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ラグビー コラム 2022年10月9日

【ハイライト動画あり】開催国ニュージーランド「ブラックファーンズ」、3万5000人の観客の前で開幕戦を逆転勝利。ラグビーワールドカップ(女子)

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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ニュージーランド代表「ブラックファーンズ」のハカ

10月8日、コロナ禍で開催が1年遅れたが、ニュージーランドで南半球初開催となる女子のラグビーワールドカップ(正式名称:ラグビーワールドカップ2021)が開幕した。

8日はオークランド・イーデンパークで3試合が行われ、プールAの初戦として、前回の2017年アイルランド大会の覇者でホスト国のニュージーランドが、隣国のオーストラリアを迎え撃った。

連覇で6度目の世界王者を狙う開催国の「ブラックファーンズ」こと、ニュージーランド代表は、前回のトライ王で世界最優秀選手に輝いたこともあるWTB(ウイング)ポーティア・ウッドマン、ルビー・ツイ、7人制のキャプテンFL(フランカー)サラ・ヒリニ、CTB(センター)ステーシー・フリューラーといった東京オリンピック金メダリストを含んだ経験値の高い選手が先発。

さらに20歳のNO8(ナンバーエイト)リアナ・ミカエレ トウゥー、23歳のCTBエミー・デュプレッシー、22歳のFB(フルバック)レニー・ホームズといった若手のバランスの取れた布陣で臨んだ。

初優勝を目指す「ワラルーズ」こと、オーストラリア代表も、主将のFLシャノン・ペリー、CTBシャーニ・ウイリアムズといったリオ五輪の金メダルメンバーを含む、前回大会の経験者6名がメンバー入り。主将経験のあるNO8グレース・ハミルトンと、PR(プロップ)リズ・パトゥ、元フィジー代表WTBネマニ・ナドロのいとこでベテランのSH(スクラムハーフ)イリセヴァ・バティバサヴァらと安定感のあるメンバーを中心で構成した。

ブラックファーンズは母国のファンに後押しされて負けるわけにはいかなかった。一方、過去22回の対戦で一度もブラックファーンズに勝ったことがないワラルーズは、初戦で難敵を倒して勢いに乗りたいところだった。南半球のライバル同士の一戦は、3万5000人を超える観客が見守る中、ブラックファーンズのハカの後、15時15分(現地時間)にキックオフされた。

序盤はオーストラリアのペース

先手を取ったのはワラルーズだった。前半13分、SO(スタンドオフ)アラベラ・マッケンジーのクイックタップから、右サイドにWTBビエンヌ・テリタが抜け出して隅にトライ。コンバージョンは決まらなかったものの、オーストラリアが5点を先制した。

その後もオーストラリア代表の攻勢が続き、16分に7人制から転向したWTBイヴァニア・ウォンが、相手のパスミスを拾って60mの快走を見せトライ。28分には再びWTBテリタがトライを決め、前半30分でワラルーズはブラックファーンズに17-0と大きくリードした。

だが、3トライを取られたものの王者ブラックファーンズはこのまま終わらない。31分にLO(ロック)ジョアナ・ナン=ウーが力強いランを見せトライ。36分には、WTBウッドマンが突破。そのままトライを挙げて、12-17と5点差に迫って前半を終えた。

後半に入ると流れは一気にオームのブラックファーンズの方向へ傾く。後半7分、ニュージーランド代表は相手のディフェンスを交わしてパスをつなぎ、最後はWTBウッドマンが抑えて、ついに17-17と同点に追いつく。さらに、13分、オーストラリア代表はキャプテンFLペリー、WTBウォンと二人にイエローカードが出てしまう。

16分、数的有利となったブラックファーンズは途中出場のPRアウヒナ・タンゲン ワイノフのトライで逆転に成功すると、21分にはWTBウッドマンがハットトリックとなるトライで31-17と突き放す。さらに28分、34分にWTBツイが畳み掛けるようにトライを決めて、結局、ニュージーランド代表が41-17で勝利し、3トライ差のボーナスポイントも獲得した。

前半大量リードを許しながらも逆転で初戦を制したニュージーランド代表ウェイン・スミスHC(ヘッドコーチ)は「多くの選手にとって、ワールドカップは初めてで、圧倒されたと思う。前半は、それを反映してか、個々人の準備の仕方にも不安があったし、ベストな状態ではなかったように思う。でも、ハーフタイムはとてもいい雰囲気で、落ち着いて、自分たちのゲームを展開することができた」と笑顔を見せた。

女子ラグビーワールドカップ2021 ニュージーランド大会

【ハイライト】プールA オーストラリア vs. ニュージーランド

後半に底力を見せたニュージーランド

FLルアヘイ・デマンド主将は「オーストラリア代表には、最初から本当に苦しめられました。チームの前半の締めくくり方と、試合の終わらせ方を誇りに思います。交代選手の動きもよかった」と語った。

この試合のプレイヤーオブザマッチに選出されたWTBツイは、「(前半0-17とリードされて)私は何度もこのような状況に陥ったことがあります。オージーとのライバル関係には、いつも筋書きのないドラマがあります。彼女たちのおかげで私たちのラグビーが成長してきた」と相手を称えた。

一方、初勝利のチャンスを逃したオーストラリアのジェイ・トレゴニングHCは「後半、ブラックファーンズは明らかに格の違いを見せつけた。私たちは攻撃のブレイクダウンの精度が足りず、相手にチャンスを与えてしまった。前半は、自分たちのプレーを見せられたが、一貫性に関しては、同じことの繰り返しだ。後半はブレイクダウンで正確さを欠き、規律を欠いたことで、相手にプレッシャーを与えることができませんでした」と悔やんだ。

キャプテンのFLペリーも、「前半の30分間は非常に良いスタートを切ることができたが、相手に逆転されてしまった。ポジティブなこともあったが、ネガティブなこともあったので、次までに改善したい。私たちはもっとプランを忠実に遂行し、ボールに対して忍耐強くならないといけない。ラックでボールを確保してポゼッションを獲得できるようにすることが非常に重要です」と反省を口にした。

勝ち点5を獲得しプールAで首位に立ったニュージーランド代表は、10月16日(日)にオークランド・ワイタケレスタジアムでウェールズ代表と相まみえる。善戦しながらも勝ちを獲得できなかったオーストラリア代表は、10月15日(土)にワンガレイ・ノースランドイベントセンターで、スコットランド代表と対戦する。

【10月8日(土)9日(日)予選プールの結果】※( )は勝ち点

◆プールA
○ニュージーランド(5)41-17 オーストラリア(0)●
●スコットランド(1)15-18 ウェールズ(4)○

◆プールB
●アメリカ(0)10-22 イタリア(5)○
○日本(0)5-41 カナダ(5)

◆プールC
●南アフリカ(0)5-40 フランス(5)○
●フィジー(0)19-84 イングランド(5)○

文:斉藤健二/写真:WORLD RUGBY/Getty Images

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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