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国立競技場でオールブラックスと対戦した日本
今秋の代表活動を終えたラグビー日本代表。11月24日(木)、フランスから帰国したばかりの藤井雄一郎NTD(ナショナルチームディレクター)がオンライン会見に応じた。9月から大分、宮崎で合宿を繰り返した日本代表。成績は下記の通り、1勝5敗(うちテストマッチは3敗)となった。
◆強化試合
10月01日 ●JAPAN XV 22-34 オーストラリアA代表○ @秩父宮
10月08日 ●JAPAN XV 21-22 オーストラリアA代表○ @ベスト電器スタジアム
10月14日 ○JAPAN XV 52-48 オーストラリアA代表● @ヨドコウ桜スタジアム
◆テストマッチ
10月29日 ●日本 31-38 ニュージーランド○ @国立競技場
11月12日 ○イングランド 13-52 日本● @トゥイッケナム
11月20日 ○フランス 35-17 日本● @スタジアム・ドゥ・トゥルーズ
藤井NTD
藤井NTDはまず全体をこう総括した。「(昨晩サッカーのワールドカップで日本がドイツに勝ったため)今日はサッカー一色になって、ラグビーどころではないと思いますが、昨日、サッカーの試合を見て最後まで、しっかり食らいついて、とどめを刺すところは私達が目指しているところです」。
ラグビーワールドカップ2023 特集ページ
「今回、オールブラックスから始まってテストマッチを3試合やりましたが、ギリギリまで追いついて最後良い形で終わらせたいという目標で頑張った。選手は3ヶ月、若い選手も含めて、チームは本当にハードな練習を重ねた。もちろん成長した選手はたくさんいるし、結果は出なかったが、あのような形を続けて、最後ひっくり返せるように、最後の詰めをどういうふうにするか考えられるテストマッチだった」。
「イングランド代表戦はプレッシャーと、相手のホームですごい観客で、飲み込まれたわけではないが、しっかり修正してフランス代表に挑んで、結果はでなかったが、あと少しというところで。勝てていないので納得するわけにはいかないが、それなりの成果が出せたかなと思います」。
まず、10月にオーストラリアA代表と3戦したことに関しては、藤井NTD「大きかった。スピードが(サンウルブズで参戦していた)スーパーラグビー時代より格段に速くなった。戦術、コーチに対する信頼を持っているし、そういうのを含めて、国際試合があると強化のスピードが上がる」と振り返った。
欧州遠征に関して藤井NTDは「接点で圧力を受けることは最初からわかっていて、点数で食らいつこうとした。ただレフリーに関しては、こっちから映像を編集して、10クリップほど確認のビデオを送った。8つくらいは間違っていたという回答が返ってきた。(だから)フランス代表戦では、そこまで接点に関して修正することなく、やってきたことを出せた。世界1位、2位のチームに食らいつけた。ただゴール前まで行って、なかなか点につなげられなかったのは今後の課題です」。
オールブラックス戦でトライをあげたディアンズ
「若い選手に関しては特に、SO(スタンドオフ)李(承信)、LO(ロック)ワーナー・ディアンズ、FL(フランカー)下川甲嗣は出た中で、それなりのプレーをしっかりしてくれた。ワーナーはMVP級の活躍だった。そういう意味ではオーストラリアA代表戦含めて6戦で、スーパーラグビー1シーズンいったくらいの経験をつめたかなと思います」と話した。
イングランド代表戦で、疑問に感じたシーンをクリップして送ったのは、チームに帯同した滑川剛人レフリーの協力もあった。最初のFB(フルバック)山中亮平のキック時のオフサイド、モールでの一発でシンビンを出された失トライのシーン、オフサイドが何度もあり、スクラムでも相手の肘が下がっている中で、日本代表側が反則を取られ、ジャッカルでも最初の指針とは違ったという。
12月から開幕するリーグワンで、日本代表選手のプロテクト(試合制限)が実施されることに関しては「数名の選手ですが、ゲーム時間の長い選手やポジション的にケガされたら怖い選手は、話し合いながら(プロテクトを)やっていきたいと思っています。(代表選手は)基本的には各チームから借りている選手なので、こちらのお願いばっかりとはいかない。ただ選手も少し休んだ方がパフォーマンスが上がると思う。疲れている状態なので、各チームにも理解してもらいながら進めていきたい」と話すにとどめた。
ラグビー日本代表テストマッチ
【ハイライト】日本 vs. ニュージーランド(10月29日)
来年9月に開幕するワールドカップに向けてはリーグワンのバイウィーク(試合のない週)に1日だけ合宿を予定しており、今年同様に、5月にシーズンが終了した選手から、少し休んだ後に、キャンプインしていくという。全体では6月から合宿の予定だ。
ただ、選手選考に関して藤井NTDは「メンバーは変わると思います」と断言。9月のような大きなスコッドにする予定はないとのこと。今秋、ケガで招集されなかったSO松田力也、LOジェームス・ムーア、FBセミシ・マシレワの3人を名指しして、「リーグワンに出れば呼びます。どれくらい回復しているか、パフォーマンスが上がっていくかを見ていく」とキッパリと話した。
4度目のワールドカップを目指すリーチ マイケル
秋、合宿途中でケガした選手も含めてリーグワンでパフォーマンスをチェックし、来春の代表合宿に参加メンバーを選考していくが、復帰した選手がいれば「(今秋のメンバーから)誰かが落ちていく」という。まだ、「いい選手がいればリストに上がってくる」と藤井NTDが話すように門戸はまだ閉まっていないが、今秋、日本代表に選ばれた選手でもリーグワンでしっかりとしたパフォーマンスを出していかなければならない。
来年、ワールドカップ前にティア1(世界的強豪)と対戦することは現状では難しいが、PNC(パシフィック・ネーションズ・カップ)は開催される見込みだ。藤井NTD「(ワールドカップまで)たくさん試合ができればいいが、PNCがしっかり決まれば、今年ほどではないが準備の段階では十分ではないか」と話した。
今秋、ワールドカップで優勝する可能性のある強豪とテストマッチで対戦し、勝利することは叶わなかったが自信と手応えを得たシリーズになったことは間違いない。日本代表選手たちは少し休んで、12月17日から開幕するリーグワンで切磋琢磨し個人を高めていく。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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