【ハイライト動画あり】トヨタヴェルブリッツ、FW戦を制し静岡ブルーレヴズに勝利。ジャパンラグビー リーグワン第1節

開幕戦は東海ダービー

2シーズン目を迎える「NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23」が、12月17日（土）に開幕した。愛知・豊田スタジアムでは、ディビジョン1のカンファレンスAに属するトヨタヴェルブリッツ（昨季5位）が静岡ブルーレヴズ（昨季8位）を迎える「東海ダービー」が行われた。

昨シーズンの開幕戦も同一カード。コロナ禍の影響で中止となったが、今シーズンも初戦で東海エリアのライバルチーム同士が激突した。なお、昨季は1度、エコパスタジアムで対戦しており、トヨタヴェルブリッツが15-18と接戦で勝利している。

トヨタヴェルブリッツは、日本代表の欧州遠征に参加した共同キャプテンのFL（フランカー）古川聖人とNO8（ナンバーエイト）姫野和樹の2人はリザーブからのスタートとなった。だが、LO（ロック）秋山大地、WTB（ウイング）高橋汰地ら日本代表を経験した選手も多く、現役スプリングボクスのFLピーターステフ・デュトイなど、国際経験の豊かな選手が並んだ。ゲームキャプテンはSH（スクラムハーフ）福田健太が務めた。

静岡ブルーレヴズは南アフリカ代表NO8（ナンバーエイト）クワッガ・スミスと、FB（フルバック）奥村翔、共同キャプテンの2人が先発。さらにクルセイダーズで活躍したSHブリン・ホールが、SO（スタンドオフ）サム・グリーンとハーフ団を組んだ。

昨季、悔しい思いをした両チームはプレーオフ進出のためにも、まずは初戦で勝って勢いに乗りたいところだった。ともにFW（フォワード）のスクラム、ラインアウトモールに自信があるチームだけに、セットプレーが勝敗の鍵を握る試合になると予想された。

少し雨混じりの曇天の下、1万2213人の観客が見守る中、試合は午後2:30にキックオフされた。試合開始からわずか53秒、静岡ブルーレヴズのWTB（ウィング）マロ・ツイタマがチャージからトライ。FB奥村のゴールも決まり、7点を先制する。

さらに敵陣へ攻め込んだ静岡ブルーレヴズは13分にもSHホールが出した球を、今季、東芝ブレイブルーパス東京から移籍したCTB（センター）ジョニー・ファアウリ、WTBツイタマと繋いで連続トライを上げて12点をリードし、主導権を握ったかに思われた。

しかし、トヨタヴェルブリッツも反撃。攻撃を継続すると相手が反則を繰り返し、SOティアーン・ファルコンが落ち着いてPG（ペナルティゴール）を2本決め、6-12と追い上げる。さらに30分以降、トヨタヴェルブリッツはスクラムで優位に立ちペースを掴む。32分、ラインアウトを起点に攻撃を継続し、最後はCTBロブ・トンプソンが右中間に持ち込み11-12と1点差で前半を折り返した。

後半に入ってもトヨタヴェルブリッツペースは変わらず、5分、スクラムで得たペナルティからSOファルコンがPGを沈め、ついに14-12と逆転すると、直後の6分、敵陣から攻めて、FL吉田杏のランから、新加入のWTBジョネ・ナベテレヴがトライを挙げて19-12と点差を広げる。12分、静岡ブルーレヴズは相手ゴール前で、スクラムでペナルティを得て、再びスクラムを選択したが、トヨタヴェルブリッツは逆に押し込んでピンチをしのいだ。

すると再びトヨタヴェルブリッツの時間となり、15分にSOファルコンが長い距離のPGを沈める。さらに17分、相手ボールをターンオーバーし、ボールを継続。最後は途中出場のHO（フッカー）加藤竜聖がインゴールに飛び込んでトライ。31-12とトヨタヴェルブリッツが静岡ブルーレヴズを突き放した。

静岡ブルーレヴズも34分、40分に武器とするモールからLO大戸裕矢、NO8スミスがトライを挙げて意地を見せたものの、結局、試合はトヨタヴェルブリッツが逃げ切り。31-26でノーサイドを迎えた。POM（プレイヤー・オブ・ザ・マッチ）にはトヨタヴェルブリッツのSOファルコンが選出された。

トヨタヴェルブリッツFW陣がラインアウトを安定させただけでなく、スクラムでも終始優位に立ったことが勝利を引き寄せたと言えよう。今季から指揮を執るトヨタヴェルブリッツのベン・ヘリングHC（ヘッドコーチ）は初陣での白星に「まずは初戦だし、勝つという結果が大事だった。試合の入り、また終わりの部分で反省点はあるが、それは次に向けて修正したい」と安堵の表情を見せた。

また、ゲームキャプテンのSH（スクラムハーフ）福田健太は「開幕戦なので難しい試合になることはわかっていたので、先行されていても焦りはなかったし、SOファルコンのキックにも信頼を置いていた」と冷静に振り返った。

なお、この試合の後に行われた、リーグ戦の出場の少ない選手の育成、成長を提供するためにメンバー外の選手による「MIRAI MATCH」もトヨタヴェルブリッツが10-7で勝利している。

ホストで勝利したトヨタヴェルブリッツは次節、12月25日（日）に今季昇格し、開幕戦でディビジョン1での初勝利を挙げた三菱重工相模原ダイナボアーズと、神奈川県・相模原ギオンスタジアムで対戦する。

黒星スタートとなった静岡ブルーレヴズは同じく25日（日）にホストの静岡県・ヤマハスタジアムでディフェンディングチャンピオンの埼玉パナソニックワイルドナイツを迎える。

文：斉藤健仁