャーをかけるが、ワイルドナイツの頑健な攻守は揺るがない。落ち着いて敵陣でゲームを進めると、47分にゴール前右ラインアウトからオープンサイドを攻め、巧みなパスワークで外を崩してFB野口竜司が左中間へ滑り込む。
51分にはキャプテンのHO坂手淳史に替わって、昨シーズンのMVP、堀江翔太が登場。いきなり直後のスクラムを押し切ってペナルティを奪うと、ラインアウトを起点にたたみかけ、NO8ジャック・コーネルセンがポスト横に押さえる。SO山沢のコンバージョンも決まり、スコアは33-0まで広がった。
ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1
【第3節ハイライト動画】埼玉ワイルドナイツ vs. 三菱重工相模原ダイナボアーズ
この後、62分にCTBデアレンデが相手選手の頭部への危険なコンタクトでレッドカードを受け、ワイルドナイツは14人に。数的優位になったダイナボアーズは66分にゴール前の右ラインアウトからモールを押し切り、途中出場のNO8ヘイデン・ベッドウェル=カーティスがトライを返す。
しかし流れを大きく変えるまでには至らず、ワイルドナイツは以降も安定感ある試合運びで主導権を掌握。75分にはFLラクラン・ボーシェーのボール奪取からのカウンターで教科書通りに外のスペースへとパスをつなぎ、SO山沢がフィニッシュする。最終的には40-5の大差で、全勝対決を制した。
前2戦はやや相手に合わせるようなところも見られたワイルドナイツだが、この日は存分に強みを押し出して本来のパフォーマンスを披露した。開幕直前の合流となった代表選手たちも試合を重ねるにつれてチームにフィットしてきた印象で、ここからさらに調子を上げていきそうな予感を抱かせる。「新年のスタートのゲームでいいゲームができてよかったと思います。自分たちのやりたいことが少しずつですができてきていて、コンビネーションも上がってきています。そこに関しては、手ごたえを感じました」と語ったのは、HO坂手キャプテンだ。
この勝利で勝ち点を13まで伸ばし、唯一の全勝チームとして首位に浮上。昨季の不戦敗を除けば公式戦は24連勝(1引き分けをはさみ36試合連続無敗)で、いまやどこがワイルドナイツを止めるのかということが、リーグ全体の興味の的になっている。今季も覇権争いの中心であることを宣言するような、圧巻の快勝だった。
一方のダイナボアーズも、連勝は止まったものの随所に持ち味を発揮して今季の実力の片鱗を示した。結果として点差は開いたが一方的な内容ではなく、対抗できる部分も数多く見られた。チャンピオンに真っ向勝負を挑み、自分たちの現在地を認識できたことは、今後への貴重な財産になるだろう。
「自分たちが準備してきたことをできないとやられてしまいます。このリーグでトップのレベルも分かりましたし、その意味でもいい学びになりました」とは、グレン・ディレーニーヘッドコーチ。この経験を糧に、次節どんな戦いを見せるかが楽しみだ。
直江 光信
1975年生まれ、熊本県出身。県立熊本高校を経て、早稲田大学商学部卒業。熊本高でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。早大時代はGWラグビークラブ所属。現役時代のポジションはCTB。著書に『早稲田ラグビー 進化への闘争』(講談社)。ラグビーを中心にフリーランスの記者として長く活動し、2024年2月からラグビーマガジンの編集長。
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