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東洋大学の「T」マークで大学選手権出場を祝う
11月27日(日)、ラグビー関東大学リーグ戦1部の最終戦が行われ、東京・江戸川陸上競技場では勝ち点18(4勝2敗)で3位につける東洋大学と、勝ち点15(3勝3敗)で4位タイの立正大学が激突した。
ともに今季、2部から1部に昇格して好調を維持しているチーム同士が、最終戦で大学選手権の初出場をかけて戦う大一番となった。東洋大学は勝ち、もしくは引き分けで3位以上が決まり、立正大学は勝利が必須で、できれば勝ち点5をあげたいところだった。昨季のリーグ戦2部での対戦は立正大学が、31-26で勝利して優勝している。
FW(フォワード)のセットプレーに自信があり、ハーフ団のゲームコントロールに長けている両チーム。先にチャンスを迎えたのは何としても勝利したい立正大学だった。SO(スタンドオフ)吉永崚(4年)の「50-22キック」で相手陣に攻め込み、ゴール前スクラムからチャンスを迎え、10分、LO(ロック)田代拓海(4年)が押さえてトライ。ゴールも決めて7点を先制した。
同点トライを挙げた東洋大SH神田
しかし、すぐに東洋大学も反撃。13分、相手陣ゴール前のラインアウトからモールを押し込み、アドバンテージを得ると、最後はSH(スクラムハーフ)神田悠作(4年)がパスダミーから抜け出し、ゴールも決まって7-7の同点に追いつく。
モールからトライを挙げるHO谷名
さらに20分を超えると、東洋大学はスクラムで優勢となり、試合を優位に進める。27分、再び相手陣奥でラインアウトのチャンスを得ると、モールを押し込んで最後はHO(フッカー)谷名樹(4年)がねじ込んでトライ、14-7とリードを広げる。さらに東洋大学は相手陣で攻撃を継続。32分、FL(フランカー)タニエラ・ヴェアがトライ。さらにロスタイムにもモールを押し込んでアドバンテージを得た後、FLヴェアが押さえて26-7で前半を折り返した。
2トライを挙げて勝利に貢献した東洋大FLヴェア
後半も序盤は東洋大学ペースは変わらず、3分にWTB(ウイング)杉本海斗(3年)がPG(ペナルティゴール)を決めると、10分にもモールから再びHO谷名が押さえ、34-7とリードを広げる。ようやく、10分過ぎから立正大学もアタックを仕掛け、15分には途中出場のFL國松建佑、32分にはWTB大月淳史(ともに4年)がトライを挙げて意地を見せた。
ノーサイドの瞬間
だが、東洋大学もディフェンスで粘りを見せて、試合は34-21でそのままノーサイド。29シーズン振り1部に昇格した東洋大学が、開幕戦で東海大学を下した力を発揮し、前半だけで4トライを挙げて、2部時代からのライバルから白星を挙げた。東洋大学は5勝2敗として3位。1959年の創部以来、初めて大学選手権の出場切符を得て部の歴史を塗り替えた。
この試合でPOMに選ばれた東洋大WTB杉本
この試合のPOM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)には、キッカーを務めた東洋大学WTB杉本が選ばれた。「個人個人は緊張していたが、試合になれば、自分の役割に集中して強い気持ちで戦えることができた。これがスタートだと思うので、自分たちのラグビーをみんなに見せられるように表現したい」(WTB杉本)。
立正大学、攻撃の要NO8ウィルソン
なお、関東大学リーグ戦1部の「ベスト15」には東洋大学からキャプテンLO齋藤良明慈縁(4年)、FLヴェア、SH神田の3人、立正大学からはキャプテンHO陣内源斗(4年)、NO8(ナンバーエイト)ユアン・ウィルソン(2年)の2人が選ばれ、両校の躍進ぶりがわかる選出となった。
初の大学選手権出場はならず、5位に終わった立正大学の堀越正巳監督は「前半思った以上に(トライを)取られてしまった。強みだと思っていたスクラムで力を発揮できずやりづらくなった。それでも当てながら、キックを有効に使うラグビーを最後まであきらめずやってくれた」と話した。
キャプテンHO陣内は「ラインアウトのプレッシャーをくらうのを避けようと対策はしていたが(トライを取られてしまった)。(4年間を振り返って)1年目は入替戦で中央大学に敗れて、2年は入替戦にも出場ができず、3年で1部に昇格できた。(4年は)大学選手権の目標が達成できなかったが、後輩に1部で戦う環境を残せて、やり切れたと思う」と振り返った
スクラムでは東洋大が優勢だった
2部昇格のシーズンに初の大学選手権出場を決めた東洋大学の福永昇三監督は「集大成の試合だから、自分の仕事だけに集中しようと選手も言っていたので、それができて良かった。スクラム、モール、ラインアウトが強みだが、いかに圧力かけることができるかがゲームのポイントで、キャプテンを中心によくやってくれて、改めてすごい選手たちだなと思った。プレッシャーもあったが、そういうのを上手く乗り越えて、いい表現をして、見事にやってくれて格好よかったですね!」と笑顔を見せた。
ラグビー 関東大学リーグ戦2022
【ハイライト】東洋大学 vs. 立正大学
キャプテンLO齋藤は「初戦、東海大学さんと対戦してものすごいプレッシャーでしたが、それに対してギリギリで勝ちきることができて、精神的に余裕を持って、フィジカル、フィットネスでも負けることなく、自分たちの強みを出せば戦えることができるようになった」。
「昨季、2部でやっていた自分たちだが、すごい舞台でやらせていてもらってうれしい気持ちでいっぱいですが、今季の目標は日本一。このチームは力もありますし、すでに『パラダイス』(今季のスローガン)を達成していますが、もっと『パラダイス』になるように、力をつけて大学選手権に臨みたい」と先を見据えた。
東洋大学が開幕戦で東海大学に勝利した勢いのまま走り抜け、3位で大学選手権出場を決めた。初の大学選手権(3回戦)は12月11日(日)、秩父宮ラグビー場で行われる。相手は対抗戦3位と決まっており明治大学、早稲田大学、慶應義塾大学のいずれかとなる。
「また(大学選手権で)歴史を変えたい」と齋藤キャプテンが語気を強めたように、リーグ戦で旋風を巻き起こした東洋大学が対抗戦の伝統校が対して自分たちのラグビーでチャレンジする。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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