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開幕2連勝の東洋大学が、いよいよ関東大学リーグ戦の主役になるのか――。
関東学院大戦ではミスに苦しみながらも7点差で粘り勝ち。
SH神田悠作(4年)のコメントには、試合のたびに成長している手応え、まだまだ成長できるという確信があった。
「今日のような試合で勝ち切れたことは自信になりました。自分たちにもっとフォーカスしてやれることはもっとあると思うので、この勝ちに浮かれず、次の一週間でしっかりと準備していきたいと思います」
いよいよ「東洋旋風」が強大化しそうな気配だが、10月2日(日)、埼玉・セナリオハウスフィールド三郷で立ちはだかるのは、昨季リーグ戦3位の大東文化大学だ。
しかし「モスグリーン軍団」大東大は1967年のリーグ戦発足以来、78年度を除き1部で闘ってきた選手権優勝3度の伝統校。
トップレベルで切磋琢磨してきたアドバンテージがあり、開幕戦勝利が30年振りの1部白星だった東洋大にとってはチャレンジとなる。
今回の注目点の一つはラインアウトの攻防だろう。
東洋大の東海大撃破の要因のひとつは、効果的だったラインアウト・ディフェンスだ。
211センチのLOジュアン・ウーストハイゼン(1年)を前に立たせ、相手のスローワーにプレッシャーをかけ、再三ミスを誘った。
大東大戦のメンバーが発表されており、1週間前から先発6人を変更。東海大学戦の顔ぶれに戻った。
ロックには、そのLOウーストハイゼンが先発に復帰。東海大戦の最終盤に試合を決めるタックルを放った、岩手・黒沢尻工業出身の SO土橋郁矢(4年)も戻ってきた。
そしてHO谷名樹、CTB繁松秀太、CTB大島暁、そしてWTBモリース・マークスも開幕戦以来のスタメン復帰となった。
東洋大が今季のラインアウト・ディフェンスに成功体験がある一方で、大東大は先週の流経大戦でラインアウトの精度に苦しんでいる。
1988年度の優勝キャプテンである日下唯志監督は、2つ目の黒星を振り返り、ラインアウトにおける劣勢に言及した。
「今日(流経大戦)の立ち上がり、良いアタックで先制することができたのですが、反則が重なる中、流通経済大学さんに流れを持っていかれてしまったという状況です」
「後半は風上になるということで、エリアを取ればチャンスは必ず出てくると臨みましたが、特にラインアウトのミスが数多く出てしまい、うちのペースをなかなか掴めないまま試合を終えてしまった、という流れだったと思います」
大東大はこだわりのあるスクラムでもペナルティがあった。
そのスクラム、ラインアウト、ブレイクダウンがボールの供給基盤として安定すれば、大東大は持ち前の攻撃力を存分に発揮できるはずだ。それだけのメンバーが揃っている。
大東大は先週から先発1名を変更。下級生から主力の共同主将、FB青木拓己(4年)が今季初先発を飾る。
そのほかの先発メンバーに変更はなく、もう一人の共同主将であるハードワーカーのFL吉瀬航汰(4年)、弾性に富んだ突破役であるNO8リサラ・フィナウ(2年)らのFW陣。
BKでは、攻守に決定的な仕事をするCTB戸野部謙(4年)、それぞれ独特の突破技術を持つ両翼のWTB小田嶋生吹(3年)、WTB松田武蔵(4年)らがスタメンとなる。
大東大の視点に立てば、連敗脱出を懸けた重要な一戦だ。東洋大の引き立て役になるわけにはいかない。豊富なタレントで連敗脱出、今季初勝利を掴みにいく。
接点の攻防、ディフェンスのバトルにも注目したい。
大東大は開幕戦で4トライ、第2戦では5トライを獲っており攻撃力はある。まずは強化しているディフェンスで失点を抑えたい。
一方で東洋大もディフェンスで自信を深めている。フィジカルレベルの違う1部の開幕戦で、あの東海大を凌駕したのだ。あの堅固な守備ラインを今週日曜日にも再現できるか。
東洋大が開幕3連勝で台風の目となり、「東洋旋風」を本格化させるのか。それとも伝統校、大東大が逆襲の1勝を手にするのか。
混戦模様の関東リーグ戦。ファン要注目の一戦だ。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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