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ラグビー コラム 2022年11月21日

【ハイライト動画あり】筑波大が大学選手権出場枠ゲット!立教大は後半2トライで意地。関東大学対抗戦

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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大学選手権に出場できる関東大学対抗戦5位のスポットをめぐり、1勝4敗同士の筑波大学立教大学が激突した。

2020年度から関東大学対抗戦Aで戦う立教大学。キャプテンのNO8紀伊雄介は戦前の意気込みについてこう語った。

「僕らは過去2シーズン、大学選手権に出られる状況で終盤戦を迎えることがありませんでした。前回に日体大さんに勝ったことで『大学選手権に行くぞ』という想いがひとつになって、良い準備が出来ていました」(立教大NO8紀伊雄介主将)

筑波大学にとっても、目標の大学日本一へ必勝の一戦だった。

「大学選手権へ向けて対抗戦5位の枠は絶対に勝ち取らなければいけませんでした。必ず勝たなきゃいけないゲーム、ということは全員が認識していました」(筑波大PR木原優作主将)

11月19日(土)、東京・江戸川区陸上競技場で対決した両校は、まずは筑波大が先制攻撃。すでに司令塔として風格のあるルーキーSO楢本幹志朗が、開始早々に好キックを続けて陣地合戦を制する。

しかし筑波大は肝心のフィニッシュ場面でのエラーが散見された。その理由として、筑波大学の嶋崎達也監督は立教大のファイトを挙げた。

「立教大学さんがコンタクトエリアで絡んできて、そこが制圧できず普段のリズムが少し変わったかなと思います」

ブレイクダウンは筑波大の得意分野だが、ここで立教大も激しく闘っていた。

ただ筑波大は前半14分にモールからFL楢本鼓太朗が先制トライ。ただ立教大もラックを連取し、迫力ある波状攻撃を展開。大和大祐はプロップ離れしたパススキルでリンクプレーに貢献。FB天羽秀太ら迫力あるランナーもゲインを繰り返した。

植村陽彦(筑波大学)

ただフォワード戦から主導権を握る筑波大は前半31分、ふたたびモールでトライ目前まで前進。ここでボールを展開してWTB植村陽彦が右隅でチーム2トライ目。ゴールは失敗したもののリードを10点に広げた。

立教大も前半34分にPG(ペナルティゴール)を返し、じわりと7点差(3-10)に。筑波大もショートサイドの突破&オフロードパスから前半3本目のトライ。17-3で後半へ入った。

筑波大は後半開始から好スタートを切る。

LO八木澤龍翔が相手をねじあげてターンオーバーを引き起こすと、直後のスクラムからWTB大畑亮太がサインプレーから一発でトライ。リードを21点(24-3)に広げた。

ただ士気の高い立教大は勝負を諦めなかった。後半にむしろ反撃の度を増し、2トライを奪ってみせた。

「後半頭にスクラムから一発でトライを獲られたあと、ハドルを組みました。そこで『選手権に出るぞ』と意思統一して、士気が高まりました」(立教大・NO8紀伊雄介)

高い士気を体現した一人は、立教大のSH北川時来だ。カウンターラックからのロングキックを猛チェイス。敵陣ゴール前中央スクラムを呼び込んだのだ。

このゴール前の好機で、NO8紀伊主将が「相手フランカーがスクラムを押す姿勢だった」と見抜き、スクラムから勝負の単独キャリー。少ないチャンスで見事にトライを獲り、ふたたび14点差(10-24)に迫った。

筑波大は後半18分にNO8谷山隼大のトライでふたたびリードを21点とするが、立教大は引き下がらない。

立教大は吹っ切れたように自陣から積極展開。左隅でゲインを切ると、最後はCTB中優人がヒット直後にターンする妙技で、ゴール下でグラウンディング。ふたたび14点差に詰めてみせた。

立教大はその後グラバーキックの再獲得を連続成功させるなど、きわどい終盤戦にあってもクレバーな戦いを披露。

一方で筑波大は途中出場組のエナジーが光った。

ワイド展開する立教大に対し、筑波大は後半37分に主力級の22番浅見亮太郎がディフェンスで押し込み、ここからターンオーバー。敵陣左でモールを組み、勝負を決めるチーム6トライ目を決めた。

筑波大はロスタイムにも16番平石颯のファイトから攻守交代。タッチに蹴り出せばノーサイドだったろうが、自陣から果敢に攻めて最後はSO楢本がギャップから突破。

ルーキーが7トライ目を演出し、最終スコアは43-17となった。

ラグビー 関東大学対抗戦2022

【ハイライト動画】立教大学 vs. 筑波大学

快調とはいえない試合展開ながら最後はスコアで差をつけ、ボーナス点付きの最大勝点5を奪取。勝点を12に伸ばした筑波大は、大学選手権の出場5枠目を押さえた。ただ指揮官の嶋崎監督は反省の言葉も多かった。

「立教大学さんも我々と同じようにこの試合に懸けていました。いろんな準備、サインプレーもあるかなと想定していましたが、我々は我々の根幹で戦おうと話しました」

「選手たちは最低限の勝つところはやり切ってくれました。ただ、やりたいことができている時間は少なく、チグハグな場面も多かったです。改めてイチからやり直したいと思います」(筑波大・嶋崎監督)

立教大のNO8紀伊主将は「ベーシックな部分で負けたという印象」と相手を讃えた。しかし手応えも掴んでいた。

「これまでの立教大学と違うところは見せられたのかなと思います。立教大学として成長していると感じます。良いポイントも見つけられました」(立教大・NO8紀伊主将)

1勝6敗となった立教大は次戦、勝点5で並ぶ青山学院大学と対決。入替戦回避となる対抗戦6位スポットを争う。

対抗戦は最終盤だ。それぞれの想いの詰まった試合は続いていく。

文:多羅 正崇

多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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