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ラグビー コラム 2023年1月4日

京都産業大学、9度目の挑戦も1点が届かず準決勝敗退。ラグビー全国大学選手権

ラグビーレポート by 京産大アスレチック
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力強いアタックで早大のディフェンスを破るラウシー

「1点に笑い、1点に泣く」。そんな京都産業大学の大学選手権だった。

準々決勝では慶応義塾大学相手に粘り強いプレーで、34-33と接戦を制す。その試合前、ケガで離脱中のPR(プロップ)渡辺龍(営4)に、「龍を国立に連れて行けんまま引退なんてありえへん」と4回生のメンバーたちは声をかけた。願いが叶い、1点差でもぎ取った国立競技場への切符。

たどり着いた2年連続・9回目の大学選手権準決勝。まだ一度もこの壁を破ったことはない。歴史を塗り替えられるのか、早稲田大学との試合に注目が集まった。早大とは今季、菅平合宿で1度対戦しており、その時は前半リードを奪うも守り切れず、22-40で敗れている。リベンジを誓う京産大フィフティーンだったが、早大の試合運びの『巧さ』の前に、あと1点届かず33-34で2度目の敗北を喫した。

キックオフ直後、相手のペナルティから早速マイボールスクラムに持ち込んだ。スクラムにはこだわってきたが、滑る地面と慣れないレフェリングに上手く対応できず、逆にペナルティを犯し、相手にチャンスを与えた。早大はPG(ペナルティゴール)を狙ったが失敗し、ピンチを免れる。

その後、ハーフウェイライン付近でNO8(ナンバーエイト)高本泰伍(済4=関大北陽)のジャッカルから、キックでエリアを広げ敵陣深くまで攻め込んだ。そこからLO(ロック)ソロモネ・フナキ(現2=目黒学院)とLO(ロック)アサエリ・ラウシ―(現4=日本航空石川)を中心とした激しいアタックで、ゴール前で相手の反則を誘う。ここは手堅くPGを選択し、SO(スタンドオフ)西仲隼(法4=近大附属)が決め、3-0で先制した。

前半17分、ラインアウトのミスから相手に一気に攻め込まれるも、渡辺とラウシーの激しいダブルタックルでピンチをしのぐ。そこから敵陣22m内でのスクラム、すぐに持ち出しWTB(ウィング)シオネ・ポルテレ(現1=目黒学院)にパス。スーパールーキーは早大のディフェンスをものともせず、インゴールまでボールを運び、10-3とリードを奪った。

その後もCTB(センター)高井良成(営3=関大北陽)の激しいタックルからチャンスを作り、敵陣へ攻め込む。ポルテレが再びゴールへ向かうが、グラウディングを阻止されトライとはならなかった。前半25分には、京産大のディフェンスが乱れた隙をつかれ、相手のカウンターラックで一気に窮地に陥る。乱れたディフェンスでは走り込んでくる選手を上手く止められず、得点を許した。

京産大のキックオフで試合が再開され、ボール落下地点付近まで一気に走り込みディフェンスするも、ここもまた京産大の隙を見逃さなかった早大は、一気にゴール前5mまで攻め込む。早大ボールのスクラム、そこから左に展開され圧倒的なスピードに追い付けず、2本連続でトライを献上した。

前半は残り10分。少しでも点差を縮めてから試合を折り返したい京産大。敵陣ゴール正面で2度ペナルティを奪い、PGを狙った。1本は外してしまったものの13-17と点差を詰め、後半につなげた。

ラックからSH(スクラムハーフ)土永旭(営2=光泉カトリック)が持ち出し、走り込んできたラウシ―に至近距離でパス。そのまま一気にトライ。4回生の意地を見せ、逆転に成功した。後半8分にも辻野のキレのあるステップからチャンスを作る。再び敵陣ゴール前でペナルティを奪いPGを選択。冷静に1点ずつ重ねていく。

国立競技場でもチームを引っ張ったFL福西隼杜共同主将

両者一歩も譲らないシーソーゲーム。後半開始直後、FB(フルバック)辻野隼大(済2=京都成章)が相手のディフェンスを受けながらも大きくゲイン。そこからフェイズを重ねてじわじわとゴールラインに近づけていく。

ターンオーバーを連発し、京産大の流れだった後半13分。戦前、廣瀬佳司監督が早大のキーマンとして挙げていたSH宮尾昌典が約50m独走トライを許し、23-24と再び逆転された。しかし、後半22分にはスクラムでペナルティを奪い、ここでもPG。

キックを蹴る西仲は昨年の準決勝、出場時間1分でシンビンを受けた苦い思い出がある。「去年の借りを返す」そんな思いで臨んでいるこの試合。西仲のPGで点差を詰めながら試合を進めてきた。この場面でもしっかり決め、26-24となる。

残り15分を切った場面で、早大の展開ラグビーがさく裂し得点される。点差は5点、ここは京産大もトライを奪って点差を離されたくない。しかし、京産大のオフサイドでPGを決められてしまう。1T1Gでは追いつけない8点差まで離され、絶体絶命。残り10分を切っているが、京産大は最後まで諦めない。

フナキのトライで早大をあと一歩まで追い詰めた

残り5分、相手のダイレクトタッチでチャンスが訪れる。敵陣でのラインアウトから、PR野村三四郎(済4=西陵)が22m内に持ち込みラウシ―に繋ぐ。ラウシ―のビッグゲインから最後にトライを決めたのはフナキ。土壇場で1点差まで詰め寄った。

残り時間2分を切り、両校気迫のプレーを見せる。しかし、京産大が自陣でペナルティを犯してしまう。相手はPGを狙うが右に反れ、そこから京産大は展開していくが、ここで痛恨のノックオン。ホーンが鳴る中でラストワンプレーとなるスクラムを組んだ。しかしここでもペナルティを犯してしまう。そのまま早大が蹴りだしてノーサイド。9度目の挑戦、今回もまたあと一歩届かなかった。

最後の1分1秒まで彼らはひたむきだった。計り知れない努力に裏付けされた自信が、最後までブレずに戦い続けられる原動力だろう。第1列でスクラムと向き合い続けた野村は「しんどいことばかりだった。でも、それがなかったら今ここに立てていないと思う」と言う。苦しい練習を乗り越え、今や監督に「トップレベルの選手」と言わしめるほど成長した。

昨年の帝京大学戦をスタンドで観戦していた高本と渡辺。「来年は絶対に一緒に国立でプレーしよう」と誓いを立てた。それからひたすら努力を重ね、2人で国立の地を踏んだ。「ここで勝つことが目標だったので悔しい。でも、最後まで一緒にラグビー出来てよかった」(高本)。努力することの大切さを体現したかのような2人だった。

この試合の結果を受け、新チームの主軸となるFL三木皓正(済3=京都成章)は「京産の伝統である努力、ひたむきさ、泥臭さというのがあと一歩足りていたらこの1点は埋まっていたと思う。なので、来シーズンは厳しいチームを作っていきたい」と未来を見据え、部を率いていく姿勢を見せた。

試合終了後の記者会見で廣瀬監督は「やはり、また壁を越えられなかったと実感した。4回生は本当に強く引っ張っていってくれて、非常にいいシーズンだった」と試合を振り返った。その壁を超えるには「チャンピオンシップを目指してチャレンジしていくしかない」(廣瀬監督)。

監督自身、現役時代に立ちはだかった大きな壁。京産大は国立で何度も涙を呑んできた。もう涙で国立を濡らすのは今年で終わりだ。来年こそ国立競技場で、笑顔でノーサイドの笛を聞きたい。

文:藤田芽生/写真:出口敬介(京産大アスレチック)

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京産大アスレチック

京都産業大学体育会本部編集局は年4回、「京産大アスレチック」という体育会の広報新聞を作成しています。また、SNSなどを活用し、試合速報やブログ記事の更新、号外・試合告知ポスターの発行を行っています。 »HP »Twitter »Facebook

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