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連敗阻止へ。先発15人の総キャップ数は「196」から「260」になった。
2023年W杯へ向けて、今秋は欧州ツアーを含めた6連戦で実戦経験、選手層に厚みを持たせていく方針の日本代表。
先週10月1日(土)は、JAPAN XVとして臨んだオーストラリアA(豪代表予備軍)との3連戦初戦で、22-34の逆転負けを喫した。
第2戦は東京・秩父宮から西へ移動し、10月8日(土)、福岡・ベスト電器スタジアムで豪州Aとの第2戦に臨む。
JAPAN XV スターティングメンバー
ジャパンは先発15人中6人を変更する。
19年W杯戦士であるFL姫野和樹(22キャップ)、WTB松島幸太朗(44キャップ)が先週のリザーブからスタメンへ。そして首の手術からの復帰戦となるCTB中村亮土(30キャップ)は初出場・初先発を飾る。
日本代表のジェイミー・ジョセフHCは、10月末のニュージーランド代表戦、11月の欧州ツアーを見据え、彼らのコンディションを上げていくことが重要、と語った。
「松島は質の高いクオリティーのある選手で、(第1戦では)ベンチから出てきてコーナーにトライを獲ってくれました。怪我から復帰しているので、自信をつけることがすごく大事です」
「松島だけではなく、姫野、中村も怪我明けになります。これからの大きな試合へ向けて、彼らのコンディションを上げて自信を付けさせていくことが重要です」
さらにCTB中村について質問された指揮官は「彼(中村)は回復力があり、スマートさがあり、タフです」と信頼感を口にした。「彼の経験は、特に後半に必要になってくるでしょう。(第2戦を)楽しみに見たいと思います」
今秋初先発となる残る3人は、スクラムでの活躍が期待されるPR垣永真之介、リザーブから繰り上がる流経大柏高出身のLOワーナー・ディアンズ。
そして今夏日本代表にデビューした21歳のSO李承信だ。足首の捻挫からの復帰となる。
「李に関しては、可能性のある選手だということをフランス戦で証明してくれました」とジョセフHC。「試合経験をたくさん積むことが彼の未来にとって良いことです。10番としてチームをドライブさせ、コントロールしてもらいたい。試合中の対応力も重要です」
ジョセフHCは今秋、ボール保持とキックのバランスを強調している。今夏のフランスとの第1戦では「ボールを持ち続けることは良くない、ということを学びました」(ジョセフHC)。司令塔である李には、チームの勢いを考慮した上での「攻撃継続orキック」の判断が求められている。
そのほかのメンバーで連戦となるのは、FWでは、HO坂手淳史キャプテンをはじめPRクレイグ・ミラー、LOジャック・コーネルセン、FL下川甲嗣、NO8リーチマイケルの5名。
第1戦でノンキャップながら、ジャッカルを決めるなど傑出したパフォーマンスを見せたのが下川甲嗣。草ヶ江ヤングラガーズ-修猷館高校出身の下川は、故郷・福岡に凱旋となる。
「彼(下川)を成長させていく」とジョセフHCは明言した。「彼は未来ある選手。継続して使用していきたいと考えています」
BKで第1戦に続いて先発を飾るのは、中盤でのゲームコントロールが光ったSH齋藤直人、第1戦では後半5分にトライも決めたWTBシオサイア・フィフィタ。
リザーブの変更は5箇所。第1戦で先発した大分出身の木津悠輔、福岡・北九州出身の中野将伍、ゲラード・ファンデンヒーファーが途中出場組となる。
リザーブに新たに入ったのは2名だ。
第1戦から今回メンバー外となったのは、怪我で代表離脱のLOサナイラ・ワクァ、「練習中にヒザを少しひねってしまった」(ジョセフHC)というFLピーター・ラブスカフニ、SO中尾隼太、PR竹内柊平、FB野口竜司の5名だ。
ちなみにもう一人の司令塔、山沢拓也は、来週のセレクションに入ってくる、と指揮官は言った。
「(山沢は)脳しんとうでなかなか練習に参加できていませんでしたが、今週からしっかりフルトレーニングに参加しています。もう1週間くらいすれば彼のコンディションも上がってくると思います」
「彼にも自信を付けさせていくという意味で、プレッシャーのかかる試合の前にしっかりトレーニングをすることが重要です。来週のセレクションには入ってくるのではと思っています」(ジョセフHC)
相手となる豪州Aは代表予備軍だが、パシフィック・ネーションズカップ(PNC)では、国代表相手に好成績を残している。
大会初戦のサモア代表には5点差(26-31)で敗れたものの、その後フィジー代表、トンガ代表に連勝して2位。W杯常連国である南太平洋の強豪3カ国と伍する力がある。
代表経験者も多く、クレバーであり、第1戦では日本代表のダブルタックルが機能していると見るや、FW間のショートパスを多用して突破を重ねた。
ジャパンは第1戦で終盤に3連続トライを許して破れた。一貫性が重要、とジョセフHCは気を引き締める。
「5、60分は相手にプレッシャー掛けることができましたが、最後の15、20分にソフトなトライを獲られました。次の試合(第2戦)は一貫性が必要です」(ジョセフHC)
オーストラリアA スターティングメンバー
第2戦の豪州Aのメンバーは、総キャップ数が「36」の若いチームだ。
先発15人中14人が10キャップ以下。
ノンキャップはSHライアン・ロネガン主将を含めて8名もおり、経験値ではジャパン・フィフティーンが大きく上回る。
要注意は、196センチの巨漢PRポネ・ファアマウシリ(3キャップ)。猛烈なビッグヒッターであり、ジャパンは精度が高まるダブル・タックル、堅守で対抗したい。
ジャパンは第1戦で課題となった一貫性、そしてボールを持ち込んだ際のボール・セキュリティを改善したい。
ハーフ団によるゲームコントロール、そして合宿で鍛錬を重ねてきたキックゲーム、エア・コリジョン(空中戦)のボールの行方も要注目だ。またセットピースの立て直しにも期待したい。
活動休止となったサニックス(宗像サニックスブルース、福岡)でプレーしていた元日本代表のジョセフHCにとって、第2戦の舞台となる福岡は馴染みがある。
「福岡に戻れることはすごく嬉しいです。サニックスでプレーしていたので、福岡はゆかりのある場所です」
ラグビーの盛んな福岡で、九州で、日本代表ジャージーの躍動する姿が見たい。ファンの、子ども達の熱狂が見たい。
待ちきれないキックオフ時間は、土曜日(8日)の午後2時だ。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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