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【ハイライト動画あり】両雄譲らず、息詰まる熱戦はドロー決着。横浜イーグルス×スピアーズ船橋・東京ベイ、ジャパンラグビー リーグワン第2節レビュー
ラグビーレポート by 直江 光信横浜キヤノンイーグルス vs. クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
まだ第2節。それなのに試合はまるで優勝をかけた大一番のような熱を帯びた。この一戦が全16節のレギュラーシーズンの単なる1試合ではないということは、横浜キヤノンイーグルスとクボタスピアーズ船橋・東京ベイのいずれにも共通する認識だったはずだ。そんな両者の気概が随所に立ち上るような、見応えある80分だった。
キックオフ直後から激しいコリジョンが連続する引き締まった立ち上がりの中、まず勢いに乗ったのはホストチームのイーグルスだ。4分過ぎ、相手のデリバレイト・ノックオンによるアドバンテージを得た状況で果敢にオープンサイドのスペースを攻め、CTBジェシー・クリエルが目の覚めるような加速で鋭くラインブレイク。外でパスを受けたWTBイノケ・ブルアが、ディフェンダーを振り切って右コーナーへ飛び込む。
12分にはSO田村優のピンポイントのハイパントから、NO8アマナキ・レレイ・マフィがパワフルにラックを乗り越えてペナルティを獲得。田村が左中間約45メートルのショットを通し、10-0とリードを広げた。
SHファフ・デクラークとSO田村のHB団を軸にしたイーグルスの巧みなゲームコントロールになかなかリズムをつかめないスピアーズだったが、20分を越えた頃からようやく持ち味を発揮し始める。24分、SOバーナード・フォーリーのPGで3点を返すと、30分過ぎにはイーグルス自慢のラインアウトモールに粘り強く体を差し込んでグラウンディングを阻止。さらにそこからじわじわと陣地を盛り返し、38分には相手陣ゴール前でのマイボールスクラムを起点にショートサイドを崩してWTB木田晴斗が左スミに押さえた。
見事な集中力で序盤を支配したイーグルス。一方のスピアーズも劣勢の流れからよく立て直し、少ないチャンスにきっちり得点を刻んだ。お互いの地力を感じさせる内容の前半は、10-8でイーグルスがリードしての折り返しとなった。
サイドが入れ替わった後半も、先に追加点を挙げたのはイーグルスだった。43分、敵陣22メートル線内で得たペナルティでPGではなくラインアウトを選択すると、SHデクラークがテンポよくパスをさばいて左順目にフェーズを重ねる。相手防御が前がかりになったところでSO田村が裏のスペースへ絶妙のキックを転がし、WTBヴィリアメ・タカヤワがトライ。難しい角度のコンバージョン決まり、17-8と引き離しにかかる。
ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1
【ハイライト動画】横浜キヤノンイーグルス vs. クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
しかしスピアーズもすぐに反撃に転じ、49分にSOフォーリーのPGでスコアは17-11に。56分にSO田村の約50メートルのロングPGでふたたび9点差とされたが、58分、65分とフォーリーが立て続けに2本のPGを決め、20-17と詰め寄った。
そして両者の真価が現れたのが、ラスト10分の激闘だった。消耗で足が止まり始める時間帯にも果敢に攻めるイーグルスは、70分に8フェーズの連続攻撃を仕留め切ってWTBブルアが右ライン際でゴールラインを越える。SO田村のゴール成功で、スコアは27-17まで広がった。
ただし、スピアーズの前に出る意欲もまた衰えなかった。73分、中盤のFKから速攻を仕掛けて敵陣ゴール前まで攻め込むと、途中出場のCTBライアン・クロッティがショートサイドをもぐって追撃のトライ。なおも残りわずかな時間でひたむきに攻め続け、78分に同じく途中出場のPRオペティ・ヘルがラックから豪快になだれ込む。土壇場で27-27の同点に追いついた。
22メートルラインと左15メートルラインが交差する地点のやや後方からのゴールキック。決まればスピアーズの逆転サヨナラ勝ちというシーンだったが、SOフォーリーが右足で蹴り上げたボールは、ポストをかすめるように左へ逸れる。その直後、試合終了を告げるホイッスルがスタジアムに鳴り響いた。
残り10分で10点を先行していたイーグルス。ラストプレーでコンバージョンを決めれば逆転というところまで持ち込んだスピアーズ。それぞれ十分白星に手の届く内容だっただけに、勝ち切れなかったのは悔やまれるだろうが、この強敵を相手にこの展開で勝ち点2をつかめたことは、確かな地力の証ともいえる。この経験は、両チームがもう一段上のレベルへ成長を遂げる大切な糧となるはずだ。
あらためてまだ第2節。長いシーズンを勝ち抜くためには、こうしたタフなゲームを重ねて着実にステップアップしていくことが重要になる。ふたたび顔を合わせる第12節のセカンドレグ(3月18日@江戸川区陸上競技場)、さらにはその先の戦いが楽しみになる一戦だった。
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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