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ラグビー コラム 2022年10月11日

【ハイライト動画あり】天理大、関西学院大の好守に苦しみながらも勝点5を獲得。ラグビー関西大学Aリーグ第3節レビュー

ラグビーレポート by 直江 光信
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藤原 健之朗(天理大学)

最終的にはボーナスポイント付きの29-0の完封勝利。とはいえ天理大にとっては反省点の多い試合だろう。反対に関西学院大にすれば、勝点は取れなかったものの収穫は少なくなかったのではないか。

関西学院大の気迫満点のラッシュに降りしきる雨も重なり、天理大はゲーム序盤からエラーやペナルティを多発した。開始10分、ゴールラインまで10m付近のラインアウトから悠然とモールを押し切って先制。しかしその直後にダイレクトタッチと反則で勢いが途切れると、自陣ゴール前に攻め込まれあわやトライというシーンを作られる。

それでもすばやい戻りでこの危機を脱し、じわじわと陣地を盛り返すと、22分にふたたびゴール前ラインアウトを起点にFWで近場勝負を挑み、NO8パトリック・ヴァカタが右中間にグラウンディング。29分には相手ラックのこぼれ球に鋭く反応したSH藤原健之朗が、自陣から約70mを独走してインゴールに飛び込んだ。

さらに36分にはまたも敵陣ゴール前でのラインアウトモールからパワープレーで密集サイドをこじ開け、WTBマナセ・ハビリがトライ。思うように流れに乗り切れない展開ながら、スリッピーなコンディションを考えれば及第点といえる22-0のスコアで前半を折り返した。

しかしサイドが入れ替わった後半、強まる雨脚も味方にして衰えぬ出足でプレッシャーをかけてくる関西学院大の厳しいディフェンスに食い込まれ、天理大は長く沈黙の時間を強いられる。

セットプレーの優勢を利してたびたびチャンスを作るも、仕留めの場面で精度を欠き、なかなか得点に結びつけられない。逆に関西学院大は天理大の猛攻を断ち切るごとに勢いを増し、粘り強くひたむきな防御で何度も相手のエラーを誘ってはガッツポーズを突き上げた。

天理大がようやく次の得点を挙げたのは、残り時間もわずかとなった79分だ。敵陣ゴール前のスクラムを押し込んでペナルティを獲得すると、NO8ヴァカタがすかさずクイックタップで仕掛けて右コーナーに飛び込む。途中出場のSO田中心大が難しい角度のゴールを決め、29-0となったところで、試合はフルタイムを迎えた。

ラグビー 関西大学リーグ2022

【ハイライト動画】天理大学 vs. 関西学院大学

これで開幕3連勝とした天理大だが、セットプレーで圧倒し、大半の時間帯を支配していたゲーム内容を考えれば、攻めあぐねた印象が強い。ボールが滑る難しい状況だったとはいえ、つなぎの局面やキッキングゲームでイージーエラーが目立ったのは、今後の戦いに向け修正が必要な部分だろう。

一方でフラストレーションのたまる展開にもリーダー陣が中心となって辛抱強くコミュニケーションをとり、前節近畿大に快勝した相手を無得点に抑えて勝利したことは、確かな地力の証だ。リーグ戦、そしてその先の大学選手権を勝ち抜いていくためには、ゲームごとに見つかった課題を克服し、一戦一戦成長を重ねていくことがポイントになる。前節の立命館大戦に続いてタイトなディフェンスを経験し、ここからどのように戦い方をブラッシュアップしていくのか、次節の摂南大戦(10月23日11時45分キックオフ@天理親里)のパフォーマンスに注目したい。

関西学院大は結果としてノートライでの敗戦に終わったが、チームの身上であるディフェンスでは積み重ねてきたものを随所に発揮して奮闘した。泥臭くひたむきに食らいついてロースコアの接戦に持ち込み、少ないチャンスをモノにして競り勝つというスタイルに、選手たち自身も手ごたえを感じているはずだ。

現時点では1勝2敗の勝点5ながら、2強と目される京都産業大と天理大との対戦を終えていることを考えれば、大学選手権出場枠の上位3校入りの可能性はまだ十分ある。同志社大(10月30日11時45分キックオフ@宝が池)、立命館大(11月13日14時キックオフ@神戸ユニバー)と対戦する次節からの戦いが、こちらも楽しみだ。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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