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天理大学に挑んだ紺グレ
同志社大学が最終節で強豪・天理大学に47-19で劇的勝利を果たし、土壇場で全国選手権への切符をつかんだ。終了のホイッスルと共に、主将という重圧を背負いこれまで戦ってきたFL(フランカー)梁本旺義(社4=常翔学園)が泣き崩れた。「今試合のテーマが『強気』だったが、しっかり体現して同志社大学、みんなで勝ち抜こうという思いが今日のスコアに繋がったと思う」。
宮本啓希監督と喜びを分かち合う
天理大学戦で見せた規律を守った素早いディフェンスとハンドリングエラーの少なさ、またスクラムでも平均体重差が7キロある相手を押し返し、ゴールライン間際の攻防を制する場面が見られた。得点源となったのはドライビングモールからのトライだった。接点で競り勝つと、前への圧力を1点に集中させ、相手の横入りを阻止。じっくり圧力をかけ、屈強なブレイクダウンから走力のあるBK(バックス)陣にボールを繋ぎトライ。まさに今シーズンのテーマである「MOVE」(80分間動き続けるラグビー)が体現された試合だった。
「モールは完璧で、相手から完全に優位に立てていた」(FL小島雅登・社4=東福岡)。第112代梁本組による一心不乱の戦いが功を奏し、漆黒を撃破。気持ちのこもった彼らのプレーは見ているこちらを「MOVE」(感動)させるラグビーだった。さらに47点全得点を、今年新たに同志社の仲間に加わったルーキーのSO(スタンドオフ)大島泰真(スポ1=京都成章)、HO(フッカー)長島幸汰(スポ1=京都成章)、NO8(ナンバーエイト)林慶音(スポ1=大阪桐蔭)が決めたことも、これからの同志社ラグビーの明るい未来を示唆しているだろう。
関西大学リーグを振り返ると3勝4敗で5校並ぶ接戦のシーズンだった。そのため、選手権への出場は最終節で3つの奇跡が産んだ賜物となった。1つ目はまず同志社が天理大学に3トライ差以上で勝利すること。2つ目は関西学院大学が摂南大学に敗北すること。そして3つ目は近畿大学が京産大学に8点差以上で負けることだ。この3つの要素が全て揃い、梁本組は勝ち点16を獲得。関西リーグを3位で終え、大学選手権出場が決定した。ギリギリで選手権出場を逃した近畿大学、関西学院大学の思いも背負いながら選手権へ挑んでほしい。
FW戦で優位に立ちたい
紺グレにとって選手権で最初の相手は福岡工業大学。1回戦では八戸工業大学に57-0と完封勝利。2回戦では成長が著しいIPU環太平洋大学に6点差で勝って、3回戦進出を決めており、決して油断はできない相手だ。「去年選手権で帝京大学に負けてしまっているため、選手権では上を目指して帝京大学にリベンジしたい」(PR/プロップ山本敦輝・社3=常翔学園)。
福岡工業大学に勝利すると、次戦はラグビーの聖地・秩父宮で去年敗れた帝京大学と対戦することになる。リベンジマッチを実現するためにも、まずは福岡工業大学に勝利しなければならない。天理大学戦で見せた、規律を守った屈強なディフェンスと相手に入る隙を与えないモール、さらにBK陣の走力を徹底的に鍛えることができれば、去年実現することのできなかった帝京大学に勝利する可能性は充分にある。
「ラグビー人生最後のシーズンだから、絶対に選手権に行きたいという気持ちがあった。選手権に繋げることができたのが本当にうれしい。1戦1戦しっかり勝って日本一へ向けて頑張りたい」(小島雅登)。第112代の本当の戦いはこれからだ。
文:橋本さくら/写真:林快人(同志社スポーツアトム編集局)
同志社スポーツアトム編集局
同志社スポーツアトム編集局は1978年に創刊された同志社大学唯一の体育会機関紙です。年6回の本紙の発行を軸に、号外の発行やHPの管理などをすべて学生の手で行っています。
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