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帝京大学 vs.早稲田大学
関東大学対抗戦Aは前半の4節を終了し、上位4校が全勝、下位4チームが全敗と明暗がくっきりと分かれている。今週末からは上位同士、下位同士が相まみえる。対抗戦の全国大学選手権出場枠は5チーム。順位によって全国大学選手権の組み合わせが決まるため、これまで以上に緊張感ある戦いが始まる。
11月6日(日)、埼玉県の熊谷ラグビー場では、明大対慶大、帝京大対早大の2試合が行われる。本コラムでは、選手権連覇に向かって快進撃を続ける帝京大と、3シーズンぶりの大学王座奪還を目指す早大という注目の一戦をご紹介したい。
両チームは春季大会と夏合宿で対戦している。春(6月5日)は早大上井草グラウンドで対戦し、52-26で帝京大が快勝。スクラム、接点のフィジカルバトルでも帝京大が優位に立つ展開だった。しかし、夏(8月21日)の菅平高原では、序盤に早大がトライを重ね、大きくリードする展開に。最終的には帝京大が逆転したが、スクラムは互角でチーム力の差は詰まったように見えた(スコアは、35-28)。果たして、3度目の対決はどんな内容になるのか。
帝京大学スターティングメンバー
対抗戦開幕からの4試合をみると帝京大は安定感が際立っている。3トライ差以上差をつけるボーナス点をすべての試合で獲得して勝ち点は満点の「20」。CTB松山千大キャプテンはじめ、FL青木恵斗(2年)、奥井章仁(3年)、NO8延原秀飛(3年)、SH李錦寿(2年)、SO高本幹也(4年)らの主力が全試合に先発して危なげなく勝ち進んでいる。11月4日に発表された登録メンバーには、既述のメンバーほか、不動の両PR高井翔太(4年)、上杉太郎(3年)、大学No.1のHOという呼び声高い江良颯(3年)も先発する。副将のLO江里口真弘(4年)、アウトサイドCTBとして攻守の軸になっている二村莞司(4年)も5試合連続の先発で、ベストメンバーといっていいだろう。
早稲田大学スターティングメンバー
一方、早大は全勝も苦しい試合が多い。9月18日の筑波大戦ではトライ数は上回られ、ボーナス点を獲得できず勝ち点は「19」。今回の帝京大戦ではここまでの強化の真価が問われるが、ゲームをコントロールするハーフ団をSH小西泰聖(4年)、SO野中健吾(1年)という今季初の組み合わせにしてきた。小西は体調を崩して長らく戦列を離れていたが、壮絶な努力を重ねて復調し、10月2日の日体大戦で1年8カ月ぶりの一軍復帰。今回は先発復帰を果たす。小西と言えば、爆発的なスピードで密集サイドをすり抜けるなどスピーディーなプレースタイルだったが、現在は、状況判断良く周囲を生かすプレースタイルになっている。野中は初のSOでの先発だが、試合中にSOの位置に入ることはあり、今回は、野中と吉村紘(4年)の10番、12番を入れ替えた形だ。よりボールが動くようになるのか注目である。
FW第一列は井元正大、佐藤健次、亀山昇太郎が5戦連続の先発。スクラムには時間を割いてきた早大だけに、ここで帝京大と互角以上に戦いたい。NO8にはキャプテンの相良昌彦(4年)が3試合ぶりに戻ってきた。FL村田陣悟(3年)、粟飯原謙(1年)とFW第三列を形成する。WTBは1年生の山下一吹(早実)を抜擢。トライの嗅覚に期待が高まる。また、同じく1年生の大器、WTB福島秀法(修猷館)がリザーブ入り。183cm、90kgというサイズで突破力あるプレースタイルを交代出場で披露できるか。
お互いに譲れないスクラム、卓越した状況判断とスキルでチームを引っ張る帝京大SO高本と、早大SO野中の対決など見どころは多いが、江良颯と佐藤健次という大学屈指のHO対決は一番の注目点だろう。いつか一緒に日本代表ジャージーをまとうかもれない才能のぶつかり合いである。チームを勝利に導くのはどちらなのか。楽しみな試合は、午後2時にキックオフされる。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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