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10月も2週目に入ってようやく気温が下がり始め、本格的なラグビーシーズンの到来を実感する季節になってきた。そうした中、関西大学Aリーグは今週末から来週末にかけて第3節が行われる。春季トーナメントで両校優勝を果たした京都産業大と天理大が前評判通りの強さを誇示する一方、大学選手権の出場枠(上位3校)をめぐる争いはさっそく激化しており、今後の展開を占う上で注目のカードが並ぶ節となった。
すでに全勝は京都産業大と天理大の2校だけで、4校が1勝1敗で追いかける状況の中、10月9日(日)の鶴見緑地球技場では天理大と関西学院大が対戦する(14時キックオフ)。関西学院大は昨季最下位と低迷したものの、多くの主軸が残った今シーズンは春、夏と手応えを感じる戦いを続けており、第2節では前年2位の近畿大に27-7で快勝した。昨年のリーグ戦でも天理大に17-38(前半は12-26)と健闘しているだけに、強い意気込みで臨んでくるはずだ。
近畿大戦では身上のディフェンスで出足鋭くプレッシャーをかけて相手のミスを誘発し、接点でひたむきに体を張り続けて後半に15点を奪って突き放した。中盤まではどちらに流れが傾くかわからない拮抗した展開の中、細かいエラーはありながらも集中力を維持し、ボーナスポイント付きの勝利を手にしたことはチームにとって自信になるだろう。非凡なランニングで2トライを挙げプレーヤーオブザマッチに選出されたFB武藤航生、昨冬の花園を制した東海大仰星の主軸で1トライをマークしたWTB中俊一朗のルーキー2人の決定力も光った。
京都産業大との初戦も19-69と大敗を喫したものの、厳しいコンタクトに慣れてきた後半は3トライを返して19-26と善戦しており、次戦に期待を抱かせる内容だった。FWはセットプレーに課題を残すものの、運動量豊富で献身的なハードワーカーがそろっており、BKには個の力で局面を打開できる世代屈指のタレントを擁する。強力なセットプレーとスピーディーな展開力を兼ね備える天理大が相手となる今節は、ここまで積み重ねてきたものをぶつけるこれ以上ないチャレンジの機会といえるだろう。
一方の天理大は開幕節で関西大を63-10と圧倒すると、第2節では初戦で同志社大を倒した立命館大の鋭い攻守に受けに回る時間帯もあったものの、要所でスコアを刻み36-13で2連勝を飾った。まだシーズン序盤とあって荒削りな部分も多く、本格化はもう少し先になりそうな印象だが、裏を返せばまだまだ成長の余地があるということでもある。立命館大戦の反省を経て迎える今節は、引き締まったパフォーマンスを見せてくれるはずだ。
戦力面で目を引くのはFWの充実で、スクラム、ラインアウトの安定感とそこからの多彩な仕掛けが、チームの大きな武器になっている。2年前の優勝メンバーであるNO8山村勝悟の不在(ケガで離脱中)を感じさせない支配力を発揮しており、この試合でもセットプレーを起点としたアタックで関西学院大に圧力をかけていくだろう。BK陣では1、2戦でそれぞれプレーヤーオブザマッチを獲得した堀田恒司、上野颯汰の両CTBの攻守に渡る安定感抜群のプレーぶりが光る。
その天理大から登録メンバーを見ていくと、FW第1列はPR宮田悠暉、HO谷口永遠 、PR松野楓舞が先発。LO陣は3戦連続でナイバルワガセタと渡邉完徒のコンビだ。バックローは鄭兆毅、照井悠一郎の両FLにNO8パトリック・ヴァカタという前節と同じ3人が務める。
BKはSH藤原健之朗が今季初先発で、SO福本優斗とペアを組む。TB陣はWTB津野来真、CTB堀田恒司、CTB上野颯汰、WTBマナセ・ハビリの4人で、FBには小松頼斗が入った。前節からの変更は3番松野、9番藤原、15番小松の3人だ。
対する関西学院大の先発は、FWがPR黄世邏、HO山田哲平、PR安達朋樹と川内悠斗、入江元気のLO陣、兪瑛士と稲垣直希の両FLまで前節の近畿大戦と同じ。NO8には185cmの大型ルーキー、小林典大が前節リザーブから繰り上がった。
BKはSHに金築達也が入り、キャプテンの坂原春光は9番から10番へシフト。11番加藤匠朗と本山峻也、冨岡周の両CTBが前節と同じ位置での先発だ。14番は伍々拓也で、1年生の中俊一朗は今季初めてFBでの登場となる。
試合の焦点としては、天理大のセットプレーでのプレッシャーに対し、関西学院大FWがどこまで反則をせず踏ん張れるかが、最大のポイントになるだろう。ペナルティ奪取からタッチキック→敵陣でのラインアウトというシーンが増えれば、天理大の優位は動かない。関西学院大にすれば規律を保ち、ミスを減らしてできるだけスクラムを組まない展開に持ち込むことが、善戦の条件だ。
お互いに意識して強化に取り組んできたコンタクト局面の攻防も、この試合の見どころのひとつ。両校とも骨惜しみせず体を張れる選手が各ポジションに並んでおり、序盤から激しいバトルが繰り広げられるだろう。サイズとパワーで上回る天理大、鋭いヒットが持ち味の関西学院大、それぞれの意地とプライドのぶつかり合いが楽しみだ。
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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