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日本 vs. ニュージーランド
10月29日(土)、ラグビーファン待望の「リポビタンDチャレンジカップ2022 ラグビー日本代表テストマッチ」が国立競技場で行われる。日本代表が世界のラグビー界きっての人気チーム、ニュージーランド代表オールブラックスに挑むのだ。チケットは完売。秩父宮ラグビー場はじめ、全国各地でさまざまなパブリックビューイングも行われ、注目度の高さに驚くばかり。試合前の儀式ハカ(ウォークライ)は誰がリードするのか、それを日本代表はどう受け止めるのか。2018年に味の素スタジアムで戦ったときには、リーチ マイケルキャプテンが中央に立ち笑顔でハカを見据えた。今回の坂手淳史キャプテンはどうするのだろう。そんな、一つひとつの仕草までもが語り継がれるのがオールブラックスとの戦いだ。
対戦が決まったとき、ジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチは次にようにコメントした。「オールブラックスを東京に迎えて、日本のファンの皆様の前で対戦できますことを、非常に楽しみにしています。国内でニュージーランドと、ヨーロッパ遠征でイングランド、フランスと、いずれも来年のワールドカップで優勝を狙う3チームと対戦することになり、とてもワクワクしています。このようなレベルの試合こそ、来年のワールドカップに向けたチーム強化のために必要です」
日本代表スターティングメンバー
10月27日に発表された日本代表メンバーは現状のベスト編成。、2019年のラグビーワールドカップ日本大会のメンバーは先発に9名(HO坂手淳史キャプテン、PR稲垣啓太、具智元、FLリーチ マイケル、姫野和樹、SH流大、CTB中村亮土、WTB松島幸太郎、FB山中亮平)。2019年以降に頭角を現したLOワーナー・ディアンズ、NO8テビタ・タタフ、CTBディラン・ライリーらが並ぶバランスのよい布陣だ。注目のSOは山沢拓也が先発する。深谷高校時代から天才とうたわれながら怪我に泣いてきたファンタジスタが、ついにオールブラックス相手に10番を背負う。長らく応援してきたファンは胸を熱くしているだろう。
前日練習の様子
「山沢の才能はコーチ陣の誰もが高く評価しています。春は怪我や体調不良もありましたが、今はコンディションもよく、ここで機会を与えることを考えていました」(ジョセフHC)。正確なキック、パス、自ら抜いて出るスピードをあわせもった山沢がそのスキルを駆使してオールブラックスのディフェンスを攻略できるのか。注目点の一つだ。ジョセフHCは「オールブラックスに勝つにはセットピースが大切です。スクラム、ラインアウトがコントロールできれば、トライがとれるでしょう」と話す。オーストラリアA代表との3連戦でもセットプレーからのサインプレーでトライを奪ったが、それとはまた違ったサインプレーを準備するのか。それとも裏の裏をかいて同じサインプレーでトライするのか。
ジョセフHC、アシスタントコーチのトニー・ブラウン(アタック担当)、ジョン・ミッチェル(ディフェンス担当)は、いずれも元オールブラックス。ミッチェルコーチは、オールブラックスのヘッドコーチ経験もある。ニュージーランドのラグビーをよく理解した3人が、勤勉な日本代表選手にどんなプランを授けるのか興味深い。特に作戦参謀のブラウンコーチの意表を突く攻撃プランは楽しみ。ディフェンス面では、オールブラックスの選手たちが得意とするオフロード(タックルされながらのパス)を許さない止め方ができるかどうか。序盤で日本代表からは簡単に得点できないという印象を刻みこみたい。
オールブラックススターティングメンバー
対するオールブラックスは、2018年の来日時同様、ヨーロッパ遠征の前に日本に立ち寄った。負傷者などに無理はさせず、これまで出場機会のなかった選手が多く起用される。それでもメンバーは豪華だ。85キャップのFLサム・ケイン主将、98キャップのLOブロディー・レタリック(元コベルコ神戸スティーラーズ)を軸にしたFWはスピードとパワーを兼ね備える。BKは41キャップのSOリッチー・モウンガがリードし、今年の8月に代表デビューしたばかりのスティーブン・ペロフェタがFBで先発する。13人制のラグビーリーグから転向したCTBロジャー・トゥイヴァサ=シェックのオフロードパスは要注意。両WTBはパワフルなケイリブ・クラークと、俊敏なセヴ・リースのコンビ。勢いに乗せれば手の付けらない選手ばかりだ。
フィジカル、スピード、スキルともに個々の能力はオールブラックスが上だ。日本代表としては準備したプレーで効率よく得点し、勝負の分かれ目となる後半残り20分に体力を残したい。いずれにしても総力戦になるが、リザーブスタートの下川甲嗣が出場すれば初キャップ獲得となる。無尽蔵のフィットネスを誇る下川の世界最高のタレント集団に挑むところも見てみたい。オールブラックスはフィールドのどこからでもトライを獲りに来る。80分間、目の離せない戦いになる。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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