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ラグビー コラム 2023年1月6日

運命の刻。大学王者が決まる最終決戦「帝京大学×早稲田大学」。第59回全国ラグビー選手権大会決勝プレビュー

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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帝京大学 vs. 早稲田大学

2023年1月8日(日)、東京・国立競技場で、いよいよ2022年度の大学王者が決まる。

第59回全国ラグビー選手権大会ファイナル。

最高の舞台で激突する両雄は、2大会連続11度目の優勝を狙う帝京大学(関東対抗戦1位)と、3大会ぶり17度目の載冠をめざす早稲田大学(同3位)だ。

これまでの勝ち方を見れば、帝京を「本命」とする下馬評は致し方ないだろう。

対抗戦を7戦全勝で駆け抜け、3週間後の選手権初戦(準々決勝)では同志社大学と対戦。同志社はFL梁本旺義主将が「部員全員が帝京さんに勝つという一つの方向を向いていた」と語るほど団結していたが、帝京は50-0で完封勝利をあげた。

準決勝では、接点を徹底強化してきた躍進の筑波大学と対戦した。対抗戦5位からの4強進出、というドラマを成し遂げた筑波・PR木原優作主将が準決勝後に語った。

「今シーズン通してやってきた接点の部分で、アタックでディフェンスでもプレッシャーをかけることを意識していましたが、帝京さんの素晴らしいアタックがあり、接点が通用しませんでした」(筑波・PR木原主将)

筑波戦の帝京は、前半を31-5で折り返すと、後半を完封して71-5で大勝。2試合で121得点。失点はわずか5。なかば呆然としてしまうほどの強さを示し、ファイナルへ駒を進めた。

帝京は慢心する集団でもない。だからこそ準決勝で、勝利濃厚な後半においてもギアを落とさず、今大会の最多得点を叩き出せたのだろう。

帝京は対抗戦で早稲田に49-17で快勝している。しかし指揮官の相馬朋和監督は「対抗戦の時点でゲームをした相手だと思っていません」と言った。

「試合を重ねる中でチームは成長するものだと思います。決勝ではまったく違う早稲田さんと当たるつもりで、最高の準備を整えてゲームに臨みたいです」(帝京・相馬監督)

決勝戦の舞台に立つ帝京のメンバー23人が発表されている。

帝京大学スターティングメンバー

筑波戦から変更は1箇所。15番を背負った谷中樹平がメンバー外となり、先発FBに山口泰輝が入った。

CTB松山千大主将をはじめ、看板のスクラムを牽引するPR高(中が目)井翔太、HO江良颯、PR上杉太郎など先発フォワード、SH李錦寿、SO高本幹也のハーフ団が牽引するその他の陣容は変わらない。

そして39大会連続56回目の選手権出場となる早稲田。

12月4日の早明戦(対抗戦)で21-35で敗戦してから、選手権初戦(3回戦)で東洋大学、準々決勝で明治大学、そして準決勝で京都産業大学を破り、2季ぶりの決勝進出を果たした。

ついに優勝時にのみ試合後に歌われる第2部歌『荒ぶる』を歌うまで、あと1勝となった。

『荒ぶる』はただの部歌ではなく、早稲田ラグビーの中心にある永久不変の道標のようなものなのだろう。

この『荒ぶる』があるがために、早稲田はいつの時代も、どんな選手構成であっても逆算思考を働かせ、優勝を掴み取るための妙手を絞り出してきた。

OBで指揮官の大田尾竜彦監督が、準決勝後に話していた。

「ラグビーチームにはタイプが2つあると思っていて、1つは『自分たちのことをやりきるチーム』。もう1つは、相手を研究してその一週間でゲームプランを変えて今日のプランとしてやり切るぞ、というチーム。ウチ(早稲田)は明らかに後者です」(早稲田・大田尾監督)

関西リーグを2連覇した京都産業大学に1点差(34-33)で競り勝った準決勝。

早稲田は京産大に勝つためのプランで戦った。FL相良昌彦主将は、前半PK獲得後にタッチキックを選んでいた理由に触れた。

「最初はショットを狙ったのですが、京都産業大学さんはフォワードに強みがあって、14番(シオネ・ポルテレ)も怖い選手でした。とにかく相手を自陣に入れず、ずっと敵陣で戦いたいと思っていました」

「自陣からボールを蹴ってしまったらロストしてしまうので、トライが取れなくてもタッチキックを狙いました。とにかく敵陣でプレーしようという意思統一ができた結果でした」(早大・相良主将)

相手を徹底的に研究する。1点差でも上回ろうと知恵の汗をかく。それが早稲田だ。日曜日の檜舞台でも、帝京戦のためのプランを用意してくるだろう。

檜舞台に出場する早稲田メンバーが発表されている。

早稲田大学スターティングメンバー

京産大戦からは23人で1箇所を変更。リザーブだったPR井元正大が定位置の1番に戻り、一世一代のスクラム戦に臨む。

注目点の一つはエリア合戦だろう。

帝京こそ自陣でプレーさせたくないチームの筆頭だ。破壊的なスクラムがあり、ペナルティを取られたら即座にPGによる失点もある。HO江良、FL青木恵斗などフィジカル自慢のランナーも多数いる。

早稲田もSO伊藤大スケ(示に右)や、CTB吉村紘、FB小泉怜史ら好キッカーを揃えており、キックゲームを有利に進めて敵陣でプレーしたい。

FL相良主将が「この1年間磨いてきた」と語った、自陣からでも隙あらば積極攻撃するアタックマインドも注目したい。準決勝では効果てきめんだった攻撃的なマインドがファイナルでも見られるか。

一方、帝京のCTB松山主将は、学生最後の大一番、選手権ファイナルでの心構えについてこう答えた。

「自分たちのラグビーをやることです。フィジカル、セットプレーで相手にプレッシャーをかけることだと思います」(帝京・CTB松山主将)

どんなチームであれ、ラグビーの根本である衝突局面からは絶対に逃れられない。そこで、自分たちの強みを正面からぶつける。

昨季王者が問答無用のフィジカリティ、セットプレーで圧倒するのか。

それとも底知れぬ策士、早稲田の『荒ぶる』への情熱が勝るのか。

舞台は国立競技場。鉄笛は13時15分に鳴り響き、いよいよ運命の針が動き出す。

文:多羅正崇
多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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