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【ハイライト動画あり】京都産業大学、5度目の対戦で慶應義塾大学に勝利し2年連続で正月の国立へ。ラグビー全国大学選手権 準決勝
ラグビーレポート by 京産大アスレチックキックチャージからのトライを決めた三木皓正
クリスマスの12月25日に開催された、第59回全国大学ラグビーフットボール選手権の準々決勝。『ひたむき』な2校がヨドコウ桜スタジアムで対戦した。
勝てば2年連続の正月越えとなる運命の一戦、京産大のキックオフでゲームが始まった。前半3分、相手に攻め込まれ自陣でのラインアウト。そこから土永旭(営2=光泉カトリック)が抜け出し、WTB(ウィング)シオネ・ポルテレ(現1=目黒学院)に繋ぐ。ポルテレが一気に30mをゲインし、左サイドにいたCTB(センター)高井良成(営3=関大北陽)が相手のディフェンスを上手くかわしてインゴールまでボールを運んび、7点を先制。
そこから約10分、得点が動かない時間が続く。互いにペナルティで敵陣深くに入り込めない。高井のタックルなどでチャンスを作る場面もあったが、相手のジャッカルに阻まれる。そんな中、慶大は京産大の一瞬のスキを見逃さず、トライを奪われ7-5となった。
その後も慶大の低いタックルが刺さり、ターンオーバーを許す。ゴールライン目前まで攻め込まれ、ラインアウトモールから慶大のキーマン、LO(ロック)アイザイア・マプスアのピック&ゴーでグラウディング。逆転を許した。その後も相手のキックで再びピンチに陥る。ライン際守り切れず、さらに追加点を献上し、7-19と点差が開いた。
前半も残り10分を切り、巻き返しを図りたい京産大。敵陣でのマイボールラインアウト、ソロモネ・フナキ(現2=目黒学院)がボールを受け取り、そのまま走り切りトライ。フナキは11月20日に行われた天理大学戦の直前に手の甲の骨を折り、2試合ぶりの先発となったが、約1ヶ月のブランクを感じさせない力強いプレーを見せた。
ラグビー 全国大学選手権 22/23
【ハイライト動画】準々決勝 京都産業大学 vs. 慶應義塾大学
前半34分、慶大のミスキックからチャンスが生まれる。敵陣で激しいプレーを重ね、ゴールライン目前でペナルティを奪った。「タッチキックという選択肢もあったのですが、フロントローの3人で『スクラムでお願いします』とメンバーたちに頼みました」とPR(プロップ)川口新太(法2=東海大仰星)。絶好のチャンス、京産大の伝統・スクラムで勝負した。
逆転のトライを決めた土永旭
思いを込めたスクラム、しっかり押し切りそこから展開。CTB(センター)家村健太共同主将(法4=流経大柏)が左サイドに走り込み、FB(フルバック)辻野隼大(済2=京都成章)にパス。辻野は相手のディフェンスに阻まれるも、サイドライン際で踏ん張り土永に繋いだ。最後は土永がインゴールまで運び、逆転に成功。21-19でリードを奪い、試合を折り返した。
追い風の位置で始まった後半戦、最初にチャンスを作ったのは京産大。マイボールスクラムから、土永のスーパーキックで一気に敵陣に攻め込む。「完全に狙っていた」(土永)。ゴールラインまであと5m、マイボールラインアウトからパスを受けたポルテレがゲイン。最後は川口がピックし、インゴールへ押し込んだ。
この試合、最も観客を沸かせたのは、ケガでこの日が今シーズン初先発となったFL 三木皓正(済3=京都成章)。三木は高校時代、兄のいる慶大を目指していたが受験に失敗。浪人をするか悩んだというほど慶大にあこがれが強かった。
試合後、「自分が1回志した慶応と、拾ってくれた京産ということで、自分なりのケジメじゃないけれど、人生の中で一番勝ちたいなと思う試合でした」と語ったように、並々ならぬ思いでこの試合に挑んだ。後半17分、敵陣で相手のキックをチャージ。相手のディフェンスが追いつく間もないまま、ゴールまで走り抜ける。会場の熱気も、チームメイトの熱気も一段階上げる、熱い魂を持った三木だからこそできたスーパープレーだった。
このまま流れに乗りたい場面だったが、残り10分のところで京産大のインテンショナルノックオン。認定トライとシンビンを取られ、31-26と一気に点差を縮められる。少しでも点差を広げたい中、敵陣22mラインでペナルティを奪うと迷わずPG(ペナルティゴール)を選択。34-26と8点差に持ち込んだ。しかし、後半35分に右サイドから攻め込まれ、34-33となった。
残り数分、この1点を絶対に守り切りたい。そこからは敵陣でのプレーが続く。試合終了のホーンと同時に組んだマイボールスクラム、そこからヴェア・タモエフォラウ(現3=札幌山の手)がボールを持ち出し、土永が西仲隼(法4=近大附属)にパス。
蹴り出してノーサイド。戦前キーマンとして挙げていたマプスアやSO中楠一期のプレーに翻弄され、反則を犯してしまう場面もあったが、自分たちの強みを見失わず80分間激しいアタックとディフェンスで戦い抜いた。
関西リーグ最終節のアップ中に足首を負傷したPR渡辺龍(営4=甲南)に代わって、京産大のプライド・背番号「3」を背負った川口。「ここに立てているのは龍さんのおかげ。目指してきた大きな舞台で活躍してほしい」。尊敬する先輩である渡辺の思いも背負い、2試合力強いスクラムを組み続けた。
ともに4年間苦楽を共にしてきたPR野村三四郎(済4=西陵)も「仲間という感じ。やっぱり特別な思いがある。決勝まで一緒に行けると思っている」と渡辺の復帰を切に願う。ここまで共に戦ってきた渡辺のためにも、ここでは負けられない。そんな思いが勝利を手繰り寄せたのかもしれない。
2年連続正月越えを果たした京産大。昨季はあと一歩のところで届かなかった選手権決勝。悔しさを晴らす準備は万端だ。チーム一丸となって『新しい景色』を見に行きたい。
文/写真:藤田芽生(京産大アスレチック)
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