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重要な1戦に挑む紺グレ
11月6日、宝ヶ池公園球技場(京都府)で、ラグビー関西大学リーグ第5節が行われた。昨年の王者・京都産業大学と対戦した同志社大学は26-31で惜敗。後半31分に一時17点あった差を逆転するも、直後にトライを許し、追いつくことができなかった。
負けると自力での大学選手権出場が消滅する大一番。試合前から、選手たちの表情には闘志があふれていた。試合のテーマは「カオス」。展開ラグビーと要所のキックなどで、相手ディフェンスを混乱させるという意図を持ち、重要な一戦に挑んだ。
京産大のキックオフで始まった今試合。前半1分、同志社が早速攻め込む。自陣10mのスクラムからCTB(センター)西村海音(商4)がパスを受け取ると、裏のスペースへのキックを選択。このボールを再獲得すると、さらに連続攻撃を仕掛ける。
だが3分、ブレークダウンでボールを失うとカウンター攻撃を受けた。相手SO(スタンドオフ)がステップで同志社の守備を翻弄(ほんろう)し、約80mを独走。先制点を奪われた(0-7)。
その後は、一進一退の攻防戦が続いた。互いに敵陣に攻め込むが、反則で流れをつかめない。8分には、相手の留学生を2人がかりで跳ね返し、落球を誘う。「今週1週間、対策を練って1人1つの足を持って仰向けに倒すというところを繰り返してきた」(西村)。一方の京産大も得意のスクラムで反撃し、同志社の反則を誘発するなど激しい肉弾戦になった。
しかし、次にスコアボードを動かしたのも赤紺のジャージだった。21分、自陣ゴール前5mのラインアウトから、モールを形成され、ゴールラインに迫られる。最後は密集戦からピックアンドゴーで押し込まれ、トライを許した(0-12)。
山本のトライに喜ぶ選手たち
反撃したい紺グレは、25分にNO8(ナンバーエイト)林慶音(スポ1)が詰めの防御を見せ、相手のパスをインターセプト。一気に敵陣に侵入し、流れを手繰り寄せる。32分、敵陣5mのスクラムから、フェーズを重ねると最後はPR(プロップ)山本敦輝(社3)がインゴールへねじ込んだ(7-12)。「素直に嬉しかった」と山本敦。復帰戦となった頼れる背番号1が、自身2度目となる公式戦トライで点差を縮めた。
だが、前半終盤には、京産大が本領を発揮する。勝負どころでペナルティを犯した同志社は、好機を生かされ2トライを決められてしまう。リードを許したまま7-24で試合を折り返した。
前半から接点では返される場面が目立ったが、速いテンポの展開ラグビーには確かな手ごたえを感じていた。「苦しい場面が続くとわかっていたので、そこで我慢して相手が疲れたところを自分たちのアタックにつなげようと思っていた」(山本敦)。後半は一変して、同志社が主導権を握った。
インゴールに飛び込む市川
キックオフのボールを再獲得すると、西村が空いた裏のスペースで絶妙なキックを落とす。後半開始から投入されたCTB市川亮太(法3)の胸にバウンドしたボールが入り、無人のインゴールへ。息のあったノーホイッスルトライを挙げ、チームのボルテージを高めた(14-24)。
12分にも、敵陣深くのラインアウトを起点に攻撃を重ね、FL(フランカー)小島雅登(社4)がラックサイドを前進。ゴールライン間際まで迫ると、最後はルーキーSO大島泰真がミスマッチに走り込み追加点を挙げた。「攻撃を継続できれば、トライを取れる自信があった」(大島)。5点差に詰め寄り、逆転への兆しが少しずつ見え始めた。(17-24)。
このまま優勢を保ちたい同志社だったが、反則が重なり自陣ゴールに攻め込まれる。だが、今日の同志社はいつもと違った。「もう1段階、集中するという意味の『プラスワン』という言葉かけて、自陣ゴール前こそ集中した」(SH/スクラムハーフ新和田錬・社4)。幾度となくゴールラインを脅かされたが、4年生を中心に結束力を高め、ピンチを凌いだ。
30分、敵陣10m付近でLO(ロック)寺北亘佑(スポ2)からオフロードパスを受けた新和田が、敵陣5m付近までビックゲイン。その後、FW(フォワード)陣が縦を突き防御を集めると、伝統の展開ラグビーが光った。
ゴールへ向かう大森
左大外で数的優位をつくると、自慢のBK(バックス)陣が深く広いラインでボールを回す。大外で待ち受けていたFB(フルバック)大森広太郎(商4)が駆け抜け、ゴール中央にトライ。「外側にスペースがあるのをコミュニケーション取って、内側に伝達できた」(大森)。一時17点あった差を逆転し、紺グレファンからはこの日1番の歓声が上がった。
ラグビー 関西大学リーグ2022
【ハイライト】京都産業大学 vs. 同志社大学
時間は残り8分。今季、関西大学Aリーグで無敗の京産大に初黒星をつけるかと思われた。しかし、京産大は最後まで自分たちの武器を信じた。同34分、自陣22mライン付近からモールを押し込まれ、逆転トライを献上(26-31)。終盤も必死に食らいついたが、リードを維持されたままノーサイドを迎えた。
「最後の最後、フィジカルのところで京産大に負けた」(大森)。強靭(きょうじん)な肉体を持つ留学生を擁する京産大を前に力負け。試合後、選手たちは大粒の涙を流した。
試合後、肩を落とす紺グレ
宮本監督は「4回生が1週間、本当によく頑張ってくれた。今日のパフォーマンスは素晴らしいものだった」と最上級生を称賛。最前線で身体を張り続けた4年生のプレーは見る者の心を熱くさせた。まさに、スローガンの「MOVE」に込められた人の心を動かすラグビーを体現した試合だった。
自力での大学選手権出場の可能性は消えてしまったが、リーグ戦は2試合残されている。主将のLO(ロック)梁本旺義は「これで終わりじゃない」と前を向いた。
次戦は昨年のAリーグで敗れた近畿大学と対戦する。「しっかり勝ち点5を獲って、できる限りの可能性を上げたい」(西村)。梁本組が目指してきたラグビーを体現し、選手権出場にわずかな望みをつなげる戦いを見せてくれ。
文:勝部健人/写真:松久莉万、松井麻衣、大嶽悠雅(同志社スポーツアトム編集局)
同志社スポーツアトム編集局
同志社スポーツアトム編集局は1978年に創刊された同志社大学唯一の体育会機関紙です。年6回の本紙の発行を軸に、号外の発行やHPの管理などをすべて学生の手で行っています。
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