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ラグビー コラム 2022年12月31日

強い同志社大学ラグビー部の復活へ、今季の収穫と露呈した課題

ラグビーレポート by 同志社スポーツアトム編集局
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昨季に続き大学選手権ベスト8で終えた同志社大学

帝京大学の前に、同志社大学は2年連続の全国8強で終幕を迎えた。「めちゃめちゃ悔しくて、情けない」。1年間チームの陣頭に立ったFL(フランカー)梁本旺義主将はこう言葉を絞り出した。

「シンプルなオプションだけでは関東勢に戦っていけない」(宮本啓希監督)。昨年、帝京大学に大敗を喫した大学選手権を見据え、今季はより攻撃的なラグビーを追求した。新たに就任した宮本監督と橋野皓介BK(バックス)統括コーチの下、ボールを動かし続けるアタックシェイプに挑戦。相手よりも動き続けるラグビーを目指すべく「MOVE」をスローガンに掲げ、『梁本組』は始動した。

シーズン序盤から攻撃に重きを置くスタイルは目に見える形で表れる。昨年までキックでエリアを獲得していた場面でも、積極的にボールを展開し攻撃を継続。「常に前と後ろのオプションを持って判断していくラグビー」(宮本監督)を目指し、試行錯誤を繰り返す日々が続いた。

同志社大学ラグビー部第112代主将の梁本

だが、高い運動量と個々の状況判断が不可欠な戦術とあって、春は連携不足によるミスが目立った。連覇を狙った春季トーナメントは、初戦で立命館大学に惨敗。「ラグビーの基本となる部分が疎かになっていた」(梁本)と厳しい現実を突きつけられてしまう。

それでも、翌週に行われた明治大学との定期戦では3トライを奪取するなど、戦術に少しずつ手応えを感じていた。7月には摂南大学と立教大学に快勝し、春シーズンを連勝締め。「春でやりたいラグビーの認識は深まったと思う」(宮本監督)。自分たちのスタイルを信じ、秋こそは関西制覇へ。周囲の期待と批判による重圧と戦いながら、覇権奪還を誓った。

春と秋、立命館大学に敗戦

迎えた秋シーズンは「ジェットコースター」と称されるほど、浮き沈みが激しかった。春と同様に初戦で立命大に敗れ、早くも優勝争いから遅れを取る。「あと全部勝つしかない」(宮本監督)。関西大学と摂南大学からは白星を奪取し、勝ち点を積み上げたが、関西学院大学戦では悲劇が待っていた。前半で26点差をつけながら、後半ロスタイムに逆転され34-38で敗北。リーグ優勝はおろか、大学選手権出場にも黄色信号が点灯する窮地に立たされた。

まるでドラマのような逆転負けから中1週間。落胆するはずの選手たちは、より結束力を増して前を向いていた。「そこで彼らが諦めず前に進んだことが、このチームの1番成長する鍵になった」(宮本監督)。4年生を中心に、再び立ち上がったチームは、関西王者・京都産業大学と互角に渡り合う。

26-31で惜敗し、自力での選手権出場は消滅したが、「近畿大学さん天理大学さんについて勝てる実力がついてきていると確信している」(宮本監督)と確かな自信をつけた。梁本は「何が起きるかわからない」と足元を見つめ、残り2試合に望みを懸けた。

土壇場の天理大学戦は会心のゲーム

しかし、次の近大戦を完封負けで落とし、第6節終了時点で勝ち点11の5位。他大学の結果によりわずかながら、同志社が選手権出場権を獲得する可能性は残されていた。その条件は3つあった。最終節で、同志社が3トライ差以上をつけて天理大に勝利すること、近大が京産大に7点差以上で敗れること、関学大が7位の摂南大に負けること。可能性は極めて低い。多くの人がそう思いながら、最終節の戦況を見つめた。

そのような状況の中、同志社は下馬評を覆し、47-19で漆黒の壁を撃破。「今年1番のゲームが大一番で出せた」(宮本監督)。同日に行われた試合で関学大と近大がともに敗れ、奇跡の逆転劇で大学選手権の切符を手にした。

◆関西大学リーグ
●15-19 立命館大学
○26-25 関西大学
○25-12 摂南大学
●34-38 関西学院大学
●26-31 京都産業大学
● 0-34 近畿大学
○47-19 天理大学

◆大学選手権
3回戦 ○62-17 福岡工業大学
準々決勝● 0-50 帝京大学

福岡工業大学に勝ち、大学選手権初戦を突破

負ければ即敗退の大学選手権。初戦は福岡工業大学を圧倒し、昨年敗れた帝京大が待つ秩父宮へと駒を進める。2021年12月26日、帝京大に敗れた瞬間から始動した梁本組。「自分たちのやってきたラグビーを正しかったっていうことを証明したかった」(LO/ロック鈴木康生)と勝つための最善を尽くし、再び同じ舞台に帰ってきた。

前半終了時点で40点差をつけられた昨年とは異なり、序盤は粘り強いディフェンスで耐え凌ぐ。接点で圧力を受けたが、敵陣で好機をつくる場面もあり、0-19で試合を折り返した。「3トライ以内で抑えられて、まだ後半に望みをつなげられた」(LO馬渡仁之祐)。だが、後半2分に痛恨のトライを許すと、防御網にほころびが生じ始める。

帝京大学に完封負け

天理大戦では5トライを挙げたドライビングモールも通用せず、攻撃の手段を失った。「関西で通用していたセットプレーが、こっち(秩父宮)ではあまりよくなかった」(CTB/センター西村海音副将)。特に1人あたり約12キロの差があったスクラムで主導権を握られ、失点につながるシーンが多発。強豪校が武器とするセットピースを今後どのように安定させていくか。秩父宮に1つの宿題を残し、準々決勝で姿を消した。

この試合をもって、梁本組は無念の幕引きとなった。「ゲームが終わった後の3回生以下の顔を、僕は絶対に忘れさせない。ここで感じたことをグラウンドで表現できるかを問い続けていきたい」(宮本監督)。今季得た収穫と露呈した課題を胸に、後輩たちが新たな歴史の1ページをつくっていく。先代たちが築きあげた強い同志社の復活へ。味わった悔しさを力に変え、再び険しい道のりを駆け上がる。

文:勝部健人/写真:橋本さくら、松井麻衣、林快人、勝部健人、小野理紗(同志社スポーツアトム編集局)

同志社スポーツアトム編集局

同志社スポーツアトム編集局

同志社スポーツアトム編集局は1978年に創刊された同志社大学唯一の体育会機関紙です。年6回の本紙の発行を軸に、号外の発行やHPの管理などをすべて学生の手で行っています。
公式サイト Twitter→@atom_doshisha

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