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ラグビー コラム 2022年11月7日

【ハイライト動画あり】好調2チームが繰り広げた名勝負。3勝1敗同士の「流通経済大×東洋大」は2点差決着!

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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「不屈」と「不屈」の激突を見るようだった。

3勝1敗同士、自信をつけながら成長している両雄が、名勝負と言ってよい高強度の80分間を繰り広げた。

東海大学が首位を走る関東大学リーグ戦1部は、11月6日(日)、茨城・龍ケ崎フィールドで注目対決「流通経済大学×東洋大学」を開催した。

リーグ戦1部に与えられた「大学選手権行きの切符」は3枚。この試合に勝てば暫定2位となり、切符の確保へ前進する一番だ。

そんな負けられぬ一戦で、先制攻撃を成功させたのは、準備したプレーが小気味よく決まった流経大だ。

まずは前半3分、大黒柱のCTB土居大吾主将が魅せる。

昨季までプレーメーカーの色が強かった21歳が、相手を次々に弾き飛ばした。ここで生まれたラックに参加した4人で、ふたたび2フェーズ後に右サイドを急襲。

CTB土居主将のラストパスから、フォローのSH武井陽昌が先制トライを決めた。しかし東洋大は、すぐに15人の仕事量を武器として反撃する。

的確なブレイクダウンワークでラックを連取しながら、SH神田悠作がクイックテンポで配球を続ける。しかし流経大も強烈な圧を受けながら引かない。

守備で存在感抜群だったのは、流経大のCTBアンドリュー・ヘイウォードだ。

18歳以下の7人制NZマオリ代表の経験があるというCTBヘイウォードは、序盤に3連続のジャッカル。東洋大の勢いを堰き止めた。

しかし今季の東洋大は総合力が高い。強力スクラムも大きな武器だ。

前半12分にハーフウェイラインまで後退したものの、スクラムでこの日初の強制ペナルティ。ここから敵陣ラインアウト→モールでトライ(ゴール失敗)。スクラムを起点に1本を返し、2点差(5-7)に詰めた。

しかし東洋大は前半32、34分に連続トライを浴び、ビハインドがあっという間に16点(5-21)に拡大。流経大の遂行力、攻撃力が光った。

が、劣勢にこそ真価を発揮するのが今季1部昇格のチャレンジャー、東洋大だ。唯一黒星の大東文化大学戦では24点差を最終盤にひっくり返し、大逆転劇まであと一歩だった。

そんな不屈の東洋大は、この日も16点差をひっくり返す。

前半39分に相手のキックミスから敵陣に入ると、フェーズ攻撃がようやく奏功してWTBモーリス・マークスがフィニッシュ。

さらに序盤から再三ブレイクしていた日体大荏原高出身のFB石本拓巳を使ったサインプレーも決まり、4点差(17-21)に詰めて後半へ。

東洋大の勢いは止まらず、さらに後半開始から2連続トライ。

起点はいずれも流経大のミス。後半3分には自陣ゴール前スクラムからのボールを確保できず、捕球した東洋大が目の前のインゴールへ。同7分にも自軍投入ラインアウトでミスがあり、東洋大が敵陣で速攻開始。

ともにFLタニエラ・ヴェアが抑え、これでハーフタイムをまたぎ怒濤の4連続トライ。東洋大のリードは8点(29-21)となった。

しかし流経大は後半13分に宮崎・日向工業高出身の好キッカー、FB谷惇平のPG成功でじわりと5点差に(24-29)。これが終盤の大逆転の布石となった。

後半は「攻める流経」「守る東洋」だった。

お互いに好プレーを連発し、ボールがめまぐるしく動く。龍ケ崎フィールドのボルテージはうなぎ登りで、悲鳴のような歓声が乱れ飛んだ。

流経大は敵陣に居座った。理由のひとつは優勢になったスクラム。後半17分にはこの日初めての強制PKを奪い、同20分にもスクラム勝利。副将のPRシンクル寛造が雄々しく吠えた。

それでも東洋大の懸命なディフェンスは、流経大のあと一つのパス、あと一つのランを許さない。全員がひたむきに下がる。手を伸ばす。かたや東洋大のカウンターも受けた流経大もピンチの場面でSO佐々木開がジャッカル。

息もつかせぬ、白熱の好勝負。

ここで流経大は攻めきった。殊勲はスクラムだ。

先発フロントロー(PR森脇光、HO作田駿介、PRシンクル寛造)を含めた8人で、後半30分過ぎのスクラムでペナルティを奪って自陣脱出。同36分にもスクラムから敵陣チャンスを迎え、ここからモール攻撃でゴール前へ。

ラグビー 関東大学リーグ戦2022

【ハイライト動画】東洋大学 vs. 流通経済大学

何度アタックしても獲れなかった待望の1本は、後半39分だった。

途中出場のティシレリ・ロケティがゴール前のFW戦でねじ込み、歓喜の同点トライ。FB谷がコンバージョンを決めて逆転。プレースキック5本を決めたFB谷は成功率100%だった。

ついに2点リード(31-29)を奪った流経大。試合時間は残り僅か。

流経大は逆転サヨナラのPGを警戒してか、自陣からキックで脱出。この選択も吉と出た。カウンターを仕掛けた相手をタッチラインに押し出し、マイボールを確保したのだ。

最後は蹴り出し、激闘に終止符が打たれた。

後半のほとんどを自陣で過ごしながら最終盤まで逆転を許さなかった東洋大。優勢になったスクラムを土台としてアタックを続け、逆転を遂げた流経大。今季リーグ戦屈指の名勝負だった。

お膝元の茨城・龍ケ崎で4勝目(1敗)を挙げた流経大は暫定2位。勝点21の東海大とは勝点差は4で、リーグ戦は残り2試合。まだ優勝の可能性がある。

次戦は11月13日(日)、栃木・足利ガスグラウンドで3勝2敗の立正大学と対戦する。

東洋大は同日、3勝2敗の法政大学と同じく栃木・足利で対決する。悲願の大学選手権出場へ、ひとつも落とせぬ戦いが続く。

文:多羅 正崇

多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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