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今年も特別な一日がやってくる。
1918年創部の早稲田大学ラグビー蹴球部。どんな手札であっても勝利を掴み取るウイニング・カルチャーを持ち、優勝回数最多16回を誇る。
1923年創部の明治大学ラグビー部。「御大」故・北島忠次氏の座右の銘「前へ」を核心とし、生活改革を礎として2018年度に22季ぶり13回目の日本一を達成した。
アカクロ(早大)と紫紺(明大)。
数々の名勝負を繰り広げてきた名門同士、永遠のライバルが、今年も関東大学対抗戦の最終週で激突する。
今年の舞台は12月4日(日)の東京・国立競技場。
対抗戦での国立開催は13年以来9年ぶり。大学選手権では、早大が優勝(45-35)した2019年度に国立で激突。5万7345人の大観衆を集め、話題となった。
定期戦での対戦は98度目だ。通算成績は早大の55勝40敗2分け。ただ4年生が新入生だった3季前から数えると、明大の2勝1敗(36-7、34-14、7-17)となる。
現在、対抗戦での成績は共に5勝1敗だ。
すでに帝京大学が対抗戦優勝を決めており、明大が暫定2位(勝点24)、同3位が早大が勝点1差で追いかける。
勝利した方が対抗戦2位として大学選手権出場へ出場。敗戦した場合は、前日(12月3日土曜日)の慶應義塾大学×帝京大の結果次第で対抗戦4位となる可能性もあり、見逃せない最終週となっている。
明大は敗戦から立ち直りたい状況だろう。
11月20日の帝京大戦では13-29で敗戦。接点やスクラムでプレッシャーを受け、昨季決勝戦で敗れた相手に黒星を喫した。2季目の神鳥裕之監督は敗戦後に語った。
「帝京大学さんの力強いプレーにやられました。この悔しい思いをしっかりと抱え、対抗戦残り1試合、そして大学選手権と、またチャレンジしたいと思います」
一方、早大の前戦、白星を上げている。
帝京大に敗戦(17-49)したものの、続く慶大戦に19-13で勝利。前半こそブレイクダウンとキックゲームに苦しんだが、後半に修正力を発揮した。
「前半は慶應さんの激しいブレイクダウンに苦しめられ、何本もターンオーバーされました。後半はそこを修正できました。その修正力が今後の試合に繋がると思います」(早大・HO佐藤健次)
早稲田大学スターティングメンバー
両軍のメンバーが発表されており、早大は慶大戦から先発1名変更。慶大戦で負傷した相良昌彦キャプテンが無念の欠場となり、3年のFL永嶋仁に想いが託される。ゲーム主将は副キャプテンのCTB吉村紘だ。
明治大学スターティングメンバー
明大は帝京大戦から先発15人は変わらず。WTB石田吉平キャプテンをはじめ、充実の布陣で大一番に臨む。
キックゲームの行方は注視したい。
明大には図抜けたキック精度、飛距離を誇るCTB廣瀬雄也がいる。一方の早大もCTB吉村ゲーム主将、FB小泉怜史といった好キッカーを揃えている。
ラインアウトの攻防にも注目したい。
明大の両ロックは共に191cm(山本嶺二郎、武内慎)。しかし早大FWに190cm代はおらず、FW平均身長でも明大に軍配が上がる。早大はどんな方法でラインアウトの成功率を高め、得意のモールを組み上げるか。
そしてスクラム戦では、お互いのプライドが激突するだろう。
早大は元ヤマハ発動機の仲谷聖史コーチの下、すでにスクラムへの強いこだわりを造り上げている。早大フロントローは不動の3人、PR井元正大、HO佐藤、PR亀山昇太郎だ。
一方の明大は、帝京大戦でプレッシャーを受けている。早大とのスクラム戦に懸ける思いは尋常ではないはずだ。先発フロントローはPR中村公星、HO松下潤一郎、PR為房慶次朗だ。
18年度は「早明戦」で負けた明大が大学日本一になり、翌19年度は「早明戦」に負けた早大が日本一に輝いている。今年の結果が、両軍の今後に与える影響も見逃せない。
レフリーは18年から3年連続で梶原晃久さんだったが、今年は昨年に続いて関谷惇大レフリーが務める。
キックオフは日曜日の14時。最高峰の舞台で繰り広げられる、最高のライバル対決を堪能したい。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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