人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

ラグビー コラム 2022年11月24日

【ハイライト動画あり】「雨の早慶戦」は緊迫の6点差決着!プライドが激突した関東大学対抗戦「早稲田大×慶應義塾大」

ラグビーレポート by 多羅 正崇
  • Line

佐藤健次(早稲田大学)

「早慶戦は厳しい試合になると思っていました」(早稲田大学・大田尾竜彦監督)

東京・秩父宮ラグビー場で行われた100周年のラグビー早慶戦は、早大指揮官の予測通り、6点差の激闘となった。

2022年の11月23日(水)はあいにくの雨となったが、それでも1万812人が詰めかけ、関東大学対抗戦で4勝1敗(勝点19)同士の熱戦を見守った。

前半の主導権は慶大が掌握した。

キックゲーム、そしてブレイクダウンと呼ばれるボール争奪局面で優位に立ち、早大陣内でプレーを続けた。

前半の慶大はキックゲームも冴えていた。

慶大が相手を背走させたロングキックが前半4回(早大は前半0回)。広島・尾道高では快足フルバックだったNO8高(中が目)武俊輔、FB山田響の左足で、効果的にエリアを進めた。

またキックチェイス後にラックで攻守交代を起こすなど、ブレイクダウンでも優位に立った。前半4分、6分と立て続けにカウンターラックを成功させ、早大を自陣に押し返した。

「前半は慶應さんの激しいブレイクダウンに苦しめられて、自分たちがアタックしていきたいところで、何本もターンオーバーされました」(早大HO佐藤健次

優勢の慶大は前半15分、SO中楠一期がペナルティーゴール(PG)を決めて3点先取。

アイザイア・マプスア(慶應義塾大学)

序盤の勢いを得点に変え、引き続きブレイクダウンでは193cmのLOアイザイア・マプスア、FL今野勇久主将がジャッカル。早大を苦しめ続けた。

また慶大はこの日、ハイパントを敵陣で活用。

慶大の敵陣内でのハイパントは6回。そのうち4回を競り合い直後に再獲得。前半28分のトライは、そのハイパントが起点になった。

中盤で慶大はSO中楠がハイパントを上げ、193cmのマプスアが競り、こぼれ球を再獲得。ワイド攻撃と見せかけてSO中楠がランに切り替え、鮮やかに突破。PR松岡勇樹にラストパスを送り、歓喜のトライが生まれた。

前半の慶大は精度の高いキック、激しいブレイクダウンで優位に立ち、少ないチャンスを得点に繋げる会心の試合運び。

一方の早大は慶大のジャッカルに加え、ノックオンなどハンドリングエラーにも苦しみ、前半は今季初の無失点に終わった。

しかし早大は課題を修正した。

後半の変化について聞かれたCTB吉村紘は「一番はマインドのところです」と答えつつ、こう話した。

「ブレイクダウン、コンタクトエリアでアグレッシブにチャレンジしていこうという声掛けがありました」(CTB吉村)

ブレイクダウンでの活動量を上げ、チャレンジャーとして10点を追う。そのマインドの変化に気圧されたか、後半の慶大は肉弾戦における規律を乱した。

後半開始早々、ハイタックルなどで自陣後退した慶大は8分、直後のモール・ディフェンスで、LOアイザイア・マプスアが不当なプレーでシンビン。

早大は直後にHO佐藤がモールから初トライ。慶大は反則→シンビン→失トライという悪循環で7点を失ってしまう。

キックゲームの様相も変わった。

後半の早大はお返しとばかりに、前半慶大がやっていたロングキック→カウンターラックを後半11分に成功。早大LO前田知暉は猛チェイスで相手キッカーのSO中楠に早急な判断、キックを強いて、陣取り合戦に貢献した。

早大はこのカウンターラックから敵陣へ入り、HO佐藤がふたたびモール最後尾から猛進。逆転トライに成功した。

「今日はあまり自分の中で上手くいっていませんでしたが、モールでは絶対トライまでいく、という気持ちがありました」(早大HO佐藤)

HO佐藤が狙い通りのトライを挙げ、早大が10-7と逆転。一方の慶大は前半の強みだったブレイクダウンで対抗にあい、逆に倒れ込み等の反則が増加。

ただ黒黄ジャージーの底力は見せた。

2点を追いかける後半34分にはFL今野主将がふたたびジャッカル。自軍投入では成功率100%だったスクラム(7回中7回成功)は安定感があり、後半36分には松岡勇樹、中山大暉、岡広将を最前列に並べ、会心のスクラム・ターンオーバー。

慶大は後半38分になり、ようやく敵陣での攻撃権を得たが、2連続のキック選択(ハイパント、グラバーキック)からボールロスト。

ラグビー 関東大学対抗戦2022

【ハイライト動画】慶應義塾大学 vs. 早稲田大学

直後のキックカウンターから相手にボールを奪われ、敵陣勝負に失敗。

 

このチャンスで後半43分に8番での起用となった村田陣悟が、スクラムからダイレクトにサイドを突いて殊勲の3トライ目。早大のリードは9点(19-10)となった。

終盤、9点を追いかける慶大は「トライ」or「PG」の選択を強いられる。

自陣からSH小城大和の持ち出しから、WTB佐々木隼が突破を生み出し、敵陣22m内に入った慶大。ここで早大がペナルティを犯した。

9点ビハインドの慶大はノータイムとなり、たとえトライ&ゴール成功でも勝利、同点はナシ。ゴール正面だったこともありPGを選択。7点差以内の敗戦に与えられるボーナス点1を獲りにいき、SO中楠が右足を振り抜き、成功。

そしてノーサイド。雨の激戦は6点差(19-13)で決着した。

早大の太田尾監督は「今日はすごく厳しいゲームになると思っていました」と振り返った。

「前半最初、勢いに飲まれましたが、よく逆転してくれたなと思います。ブレイクダウンの部分とフォワードが頑張ってくれました。選手も自信になったと思います」

慶大の栗原徹監督は試合後「残念な結果になりました」と語りつつ、先を見据えた。

「勝点を1点でもしっかり取りに行きたいという思いも含めて、このボーナスポイントに大きな意味が持てるよう、残りの試合をやっていきたいと思います」(慶大・栗原監督)

関東大学対抗戦の上位争いでは、帝京大の優勝、そして筑波大の4位がすでに確定している。

しかし2、3位はまだ分からない。

3位(勝点23)となった早大は、運命のライバル、勝点1差の2位明治大学と12月4日(日)に東京・国立競技場で対戦する。

ボーナス1点を上積みして勝点20となった慶大は、すでに対抗戦優勝を決めている帝京大と12月3日(土)、東京・秩父宮で激突。2022年の対抗戦はついに最終局面だ。

文:多羅 正崇

多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
ラグビーを応援しよう!

ラグビーの放送・配信ページへ