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ラグビー コラム 2023年1月8日

【ハイライト動画あり】東福岡「フェニックス」、6大会ぶり7度目の優勝。高校3冠を狙った報徳学園に快勝。全国高校ラグビー大会 決勝

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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東福岡が6大会ぶりの優勝。蘇った「フェニックス」

1月7日、大阪・東大阪市花園ラグビー場で「花園」こと、全国高校ラグビー大会の決勝が行われた。史上4校目の高校「3冠」&初優勝を目指す報徳学園(兵庫)と、6大会ぶり7度目の優勝を狙う東福岡(福岡)のAシード同士の激突となった。

なお、春の選抜大会、夏の7人制大会、冬の花園と初めて、3試合全てで決勝が同じカードとなり、春(コロナ禍の影響で東福岡が辞退、報徳学園が不戦勝)、夏とも報徳学園が制していた。

ともに高校日本代表候補8人を擁するチームで、報徳学園は準決勝から1人メンバー交替し、東福岡は準決勝からメンバー変更はなく、全員が3年生だった。霧雨が降る中、6000人を超えるファンが集い、午後2:05に東福岡ボールでキックオフされた。

東福岡の電光石火の先制トライ

いきなり試合は動く。1年間、ディフェンスに注力してきた東福福岡は「なるべく敵陣で戦い、ディフェンスでプレッシャーをかける」がテーマだった。「分析の結果、絶対蹴ると思っていた」と、キャプテンFL(フランカー)大川虎拓郎(3年)がキックチャージし、そのボールを右に展開し、開始36秒でWTB(ウイング)上嶋友也(3年)が左隅にトライを挙げて5点を先制する。

さらに東福岡は12分、「分析通りだった」(藤田雄一郎監督)という相手ボールラインアウトをスチールし、そのまま左に大きく展開しFB(フルバック)石原幹士(3年)が左中間に押さえてトライ、SH(スクラムハーフ)高木城治(3年)のゴールも決まり12-0とリードを広げる。

報徳学園SO伊藤を止める東福岡のFL大川主将

その後は積極的にFW(フォワード)、BK(バックス)が一体となってボールを展開する報徳学園に攻め込まれるシーンがあったが、タックル、接点の強さでゴールラインを割らせない。

それでも報徳学園は23分、NO8(ナンバーエイト)石橋チューカ(3年)のキックチャージから素早くつないで、CTB(センター)炭竈柚斗(3年)が左隅にトライ、SO(スタンドオフ)伊藤利江人(3年)がゴールを決めて、7-12とする。その後も報徳学園が攻め込むが、東福岡の分厚いディフェンス、ラインアウトのプレッシャーの前に追加点を挙げることができず、前半が終了した。

第102回全国高等学校ラグビーフットボール大会

【ハイライト動画】決勝 報徳学園 vs. 東福岡

後半、先に点を取ったのは5点を追う報徳学園だった。1分、相手のオフサイドから得たPG(ペナルティゴール)のチャンスをSO伊藤がしっかり決めて、10-12と2点差に追い上げる。

報徳学園SO伊藤がPGを決める

だが、その後は東福岡のペースとなる。10分、ラインアウトを起点としたアタックからSO高本とわ(3年)が裏へキック、そのボールをCTB西柊太郎(3年)がキャッチしてインゴールで押さえて、19-10と突き放す。

14分、相手オフサイドから得たチャンスを報徳学園はPGを狙わず、スクラムから果敢に攻めたが、東福岡は接点の強さを見せてターンオーバーし得点を許さない。すると18分、逆に東福岡がスクラムを起点にしたアタックから、CTB永井大成(3年)が力強いランを見せてオフロードパス、最後はフォローしたWTB上嶋がトライを挙げて26-10とリードを広げた。

後半一気に突き放した東福岡

「今、出ている選手たちが一番強い」(藤田監督)とメンバー交替をまったくしなかった東福岡の勢いは止まらなかった。23分にはNO8(ナンバーエイト)藤井達也(3年)が中央にトライ、27分にはSH高木のPGを挟んで、28分には相手キックオフのボールを自陣から大きく展開し、WTB上嶋がハットトリックとなる3本目のトライを挙げてノーサイド。

東福岡が7度目の優勝

ディフェンス、接点の強さを見せつけた東福岡が6トライを重ねて、41-10で勝利し、6大会ぶり7度目の栄冠に輝いた。なお、7度の優勝は常翔啓光学園と並んで3位タイの優勝回数となった。

7度目、そして自身が監督となって3度目の優勝を飾った東福岡の藤田監督は「『グリーンウォール』、つまり緑の壁をやり続けようというのが合言葉だった。それができた60分で、(ディフェンスが)相手の脅威になり、1トライ1PGで抑えることができたのが集大成だった」。

東福岡の藤田雄一郎監督

「5年間(準決勝)の壁が大きかったのもありますが、選手は3年間地道にできることを、自分をコントロールしながらラグビーをしてきた。3年生の底力はすごい」と選手たちを称えた。

優勝旗「飛球の旗」を受け取る

1年間、チームを引っ張ったFL大川キャプテンは「みんなハードワークしてくれて良かった。仲間を信じて、先生を信じてここまでやってきて良かった。1人1人の意識の問題で、絶対勝てるというマインドが相手より上回った」。

「相手にボールを渡してもディフェンスしてハッピーになれた。ディフェンスの時間が長くなってもネガティブなことはなかった。中盤、ペナルティはあったが、ハードワークしたことが、41-10の点差につながった。(ディフェンスして)みんながハッピーになれる時間が長かった」と笑顔を見せた。

報徳学園の西條裕朗監督

惜しくも「3冠」&花園初優勝を逃した報徳学園の西條裕朗監督は、「花園に来て1戦1戦成長して、本当にたくましいチームになりました。FWがボールを前に出して、BKがよく走った。個々のフィジカル、走力、接点での圧力もそう、私たちが思ったより東福岡が強かった。1トライしかできませんでしたけど、選手たちはよくやったと思います」と振り返った。

準優勝の報徳学園

FL植浦キャプテンは、「ブレイクダウンで負けたら勝てないので、そこが敗因です。低さと速さで勝負しようとしたが、それ以上に(東福岡は)速さもフィジカルもあった。押し込まれて、気持ちも後ろにいった。僕らは負けてしまったので、次の学年に優勝してほしい」と気丈に話した。

春の選抜大会の決勝戦では辞退勧告を受けて不戦敗となり、さらに夏のセブンズでも報徳学園に負けて悔しい思いをしてきた東福岡。5年連続準決勝で敗戦してきた壁も破り、「フェニックス」のチーム名の通り、見事に復活の7度目の優勝を飾って、102回目の花園は幕を閉じた。

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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