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レキマ・ナミサラ(東海大学)
関東大学リーグ戦で5連覇を狙う東海大学が貫禄を見せた。
10月30日(日)、群馬・アースケア敷島サッカー・ラグビー場で行われたリーグ1位(3勝1敗)の東海大と、同8位(4敗)の関東学院大学の一戦。
今季の東海大は、開幕戦で東洋大学に敗戦(24-27)を喫したものの、以降は3連勝で暫定1位に。
大量リード後に逆襲された立正大学戦(47-21)など、パフォーマンスの一貫性に苦しむ試合もあったが、この日はミスが多発した前半から立ち直り、大勝で締めてみせた。
東海大は総合力で上回った。
ブレイクダウンでは序盤からNO8井島彰英がジャッカルを決め、初勝利を狙う関東学大の出鼻をくじく。
キャリアーの迫力も東海大が優位。
前半5分の先制点を挙げたのはWTB照屋林治郎。同じタッチライン際を警戒してしまった相手3人をステップで振り切り、先制トライを奪った。
ペナルティ数も前半3回の東海大に対し、関東学大は8回と多かった。
東海大はペナルティからのラインアウトモール、という必殺パターンを炸裂させ、前半9分に2トライ目。頼もしい先発フロントロー(PR井上優士、HO下江康輔、PR石橋慎悟)が引っ張るスクラムも終始優勢だった。
関東学大もこの後2連続でモールトライを防ぎ、SH服部莞太、SO立川大輝の佐賀工業出身コンビを中心としてスピーディーな連続攻撃も見せた。
しかし、ここで守護神のように立ちはだかったのがフィジー出身の23歳、191cm123kgの巨漢FLレキマ・ナサミラだ。
ナサミラはパワーに物を言わせた突進が魅力の一つだが、最上級生となった今季は守備に磨きが掛かった。相手突破後のラックへいち早く到着してジャッカル。総合力が高まり、スケールアップした。
前半の東海大はロングゲイン後に不確実なプレーを選択し、得点ペースを落としたが、前半32分にはFLナサミラがラインアウトからの単独キャリーで独走トライ。豪快にスコアを動かした。
ラグビー 関東大学リーグ戦2022
【ハイライト動画】関東学院大学 vs. 東海大学
東海大は前半37分にも意表を突くクイックスローインから1トライを追加したが、前半終了前のモール勝負では、再度のオブストラクションで得点できず。全体として精彩を欠いたまま、24-0で後半へ。
しかし後半の東海大は、前半の倍以上にあたる50得点を挙げた。
武藤ゆらぎ(東海大学)
まずは43分、絶対的司令塔となったSO武藤ゆらぎが、ボールを手放したかのように見えるパスダミーから独走トライを決めた――が、ここで関東学大も反撃する。
関東学大は守備でも奮闘するFL澁谷祥吾、NO8由比藤聖が激しいキャリアーとして身体をぶつけ続け、チームはCTB山村拓の突進から敵陣で猛攻。
最後は俊敏なSH服部が、パスダミー&ハンドオフでラック脇を突破。この日チーム初トライを決め、ビハインドは24点(7-31)。試合のムードを変えた。
しかし関東学大はタックル精度に課題。
トライ直後のボール確保に失敗すると、右隅に控えていた東海大のナサミラにタックラーが弾き飛ばされ、5トライ目を失う。
獅子奮迅のナサミラはアシストでも活躍し、後半16分には相手3人を引きつけてオフロードパス。CTB近藤翔耶のチーム6本目を演出した。
関東学大も途中出場組の松元陸、高(中が目)田凱斗らがエナジーを与えたが、東海大はカウンターラックからのキックパスで、初先発のWTB本間智貴が右隅へ。
終盤になってもナサミラの活動量は落ちず、途中出場の高橋の強烈タックルから、ナサミラが絡みついてターンオーバー。
関東学大もリザーブ組の村田建登が勝負を諦めないトライセーブを見せるなどしたが、後半41分にナサミラがハットトリック達成。さらに2トライを追加されて万事休す。
東海大はミスが多かった前半を修正し、後半だけで8トライを挙げて74-7で大勝。POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)はFLナサミラが受賞。チームは3トライ差以上のボーナス付きの最大勝点5を奪い、リーグ首位を守った。
5敗となった関東学院大の次戦は11月13日(日)、大東文化大学から2勝目(3敗)を奪った日本大学と、長野Uスタジアム(長野県長野市)で対決。
リーグ戦残り2試合、このまま5連覇まで突き進みたい東海大。次戦は11月13日、神奈川・小田原市城山陸上競技場で、1勝4敗の大東文化大学を迎え撃つ。
いよいよ終盤戦。関東大学リーグ戦の結末から目が離せない。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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