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東京サンゴリアス vs. 横浜キヤノンイーグルス
優勝候補の一角である東京サントリーサンゴリアス(東京SG)の底力を感じる一戦だった。2023年1月7日(土)、味の素スタジアム(東京都調布市)には、10,138人の観衆が集った。迎え撃つ相手は、かつて東京SGをトップリーグ優勝に導いた沢木敬介監督率いる横浜キヤノンイーグルス(横浜E)。午後2時30分、横浜EのSO田村優のキックオフで注目の一戦は幕を開けた。
先にトライをとったのは横浜Eだった。前半2分、東京SGゴールライン前のPKからSHファフ・デクラークが間髪入れずに速攻を仕掛け、CTBジェシー・クリエルがトライをあげる。強気の南アフリカ代表SHがまずは魅せた先制劇だった。しかし、東京SGも元オールブラックスのSOアーロン・クルーデンのトライですぐに逆転する。その後も緊迫感のある攻防が続き、東京SGのテビタ・タタフと、横浜Eのアマナキ・レレイ・マフィという新旧日本代表NO8が激しくぶつかり合うなど観客を沸かせるプレーが相次いだ。
クルーデンがレッドカードで一発退場になったのは、前半18分のこと。横浜Eが攻め込んだラックで、プレッシャーをかけようとしたクルーデンの肩がデクラークの頭部にヒット。危険な行為でレッドカードが示されたのだ。残る62分間を、東京SGは一人少ない14人で戦うことになる。横浜Eは田村がここで得たPGを決めて、7-8と逆転。しかし、そこまで統率のとれたプレーでディフェンスを崩していた横浜Eは、数的優位に立ったことでややプレーが雑になる。
一方で、東京SGはクルーデンの代わりに中村亮土がSOに入り、14人が動き続けることで苦境を克服していく。27分、30分とクルーデンの代役キッカーとしてSH齋藤直人が2本のPGを決め、13-8とリード。後半に入ると、東京SGは経験豊富なSH流大、SO森谷圭介を投入し、2人がゲームをコントロール。流が激しいボール争奪戦から出てくる難しいボールをテンポよくさばき、後半開始早々、WTB尾崎晟也がトライを決める。スコアは、18-8。「前半で14人になってもパニックにならず、冷静に対処した選手たちに成長を感じました」(田中澄憲監督)。
ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1
【第3節ハイライト動画】東京サンゴリアス vs. 横浜キヤノンイーグルス
横浜Eも田村のPGで点差を詰めるが、後半14分、東京SGは横浜E陣にわずかに入ったラインアウトから森谷がディフェンスラインを破って一気にゴールラインに迫る。その後、FB松島幸太朗、尾崎、LOツイ ヘンドリックとボールがつながってインゴールへ。森谷がゴールを決めて、25-11と突き放した。横浜EもデクラークのPKからの速攻でLOコリー・ヒルがトライ。23分には、ハーフウェイライン付近で東京SGの反則を誘うと、ここでもデクラークがタップキックで攻め、交代出場のヴィリアメ・タカヤワがトライして、25-23と2点差とした。しかし、反撃もここまで。終了間際、東京SGは中村のキックパスから尾崎がダメ押しトライをあげた。プレーヤー・オブ・ザ・マッチは、FL山本凱。12回のボールキャリーで4度のディフェンス突破ほか、攻守によく働いた。
約60分を一人少ない人数で戦った東京SGの田中監督は「14人になってからのほうがみんな動くし、強かったと思うほどで、それを80分間続けられたことが結果につながりました」とハードワークを徹底した選手たちを称えた。敗れた横浜Eの沢木敬介監督も相手を称えた。「今日は自分たちで崩れてしまいました。一人少ない状況になっても東京サントリーサンゴリアスさんはしっかりいいコントロールができて、チャンスをスコアにまでつなげていました。そういうところの差が出ました。負けから学ぶなんてもう十分なので、しっかりレベルアップして強くなった横浜キヤノンイーグルスを次の試合で見せたいと思います」。
2勝1敗(勝ち点9)で3位の東京SGは第4節(1月14日、ノエビアスタジアム神戸)で、勝ち点9で並ぶコベルコ神戸スティーラーズと対戦。1勝1敗1分け(勝ち点6)で7位の横浜Eは、同じく14日に東大阪市花園ラグビー場で最下位の花園近鉄ライナーズと対戦する。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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