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ラグビー コラム 2022年10月17日

【ハイライト動画あり】世界ランク1位のイングランド、フランスとのタイトな消耗戦を制し決勝トーナメント進出。ラグビーワールドカップ(女子)

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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イングランドのエースWTBマグドナルド

10月8日(土)にニュージーランドで開幕した女子15人制「ラグビーワールドカップ2021」。15日(土)16日(日)には各プールの第2戦が行われた。15日はファンガレイの「ノースランドイベントセンター」で3試合が行われ、プールCでは「レッド・ローズ」こと、イングランド代表と「レ・ブル」こと、フランス代表が激突した。

3度目の優勝を目指す世界ランク1位のイングランド代表は、初戦は84-19とフィジー代表に大勝。サイモン・ミドルトンHC(ヘッドコーチ)は2試合目に向けて前の試合からの先発変更を1名にとどめた。POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)に輝いたFL(フランカー)サディア・カベヤが膝の負傷のため、7番にマリー・パッカーが入った。

昨年の世界最優秀選手のLO(ロック)ゾーイ・オールドクロフト、2019年世界最優秀選手のCTB(センター)エミリー・スカラット、フィジー代表戦で4トライを挙げたWTB(ウイング)クラウディア・マクドナルドらが引き続き先発した。また、キャプテンのNO8(ナンバーエイト)サラ・ハンターはこの試合で137キャップとなり、女子ラグビーのテストマッチ最多タイに並んだ。

初優勝を狙う世界ランキング4位のフランス代表も、初戦の南アフリカ代表戦に40-5と快勝。こちらもトマ・ダラックHCはHO(フッカー)をアガット・ソシャが先発に、ロール・トゥイェをベンチに入れ替えたのみと1名の変更にとどめた。

今年のシックスネーションズのトライ王で、初戦で2トライを挙げたSH(スクラムハーフ)ロール・サンス、50キャップの節目となるFLマージョリー・マヤンらが引き続き先発した。フランス女子代表として最多キャップの85を誇るLOサフィ・ンディアジェと、NO8ロマーヌ・メナジェの双子の姉マリーヌが今大会初のベンチ入りをした。

イングランド代表は2019年7月以来、テストマッチで26連勝しており、ワールドカップの予選プールではこれまで一度も負けたことがない。また、フランス代表相手にも10連勝中だった。しかし、フランス代表はイングランド代表と接戦も多く、今年4月のシックスネーションズでも12-24だったこともあり、クロスゲームになると予想されていた。

イングランドは終始ボールを保持しアタックを続けた

勝利したチームが予選プール首位で決勝トーナメントへ進出する可能性が高まる。今回もイングランド代表が勝利するのか。勢いのあるフランス代表がワールドカップで、初めてイングランド代表に白星を挙げて弾みをつけるのか。予選プール注目の一戦は現地時間午後8時にキックオフされた。

序盤からイングランド代表がキックを使って敵陣にボールを運びアタックを仕掛けるも、フランス代表もディフェンスで粘り得点を許さない。ただ、フランス代表は前半10分を過ぎたところで、トライゲッターのSHサンスが右膝を痛めて交替。さらに16分にはNO8メナジェも負傷で離脱してしまった。

それでも、その後も膠着状態が続いたが、前半24分、イングランド代表がついに均衡を破る。マイボールラインアウトを起点にアタックを継続し、SO(スタンドオフ)ゾーイ・ハリソンがフランスの守備の穴をついて、クロスで入ってきたCTBスカラットにパスし先制トライ。コンバージョンも決めてイングランドが7-0と先制した。

その後もイングランド代表がボールを保持する時間帯が続くが、フランス代表も粘りのタックルで追加点を許さない。だが、前半終了間際にフランス代表がラックで反則。イングランド代表はCTBスカラットがPG(ペナルティゴール)を決めて、10-0でハーフタイムを迎えた。

後半に入ってもイングランド代表がアタックで優位に立つものの、フランス代表の守備への集中力はなかなか切れることはない。それでもイングランド代表CTBスカラットが2つ目のPGを決めて、13-0とスコアを広げる。

フランスNO8エルメのトライ

しかし、その直後の23分、フランス代表はSOキャロリーヌ・ドゥルーアンのクロスキックを7人制ラグビーの経験豊富なWTBジョアンナ・グリセが拾い上げて、最後は途中出場のNO8ガエル・エルメにオフロードパスし、エルメがそのままトライ。SOドゥルーアンのゴールも決まり、フランスが6点差と追い上げる。

女子ラグビーワールドカップ2021 ニュージーランド大会

【ハイライト】プールC フランス vs. イングランド

だが、その後は再び得点が動かず試合は13-7でノーサイド。連勝を27に伸ばしたイングランド代表が連勝し、プールCで2位以内を確保して決勝トーナメント進出を決めた。POMにはイングランドのFLアレックス・マシューズが選出された。

予想通りに接戦で勝利を手にしたイングランド代表ミドルトンHCは「こういう試合がしたかった。フランス代表は決して期待を裏切らない。本当にタフなラグビーで、ワールドカップにふさわしい、素晴らしい試合でした。最後の10分間でゲームをコントロールできたことが大きかった」と満足げに語った。

キャプテンのNO8ハンターは「フランス代表とはいつもタイトな試合で消耗戦になる。どちらに転んでもおかしくない緊張感のあるゲームだった。決勝トーナメントに進めたことは少し安心しているが、もう1試合、南アフリカとのフィジカルバトルがあるので、しっかり勝って首位で終わりたい」と気を引き締めた。

またしても僅差でイングランド代表に敗れ、2006年以来となる予選プールでの黒星となったフランス代表のダラックHCは「世界トップのチームと戦うのだからディフェンスが多くなるのは当然だ。そしていくつかのチャンスをものにしたイングランドに勝利の女神が微笑んだ。ミスもあったがポジティブなことだけを見ていきたいし、持てる力を発揮したチームのパフォーマンスに満足している」と笑顔を見せた

キャプテンLOセリーヌ・フェラーは「フランス代表は常に優れたディフェンスを持っているが、今夜はその分野で再びレベルを上げることができた。あきらめないこと、強く攻めること、相手の攻撃を難しくすること、そしてディフェンスで相手を苦しめることを今夜、証明されたと思います」と胸を張った。

勝ち点9で首位に立ち、決勝トーナメント進出を決めたイングランド代表は、10月23日(日)オークランド・ワイタケレスタジアムで南アフリカ代表と対戦し予選プール首位通過を狙う。勝ち点1を獲得し、勝ち点6で2位につけるフランス代表は10月22日(土)に、ファンガレイ・ノースランドイベントセンターでプール3位のフィジー代表と対戦し、勝利すればベスト8進出が決まる。

【10月15日(土)16日(日)予選プールの結果】
※( )は勝ち点、☆は決勝トーナメント進出決定

【プールA】
●スコットランド 12-14 オーストラリア○
●ウェールズ 12-56 ニュージーランド○

◆順位
1位☆ニュージーランド(10)
2位 オーストラリア(4)
3位 ウェールズ(4)
4位 スコットランド(2)

【プールB】
○アメリカ 30-17 日本●
●イタリア 12-22 カナダ○

◆順位
1位☆カナダ(10)
2位 イタリア(5)
3位 アメリカ(5)
4位 日本(0)

【プールC】
●フランス 7-13 イングランド○
○フィジー 21-17 南アフリカ●

◆順位
1位☆イングランド(9)
2位 フランス(6)
3位 フィジー(4)
4位 南アフリカ(1)

文:斉藤健仁/写真:WORLD RUGBY/Getty Images

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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