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試合の流れを決めたスクラム
11月20日(日)、東京・秩父宮ラグビー場で、ラグビー関東大学対抗戦の帝京大学vs.明治大学の一戦が行われた。昨季、対抗戦と大学選手権でともに優勝した帝京大学、王座奪還を狙う明治大学は、ともに開幕から5戦全勝。帝京大学は勝ち点25、明治大学は24と1差。帝京大学は3トライ差以上で勝利すれば、最終戦を待たず優勝が決まる大一番となった。
昨季は春の練習試合、対抗戦、大学選手権とすべて帝京大学が勝利した両者の対決。今年の春季大会では明治大学が35-26でリベンジした。しかし、夏の練習試合では帝京大学が54-19で勝利した。ただ、11月6日(日)の試合では帝京大学は早稲田大学を49-17、明治大学は慶應義塾大学を54-3で下し、両校とも勢いに乗った状態での激突となった。。
大学生唯一のオリンピアン、明治大学の主将WTB(ウイング)石田吉平(4年)がケガから復帰し先発したが、逆に帝京大学は主将CTB(センター)松山千大(4年)がケガでメンバー外となり、SO(スタンドオフ)高本幹也(4年)がゲームキャプテンを務めた。小雨が降る中、王者・帝京大学のセットプレー、コンタクトの強さにどこまで明治大学が対抗できるかが焦点だった
試合開始のキックオフから明治大学のLO(ロック)山本嶺二郎(3年)がジャッカルを決め、前半2分、CTB廣瀬雄也(3年)がPG(ペナルティゴール)を決め、3点を先制。しかし、帝京大学もすぐに反撃、ラインアウトを起点にWTB小村真也(2年)がトライを挙げて7-3と逆転に成功する。
帝京大の激しいディフェンス
その後、帝京大学が8人が一体となるスクラムでプレッシャーをかけてペースをつかむ。「いつもゲームの勝敗に直結するようなスクラムを組んでほしいと学生の成長をサポートしているつもり。大きな影響を与えていたのでいいスクラムだった」(帝京大学・相馬朋和監督)。
帝京大学はスクラムで得たペナルティで相手陣に入り、さらに21分、相手陣奥で、スクラムでペナルティを得ると、SO高本が隙をついてクイックタップからトライ。自らゴールを決めて12-3とした。その後は明治大学がFW(フォワード)、BK(バックス)一体となってアタックを仕掛けるが、帝京大学が激しいディフェンスでゴールラインを割らせなかった。結局、明治大学が前半終了間際にPGを決め、6点差に追い上げて前半を折り返した。
2トライを決めた帝京WTB小村
後半、やはりペースを握ったのは「紅い旋風」だった。3分、WTB小村がインターセプトからこの試合2本目のトライを挙げて19-6。さらに11分、ゴール前のラインアウトを起点にFL(フランカー)奥井章仁(3年)がトライを挙げて、26-6とリードを広げた。
反撃したい明治大学は後半13分、逆にスクラムで反則を得て、相手ゴール前に攻め込むなど徐々にペースをつかむ。すると17分にはCTB廣瀬が相手ボールをインターセプトからトライを挙げて13-26と追い上げる。
MOMは帝京SO高本が選ばれた
しかし、帝京大学は再びスクラムでプレッシャーをかけ、激しいディフェンスで相手に得点を許さず、逆にPGを1本重ねて29-13でノーサイドを迎えた。POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)は帝京大学のSO高本が選ばれた。
スクラムとコンタクトの強さで、4本対1本と3トライ差の勝利を収めた帝京大学は勝ち点を30に伸ばし、12月3日(土)の最終戦を残して2年連続11度目の対抗戦の優勝を決めた。帝京大学は、大学選手権には対抗戦1位での出場が決まり、初戦は12月25日となった。
明治大学の神鳥裕之監督は、「(今季)初めての秩父宮で、帝京大学というチャンピオンチームに対してチャレンジしたい気持ちがあったが、結果は残念でした。帝京大学のフィジカルが力強く素晴らしかった。悔しい思いをしたが、大学選手権で(再び)チャレンジできることを信じてやりたい」と悔しそうな表情で話した。
明治WTB石田主将はトライを挙げることができなかった
WTB石田主将は「僕たちのラグビーができず、帝京大学と点差以上に力の差を感じた。自分たちがやってきた、準備してきたものを出せずにパニックになり、自分たちのラグビーができなかった。秩父宮で(今季)試合をやるのが初めてで、飲み込まれて自分たちのアタックができなかった。特に後半、何もさせてもらえなかった。まだ時間あるので修正して次に臨みたい」と前を向いた。
就任1年目で対抗戦を制した相馬監督
就任1年目で、対抗戦で優勝した帝京大学の相馬監督は「4年生にとっては大切な1年。人生の中で1度しかない。1つ1つ勝ってきた成果として、区切りの試合で勝つことは心から嬉しい。もちろん先は見ています。日本一を目標にして、今までもこれからもやっていきます。ただ、1年目のことはこれからも思い出すと思います」としみじみ話した。
ラグビー 関東大学対抗戦2022
【ハイライト】帝京大学 vs. 明治大学
ゲームキャプテンSO高本は「春、明治大学に負けてそこから僕たちはハードワークして、しっかり勝てて良かった。3年間のいろんな経験があり、普段の試合で冷静に臨むことができた。ディフェンス、アタックともに細かいことにこだわってやってきているが、今日はディフェンスで良い形が出せました」と冷静に振り返った。
優勝を喜ぶ帝京大学
対抗戦の優勝が決まった帝京大学は12月3日(土)、対抗戦の最終戦で慶應義塾大学と戦う。対抗戦を全勝で終え、大学選手権に向けて勢いをつけたいところだ。一方の明治大学は12月4日(日)、9年ぶりに国立競技場で行われる早稲田大学との「早明戦」を迎える。しっかりとライバルに勝利して2位で大学選手権に向かいたいところだ。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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