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5戦全勝同士の大一番を前に京産大の廣瀬佳司監督は言った。「今年のスローガンは、Tough(タフ)なのですが、まだタフに戦えていません。今年の京産大はタフだと思われる試合がしたいです」。勝ち点24で並ぶ両者の戦いは午後2時にキックオフされた。今季の得点力だけを見れば京産大が上だが、天理大も失点は少なく粘り強い。大方の予想通り、僅差勝負になった。
11月20日(日)、たけびしスタジアム京都の天候は晴れ、冷たい風が吹いていたが、試合に影響を与えるほどではなく、グラウンドコンディションも良好だった。先制したのは天理大。SO福本優斗(3年)がPGを決める。前半9分、天理大がさらに追加点をあげる。京産大のジャッカルが自立していないという反則になり、PKからのタッチで天理ボールのラインアウト。ここからのモールに対して京産大FW全員がディフェンスに入ったところで、天理大HO谷口永遠(4年)が左サイドを突破してトライをあげる。福本がゴールを決めて、10-0と差が広がった。
序盤は京産大に反則が多く、天理大が流れをつかんだが、前半なかばからは逆の展開になる。24分、WTBシオネ・ポルテレ(1年)がスピードをつけて走り込み大幅ゲイン。最後もポルテレがタックルを弾いてインゴールに飛び込んだ。SO西仲隼(4年)がゴールを決めて、10-7と京産大が差を詰める。その後は一進一退の攻防で前半は終了。
後半、京産大がキックオフを蹴り込むと、天理大がノックオン。チャンスを得た京産大がボールをつなぎ、最後はSH土永旭のフラットなパスにFL松永壮太朗(2年)が走り込んでインゴールへ。ゴールも決まって、14-10と逆転する。直後に天理大はラインアウトからの攻撃で交代出場のWTB豊田祐樹(3年)が右コーナーに飛び込む。これで14-15と再逆転。今度は9分、京産大の西仲が約38mのPGを決めて17-15。スコアは二転三転。緊迫感ある攻防が続いた。
ラグビー 関西大学リーグ2022
【ハイライト動画】京都産業大学 vs. 天理大学
京産大は試合直前にLOソロモネ・フナキ(2年)が怪我のため欠場するアクシデントがあった。リザーブだった堤田京太郎(4年)が急きょ先発。当初名前のなかったFL三木晧正(3年)がリザーブ入りする。三木は昨年の大学選手権でも大活躍した学生屈指のFLだが、春に膝を痛め長期のリハビリを経て1週間前に練習に復帰したばかりだった。この日は後半22分に松永に代わって出場。同時にLOヴェア・タモエフォラウ(3年)が堤田との交代で投入されると、2人が躍動。三木は前に出るタックル、ヴェアがパワフルな突進でチームの勢いを引き出した。後半17分には、ヴェアがタックルを弾き飛ばしながら前進し、最後はLOアサエリ・ラウシー(4年)が3人のタックルをすり抜けてトライ。24-15とする。結局、これが決勝点になった。
京産大は24分、家村のディフェンス背後へのキックを追ったCTB高井良成(3年)がトライし、29-15と突き放す。しかし、天理大も終了間際、交代出場のFL関口大輔(2年)がトライを返して、29-22とし、7点差以内の負けに与えられるボーナス点を獲得した。僅差勝負を勝ちきった京産大の選手たちの多くが涙を流していた。その歓喜の表情がこの勝利の価値を物語っていた。共同キャプテンの家村は「FWがよく前に出てくれました。春季大会の引き分けから、京産大の方が成長しているところを見でたかった」と力強くコメントした。京産大の終盤のディフェンスは鬼気迫るものがあり、低いタックルの連続は、今季もタフなチームになってきたことを示すものだった。
京産大は勝ち点4を加算して、28点とし、天理大は7点差負けのボーナス点を獲得して25点。3点差となって順位の確定は12月3日のリーグ最終節まで持ち越しとなった。京産大の最終戦の相手は近大。同志社大を24-0と無得点に抑えて勝っており侮れない相手だ。2年ぶりの優勝に望みをつないだ天理大は同志社大と戦う。最終順位によって、大学選手権の組み合わせも決まるため、12月3日、大学ラグビー関係者、ファンの視線が東大阪市花園ラグビー場に注がれることになる。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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