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高本幹也(帝京大学)
春は52-26、夏は35-28と着実に差は縮まっていた。僅差勝負が期待されたが、結果は49-17と帝京大の快勝。「コンタクトの局面で相手を支配していくのがシーズンを通してのテーマ」(相馬朋和監督)という言葉通り、強いボールキャリアーが次々に前に出る、力強い勝利だった。
11月6日、熊谷ラグビー場には7,063人の観衆が集った。午後2時、早大ボールのキックオフで試合は始まった。早大CTB吉村紘(4年)が蹴り上げたボールをNO8相良昌彦キャプテンがキャッチ。攻撃につなげようとするが、帝京大FL青木恵斗(2年)がジャッカルで反則を誘う。ガツガツと身体を当てて前進を続ける帝京大は、早大ゴールラインに迫った攻撃で学生屈指の突進力を誇るHO江良颯(3年)を縦に切り込ませてディフェンダーを集め、最後は、CTB二村莞司(4年)がディフェンダーのいなくなった左中間のスペースを駆け抜け、インゴール中央にトライをあげる。
高本幹也(帝京大学)
攻め続ける帝京大と我慢のディフェンスを続ける早大の白熱の攻防が続いたが、2つ目のトライも先に取ったのは帝京大だった。前半25分、早大陣22mライン付近のラインアウトから、江良、FL奥井章仁(3年)、青木、CTB松山千大(4年)という縦に強い選手が次々に走り込み、最後は奥井が江良に短いパスをつなぎ、タックルを弾き飛ばしてトライ。SO高本幹也がゴールを決めて、14-0とリードする。
早大が反撃に出たのは35分、高本が自陣22ライン付近から地域を挽回しようと蹴ったボールを槇がチャージ。インゴールに転々とするボールを相手と競り合いながら押さえた。ワンチャンスをものにして、14-7と差が詰まる。このまま前半終了かと思われたが、終了間際のスクラムで帝京大が猛プッシュ。反則を誘うと、ラインアウトから連続攻撃を仕掛け、最後は、右タッチライン際で二村がラックの背後から走り込んでトライ。高本が難しいゴールを決めて、21-7と突き放した。
ラグビー 関東大学対抗戦2022
【ハイライト動画】帝京大学 vs. 早稲田大学
後半に入ると早大は、今季初先発だったSH小西から宮尾昌典(2年)に入れ替える。「部内マッチで良かった選手を選んだ」とこの日のメンバーを説明した大田尾竜彦監督だが、小西について「久しぶりに本物のプレッシャーを感じたのか、いつものプレーができていなかった」と話した。帝京大の圧力は早大の選手たちの判断やプレーの精度を狂わせていた。
フィジカルで優位に立つ帝京大の中で、際立ったのはSO高本の視野の広さだ。後半開始直後、早大SH宮尾にPKから速攻を仕掛けられたが、自陣でターンオーバーし、ボールは帝京大陣22m付近で高本にわたる。高本は得意の左足でいったん左奥へのキックをしようとしたが、早大WTB山下一吹(1年)が宮尾のサポートで前に上がっていたのを見逃さず、右奥のタッチライン際へキックする。対抗戦デビューの山下も懸命に戻ったが、ボールを確保する瞬間にバウンドが変わってボールをこぼし、倒れてボールを放さない反則を取られてしまう。このPKからのタッチキックでチャンスをつかんだ帝京大は、ラインアウトからモールを押し込み、江良がトライ。28-7とリードを広げた。高本の戦術眼、キックの正確さが導いたトライだった。
岡ザキ(山に竒)颯馬(早稲田大学)
早大も宮尾が強気の攻めでチームを勢いづけ、後半21分、CTB吉村がトライして流れを変えようとしたが、帝京大は流れを渡さなかった。28分、ラインアウトのモールから江良がこの日3つ目のトライをあげると、38分にはゴール前のスクラムを押し、SH李錦寿(2年)がサイドをついてトライ。42-12と勝負を決めた。早大も、41分、宮尾のディフェンス背後への好キックからCTB岡ザキ(山に竒)颯馬(3年)がトライしたが、最後まで手を緩めない帝京大は、懸命に攻める早大にディフェンスで圧力をかけ続け、NO8延原秀飛(3年)がパスをカットしてとどめのトライ。高本が7本目のゴールを決めた。
「攻撃のミスが多くなったのは、見ている以上に選手が圧を感じていたということでしょう。あと1.5mくらい前で仕掛けたいプレーを、下がってやっていましたね」(大田尾監督)。相良キャプテンは「今季一番プレッシャーを感じた試合でした。まだ力が足りないと思いました」と完敗を認めた。江良と対面で戦った早大HO佐藤健次(2年)も力の差を認めた。「江良さんは大学で一番良いHOだと思っています。それに負けないように準備してきたつもりですが、当たりの強さ、スクラムワークなどまだまだ遠い存在です。自分が思っていたより先を行っていました。今年中に対等以上の選手になりたいです」。
一方、帝京大の相馬監督は「いい試合ができました。早稲田の素晴らしいタックルを受けながら、頑張っている選手たちが誇らしかったです」と選手を称えた。プレーヤーオブザマッチに選ばれた高本は、早大の前に出るディフェンスにプレッシャーを受けたことについて、「予想通り」と話し、「プレッシャーをかけてくることで、次のフェイズでの人数は少なくなるので」と、冷静に空いているスペースにボールを動かした。最終スコアは、49-17。3トライ差をつけてのボーナス点も獲得する勝利で現時点での力の差を見せつけた。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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