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2022年12月27日に東大阪市花園ラグビー場で開幕する第102回全国高校ラグビー大会。
41チーム(うち合同8チーム)が参加した大阪府予選は、11月13日(日)、雨降る東大阪市花園ラグビー場で3地区の決勝戦が行われ、高校ラグビーのメッカ、大阪を代表する3校が決定した。
大阪・第1地区決勝「常翔学園×関大北陽」
2年連続5度目の決勝戦の関大北陽に対し、花園常連の常翔学園は前半2分、スクラムから圧をかけると、2年生NO8佐藤蓮がジャッカル成功。
関大北陽はモール・ディフェンスで前進を止めたが、常翔学園は展開後にSO為房幸之介がパスダミーから突破して先制トライ。同校OBの兄・慶次朗は明大で活躍するプロップだ。
7点を先取した常翔学園だが、関大北陽はリスタート直後にLO吉川大智が強烈タックル。ターンオーバーを演出する。
しかしゴール前ではボール継続に苦慮し、得点はできず。ただ関大北陽も2年生NO8永井玲雅がジャッカルを決めるなど攻防は白熱。拮抗したゲームを披露した。
ここで試合を動かしたのは常翔学園。
序盤は防がれたモールを押し、1度止まった直後にSH田中景翔が相手センターを押し込み、豪快に2トライ目。
直後の関大北陽はふたたびLO吉川のタックルからターンオーバーとなり、ふたたび右隅のゴール前ラインアウトへ。しかし前回同様、得点機でのボールセキュリティに失敗して逆襲を受けてしまった。
ただ関大北陽は粘り、最後はFL角谷がジャッカルを試みたことで相手反則を誘発。その後WTB石田洋介の落球を誘うタックルもあった。
タックルセンス溢れるHO高尾良生をはじめ、走力のある山本琉己、山ザキ(山に竒) 稜太の両プロップも前半26分にブレイクダウンで奮闘。14点ビハインドの関大北陽が粘りの戦いを見せる。
しかし常翔学園は優勢のスクラムから、最後はSH田中のオフロードパスを受けた1年生FL井本章介がフィニッシュ。常翔学園の21点リードで後半へ向かった。
常翔学園は後半開始直後から迫力あるアタック。関大北陽も2年生FL宇田大晟がターンオーバーを演出すれば、CTB松山拓斗はスローフォワードを誘う強烈タックル。
CTB松山はこの日チョークタックルやジャッカルなど守備で存在感を発揮。しかし敵陣でのフィニッシュでボールが繋がらず、常翔学園も集中力が勝った。
奮闘する関大北陽は自陣でボールを左右に大きく振り、右隅でHO高尾がトライ――しかしスローフォワードがあり、ノートライ。
最後まで高い活動量を見せた関大北陽だが、前半のリードを守った常翔学園が21-0で勝利。8大会連続41度目の花園出場を決めた。
第102回全国高等学校ラグビーフットボール大会 大阪府予選 第1地区 決勝
【ハイライト動画】常翔学園 vs. 関大北陽
大阪第2地区決勝「大阪桐蔭×大産大附」
第2試合は大阪桐蔭×大産大附。
序盤からクイックテンポの攻撃を仕掛ける大阪桐蔭に対し、大産大附もLO大島優輝のスティールなどで対抗。
しかし大阪桐蔭はファーストスクラムでペナルティを奪うと、ゴール前でクイックスタート。有望株の2年生NO8上野凌大がラックサイドを突き、先制トライを奪った。
ここで大産大附も反撃。
SO萩原俊輔の鋭いタックルから攻守交代。FW陣はラインアウトでプレッシャーをかけ、前半10分にも相手のミスを誘った。
さらにスクラムでは前半14分に初のペナルティ奪取。PR森政憲、HO岩本陸、PR布引大翔らFW陣が雄叫びを上げた。
ここから敵陣ゴール前で攻勢をかけた大産大附だが、勝負のバックス展開で相手の1年生CTB名取凛之輔らがジャッカル。
フェーズ攻撃では初得点を奪えなかった大産大附だが、スクラムでの相手ペナルティから前半21分にPG成功。3点を返した。
両校は強度の高いスクラムバトルを展開した。
前半28分には、ふたたび大阪桐蔭がスクラムでPKを強奪。右奥へ入ると、ラインアウトのサインプレーからFWが取り切って2トライ目を奪った。
前半でロースコア(12-3)の好勝負を演じた大産大附は、後半に入り、まず大きなチャンスを迎えた。
キックオフ直後の反則で敵陣に入ると、前半に続いてBKを入れた9人が並ぶ変則的なラインアウト。
ここからモールで2度勝負をかけ、ゴール前でFW陣がラックサイドを突き続ける。が、大阪桐蔭も迫力あるダブルタックルを続けて失点を防いだ。
敵陣に押し返した大阪桐蔭は、スクラムから狙い通りのトライを奪う。
8番上野がボールを投入し、ナンバーエイトの位置に入った9番須田龍之介からパスを受けたNO8上野が突進。2年生のエイトマンが期待通りの働きでグラウンディングし、チーム3トライ目を奪った。
19-3とリードを広げた大阪桐蔭。
さらに後半22分にスクラムのターン-オーバーから速攻し、PR浦出睦己の激しい突進から追加のトライ。その後はボールが滑りやすいコンディションでお互いにミスが続いた。
雨中の熱戦は26-3で決着。大阪桐蔭が2大会連続16度目の花園出場を決めた。
第102回全国高等学校ラグビーフットボール大会 大阪府予選 第2地区 決勝
【ハイライト動画】大阪桐蔭 vs. 大産大附属
大阪第3地区決勝「東海大大阪仰星×近大附」
第3試合は東海大大阪仰星と近大附の対決。
圧巻は東海大大阪仰星のブレイクダウンの仕事量、激しさだった。
まず昨季の花園王者は開始直後にドライビングモールで20m以上前進。展開からのサインプレーで、セブンスユースにも参加するFB増山将が先制トライ。
さらにモールでもう1トライを加えた東海大大阪仰星だが、近大附も好パサーのSH小島佑太を中心にアタック。敵陣ではSH小島の的確なハイパントの再獲得を目指した。
しかし東海大大阪仰星は高い遂行力でボールを左右に振ると、敵陣で長身SH高来亜の速攻から右大外でふたたびFB増山がフィニッシュ。
近大附も中盤のモール・ディフェンスで力強く対抗。粘りを見せるが、雨に濡れるボールの扱いに苦慮して攻撃権を失う。
一方の東海大大阪仰星は秋田出身のルーキーCTB吉田琉生が鋭い仕掛け&オフロードパスで4本目のトライを演出。
ルーキーCTB吉田はさらに前半22分、インゴール手前に落ちたキックパスを滑りながらトライする技巧も見せた。
ブレイクダウンの激しい東海大大阪仰星は前半終了前、ゴールラインを背負って再三攻められるが何度も押し返す。
近大附はキックの再獲得に光明を見出すが、素早いポジショニングで近大附の得点を許さない。
前半を29点リードで終えた東海大大阪仰星は後半最初にいきなりのカウンターラック。後半2分には仕掛けたCTB吉田が絶妙なタイミングで右隅の突破を演出し、FB増山がハットトリックを達成した。
リードを36点とした東海大大阪仰星。
近大附もルーキーFL岩村太翔、CTB上村福生のタックルで落球を誘うなどするが、後半8分、昨季の高校日本一を経験しているFL松沼寛治がピック&ゴーから後半最初のトライを奪うと、後半10分には自陣からノーホイッスルトライ。
ブレイクダウンで圧倒する東海大大阪仰星を前に、近大附は後半17分にも自陣で被ターンオーバー。ここから後半4本目を奪われる。
スコアを55-0とした東海大大阪仰星は、後半28分にもキックカウンターからルーキーCTB吉田、終盤さらに2トライを追加。
東海大大阪仰星が圧巻の計12トライ&完封。4大会連続22度目の花園出場を掴み、花園連覇へ向けて好発進を決めた。
第102回全国高等学校ラグビーフットボール大会 大阪府予選 第3地区 決勝
【ハイライト動画】東海大大阪仰星 vs. 近大附属
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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