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左からハンセンDOR、古川聖人、福田健太、へリングHC 写真提供:トヨタヴェルブリッツ
12月17日(土)、2年目を迎える「NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23」開幕にあたり、6日(金)、愛知県内でトヨタヴェルブリッツが記者会見を開いた。
登壇者はスティーブ・ハンセンDOR(ディレクター・オブ・ラグビー)、ベン・へリングHC(ヘッドコーチ)、共同キャプテンの1人FL(フランカー)古川聖人、リーダーの1人であるSH(スクラムハーフ)福田健太の4人。なお、もう一人の共同キャプテンNO8(ナンバーエイト)姫野和樹はコンディション不良で欠席した。
2015年ワールドカップでオールブラックスを優勝に導き、2019年12月から現職に就いたハンセンDORは今季からサイモン・クロンHCに替わって、指揮官を新たにヘリングHCに任せた。その理由をハンセンDORは「彼は人を上手くつなげる『コネクター』だと思っています。(チームの)アイデンティティーを築き上げてくれたと思います」。
「常にベターになる姿勢の下に、ハードワークし、お互いを大切にし、自分自身でモチベーションを上げるチームのカルチャーを作っています。今季はより、やりたいことができていると思います。ベンやそれ以外のコーチがチームとつながって、内なる強みがでてきたと思います。選手、スタッフを常にケアしてくれているので、それを継続してやってほしい。彼とはいい関係性で仕事ができているので継続していきたい」と期待を寄せた。
日本代表、サンウルブズなどでの指導歴もあるニュージーランド出身のヘリングHCは「チームが1つにまとまってきている。若い選手も多いので楽しみ」と話す。そんな新HCは「ブラザーフッド」という言葉に重きを置いて指導しているという。「フォーカスの焦点を1つの目標、目的にしぼるために使っている言葉です。『兄弟の絆』という意味ですが、この環境の象徴で、チームを一つにまとめるために使っている言葉です」。
会見に挑む4名 写真提供:トヨタヴェルブリッツ
代表に選ばれた共同キャプテン2人が不在中、リーダーの1人としてチームを牽引したSH福田は「プレシーズン、ハードワークして一体感醸成は若手選手だけでなく、ベテラン、外国人関係なく、みんなでいい融合ができた。ラグビーは15人で戦うスポーツなので、オフフィールドでもしっかりバックグラウンドを知ることや、お互いを認め合う、尊敬し合うことが今季はできている。ここから積み上げてきたことをリーグワンで出すことが楽しみ」と手応えを口にした。
今秋、テストマッチには出場できなかったが3ヶ月間、日本代表活動に参加していた古川キャプテンは、昨季に続いて共同キャプテンとなった日本代表の姫野とともにチームを引っ張ることになった。
会見当日が26歳の誕生日だった古川キャプテンは「自分の中でもこのチームを代表してキャプテンやらせていただけるのは光栄だし、姫野さんと一緒にやれるのも自分としてもいい経験、いいチャレンジになる。『僕が(姫野さんに)ついていくというより、僕自身、しっかりリーダーとしてやってほしい』と言われた。姫野さんに頼るだけでなく自分の色を出して引っ張っていって、姫野さんの力を借りてやっていきたい」とまっすぐ前を向いた。
また、代表活動で得たことを聞かれて、古川キャプテンは「欧州遠征に行って、なかなか試合に出られなかったが、チームが勝つためには試合に出るメンバー以外の力が必要になってくると思う。そういった経験をしてきたので、本当の意味でのチームのつながり、チームの目標達成をチーム全員でやっていければいい。1人ではなくチーム全員でやっていけたらいいなと思います」と話した。
トヨタヴェルブリッツは、トップリーグ時代、ベスト4の常連だったが、なかなかタイトルには手が届かず、昨季も惜しくも5位でシーズンを終えた。常に優勝争いを演じている埼玉パナソニックワイルドナイツ、東京サントリーサンゴリアスとの差について聞かれたハンセンDORは以下のように答えた。
「サンゴリアス、ワイルドナイツはリーグの中でスタンダードを作ったチームで、歴史的に見ると彼らはプレシャーの中で、高いパフォーマンスを発揮してきた。他のチームも同じ高みを目指しています。日々コントロールできるのは自分たちのみです。チームのスタンダードは成長中でもあります。プレシーズンはうまくできているので、お互いを『トラスト』して、お互いのプロセスを信じてやっていきたい」。
「今、チームで作り上げているカルチャーに『トラスト』があります。個人がしっかり役割をこなしきる、その中で準備を続けるのが『トラスト』です。それをシーズンに活かすことを楽しみにしていますが、(ワイルドナイツ、サンゴリアスとの)対戦はどうなるかわかりません。ただ、みなさんが誇りに思えるようなパフォーマンスをしたいと思っていますし、もし結果がでればそれはよし、結果がでなければまたトレーニングを積んで日本一を目指していきたい。いずれにせよ時間がかかるものです」と話した。
12月17日(土)のリーグワン開幕戦は、愛知・豊田スタジアムで静岡ブルーレヴズを迎える。負けられない「東海ダービー」だが、ヘリングHCは「すごくいい準備ができていて、チームがすごくいい状態なので開幕戦が楽しみ」と言えば、古川キャプテンは「シンプルに楽しみです。今までやってきたことを1つ1つぶつけていく」。福田も「1つターゲットにしていることもあるので楽しみです。意識し過ぎずに、ここから個人としてもチームとしてもレベルアップしていきたい」と意気込んだ。
今季の目標について聞かれて、ヘリングHCは「ゴールはどのチームも同じ(優勝)だと思います。チームとしての成長と継続に重きを置きたい。それぞれのセッションの中で最大限の効果が得られるように頑張っていきたい」と話すにとどめた。
また、古川キャプテンは「FLとして激しくディフェンスして、強みのジャッカルでボールを取ってくるところを見てほしい」と言えば、福田は「僕の長所はランニングやスピードがあるのでトライを取れるところ、流れを変えるところです。ラグビー初心者でも見ていて楽しい、もう一度見たいというチーム、個人になりたい。目指すべきところはもちろん日本代表ですが、先を見ず地に足をつけて頑張りたい」と語気を強めた。
昨季はシーズン中盤から調子が上がってきたが、惜しくもプレーオフ進出を逃したトヨタヴェルブリッツ。今季は新指揮官のヘリングHCの下、スタート奪取を決めて、まずはしっかりとトップ4に入って日本一にチャレンジしたい。
文:斉藤健仁/写真提供:トヨタヴェルブリッツ
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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