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因縁の相手を倒し勢いに乗るのはどちらか。横浜イーグルス×神戸スティーラーズ、NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 開幕節注目カードプレビュー
ラグビーレポート by 直江 光信横浜キヤノンイーグルス vs. コベルコ神戸スティーラーズ
どちらにとっても重要な意味を持つゲームだ。
昨シーズンの対戦成績は1勝1敗。第2節のファーストレグは、ホストの横浜キヤノンイーグルスが55-21で圧勝を収める。開幕から2連敗となったコベルコ神戸スティーラーズはこの序盤戦のつまずきが響き、結局最後まで波に乗り切れなかった。
しかし第15節のセカンドレグでは、スティーラーズが42-33と雪辱を果たす。すでにプレーオフの可能性がなくなっていたスティーラーズが、ホスト最終戦で見せた意地。イーグルスは結果としてこの敗戦により、目前に迫っていたトップ4入りを逃すこととなった。
絶対に負けてはならない試合で敗れた因縁の相手といきなりぶつかる、2年目のリーグワンの開幕戦だ。ここを取るか落とすかで、その後のシーズンの流れが決まる。両者のこの一戦にかける意気込みは、並々ならぬものがあるだろう。
それぞれのプレシーズンマッチの状況をチェックすると、昨季6位のイーグルスは10月15日の東芝ブレイブルーパス東京戦(◯66-10)を皮切りに、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(◯45-24)、コベルコ神戸スティーラーズ(◯39-19)、静岡ブルーレヴズ(◯55-47)、トヨタヴェルブリッツ(●42-43)と、5試合行って4勝1敗。一方昨季7位のスティーラーズは19-39で敗れた11月5日のイーグルス戦が初戦で、その後花園近鉄ライナーズ(◯52-38)、静岡ブルーレヴズ(●33-38)、三重ホンダヒート(●19-63)、トヨタヴェルブリッツ(●31-33)と、5戦で1勝4敗という結果になっている。
注目されるのは大分の豊後企画フィールドで行われた11月5日の直接対決。ともに日本代表組や海外代表勢を欠く布陣で、イーグルスはプレーシーズンマッチ3戦目、スティーラーズはこれが初戦と、前提に違いがあることは差し引いて考えるべきだが、トライ数7対3で快勝したイーグルスは、いい感触をつかんでいるだろう。
一方のスティーラーズは、この試合もメンバーを入れ替えた前半(0-22)と後半(19-17)で大きく展開が変わったように、布陣によってパフォーマンスの波が激しい点が気掛かりだ。代表組が合流して2週間弱という短い準備期間で、どこまでチームとしてまとまれるかが、重要なポイントになる。
戦力面では、ともにチームを大きく変える可能性がある実力者が加わった。イーグルスの注目は、2019年ラグビーワールドカップ日本大会で優勝の立役者となった南アフリカ代表のSHファフ・デクラーク。強気のリード、左足の精度の高いボックスキックに加え、頑健なディフェンスでも存在感を示すワールドクラスの9番だ。何より期待されるのは、闘志を前面に押し出し勝利をもぎ取りにいくアグレッシブな姿勢。ここというゲームを勝ち切れなかったイーグルスにとって、プレーはもちろんメンタル面でも与える影響は大きいだろう。
スティーラーズでは、オールブラックスでも活躍した弾丸ペネトレイターのナニ・ラウマペと、三菱重工相模原ダイナボアーズから移籍した魅惑のランナー、マイケル・リトルのCTBコンビに期待がかかる。膠着状況を打開できる特別な能力を持つ2人だけに、アタッキングマインドの強いスティーラーズのスタイルにフィットする可能性は高い。飛躍の1年となったSO/CTB李承信とのコンビネーションでどのような化学反応が生まれるのか、期待はふくらむ。
横浜キヤノンイーグルススターティングメンバー
キックオフ48時間前に発表された登録メンバーを、ホストチームのイーグルスから見ていこう。FW第1列は左PRに岡部崇人、HOはNECグリーンロケッツ東葛から移籍の川村慎、右PR にNTTドコモレッドハリケーンズ大阪から加入の杉本達郎という並び。LO陣は元ウエールズ代表のコリー・ヒルと、201センチのマックス・ダグラスがコンビを組む。バックローはFLリアキ・モリ、FL嶋田直人、NO8アマナキ・レレイ・マフィという構成だ。
HB団はSH山菅一史とSO田村優のおなじみのペア。TB陣は11番からヴィリアメ・タカヤワ、12番に新キャプテンの梶村祐介、13番は南アフリカ代表のジェシー・クリエル、14番は好ランナーのイノケ・ブルアという布陣で、FBはエスピー・マレーが務める。SHデクラークはリザーブからのスタートとなった。
コベルコ神戸スティーラーズ スターティングメンバー
対するスティーラーズはPR高尾時流、HO松岡賢太、PR山下裕史のフロントロー3人に、LO陣は昨季躍進を遂げた今村陽良と、203センチのJD・シカリングのペア。FW第3列は新キャプテンの橋本皓が6番に入り、南アフリカ代表の新加入選手、マルセル・クッツェーが7番を背負う。NO8には本来BKながらFWでも卓越した身体能力を発揮するパワフルペネトレーター、アタアタ・モエアキオラが名を連ねた。
HBはSH中嶋大希にSO李承信と、今季日本代表に選出された2人がスターターでゲームコントロールを担う。両CTBは注目のナニ・ラウマペとマイケル・リトルの強力コンビ。WTBは左に筑波大から今季加入の松永貫汰、右にFBも可の井関信介が入った。FBは今季絶好調の日本代表の15番、山中亮平だ。
見どころ満載の一戦は12月18日の日曜日、神奈川県のニッパツ三ツ沢球技場で14時30分にキックオフを迎える。
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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