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開幕から2週を終えた段階で全勝はわずかに2チームだけと、さっそく混戦の様相を呈している2シーズン目のリーグワン。新年最初の開催となる第3節では、連勝スタートを切ったその2チーム――埼玉パナソニックワイルドナイツと三菱重工相模原ダイナボアーズが激突する(1月7日12時キックオフ@熊谷スポーツ文化公園ラグビー場)。
昨季栄えある初代王者の座に輝いたワイルドナイツは、初戦で東芝ブレイブルーパス東京に22-19で競り勝つと、第2節では静岡ブルーレヴズに残り2分のトライ&ゴールで15-14と逆転勝ち。苦しい戦いを強いられながらも勝負どころで見事な集中力を発揮し、“負けないワイルドナイツ”の真価を示した。多くの選手が代表活動でチームを離れ、十分な準備期間がとれない中で難敵との接戦を勝ち切ったのは、底力の証といえる。中2週で迎える今節は、さらに進歩したパフォーマンスを見せるだろう。
一方のダイナボアーズは記念すべきディビジョン1初戦の第1節でリコーブラックラムズ東京から34-8の快勝を収めると、第2節では昨季5位の実力者、トヨタヴェルブリッツとの一進一退の激闘を27-25で制した。グレン・ディレーニー新ヘッドコーチのもとで築き上げた堅固な組織ディフェンスをベースに、80分を通してひたむきに体を張り続けるスタイルが浸透し、ゲームを重ねるごとに自信を深めている印象だ。勢いに乗ってディフェンディングチャンピオンに挑む今週末の一戦は、チームとしてこれ以上ないチャレンジの場となる。
スタッツ比較
ここまでの2試合のスタッツを比較すると、ワイルドナイツがタックル成功223回で失敗は30回、成功率88パーセントという数字を残している一方、ダイナボアーズはタックル成功が277回で失敗72回、成功率は79パーセント。ともにディフェンス力を強みとするチームながら、それぞれに異なる特徴を持っていることがうかがえる。この点は、横のスペースをしっかり押さえつつ精度の高いタックルで仕留めるワイルドナイツに対し、ダイナボアーズは精度こそ落ちるものの前に出て相手の時間と空間を奪い、バッキングアップとタックルの回数でカバーする――という両者のディフェンスシステムの違いの表れと想像される。
もうひとつ対照的なのはキックの成功率だ。ワイルドナイツがコンバージョン、ペナルティゴール合わせて10本中5回の成功に対し、ダイナボアーズは11本を蹴って失敗は1回だけ。裏を返せばここがワイルドナイツの苦戦の要因のひとつであり、ダイナボアーズの2連勝の原動力になっているともいえる。アグレッシブなディフェンスでタイトな展開に持ち込み、ゴールキックでコツコツとスコアを刻んで競り勝つというのが、ダイナボアーズの勝利のイメージだろう。
埼玉ワイルドナイツスターティングメンバー
48時間前に発表された登録メンバーを見ていくと、ワイルドナイツの前節からの先発変更は3人。南アフリカ代表の206センチの巨漢LO、ルード・デヤハーがリーグワン初出場で5番に入り、7番はラクラン・ボーシェーに代わって大西樹がスターターを務める。また山沢拓也が今季初めて10番で登場し、松田力也はリザーブに回った。
三菱重工相模原ダイナボアーズ スターティングメンバー
対するダイナボアーズは、前節のヴェルブリッツ戦のスターティングラインアップから2人を入れ替えた。NO8がジャクソン・ヘモポから198センチ、118キロのエピネリ・ウルイヴァイティに替わり、FWは1人平均186.9センチ、110.9キロにボリュームアップ。右WTBでは膝の大ケガを克服したベン・ポルドリッジが、昨年3月以来約10か月ぶりにリーグワンのフィールドへ帰ってくる。
まだ序盤戦とはいえ、この試合に勝ったほうは唯一の全勝チームとして首位に立つことになる。ワイルドナイツがホストスタジアムで地力を見せるのか。ダイナボアーズの勢いが上回るのか。好ゲームを期待したい。
直江 光信
1975年生まれ、熊本県出身。県立熊本高校を経て、早稲田大学商学部卒業。熊本高でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。早大時代はGWラグビークラブ所属。現役時代のポジションはCTB。著書に『早稲田ラグビー 進化への闘争』(講談社)。ラグビーを中心にフリーランスの記者として長く活動し、2024年2月からラグビーマガジンの編集長。
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