京都産業大学、関西連覇と大学王者を目指す。ラグビー関西大学リーグ

チームを引っ張る福西隼杜 共同キャプテン

昨季の全日本選手権でベスト4に進出し、準決勝で帝京大学と接戦を繰り広げた京都産業大学。7月に行われた春季トーナメントでは、天理大学とともに両校優勝に輝き、順調な滑り出しを見せた赤紺軍団。

「いついかなる時もチャンピオンシップを目指す」というチーム理念のもと、関西連覇、悲願の大学チャンピオンへ新たなスローガン「TOUGH」を掲げる。就任2年目を迎える廣瀬佳司監督は「京都産業大学らしく闘うというのは変わらず、今年もやっていきたい」と意気込みを語った。

就任2年目を迎える廣瀬佳司監督

今年は2人の共同主将が率いる。最前線でタックルを繰り返しチームを引っ張るFL（フランカー）／NO8（ナンバーエイト）福西隼杜（報徳学園・4）が率いるFW（フォワード）はセットプレーが強み。しかし、夏合宿ではセットプレーから得点したものの、関東の強豪相手に安定せず課題が浮き彫りになった。京産大勝利の方程式に欠かせないセットプレー、修正することができれば間違いなく大きな武器になる。

もう1人の共同主将、家村健太（流経大柏・4）は「僕は味方にも思ったことがあったら言うようにしている。言わなきゃいけないので」と練習から積極的に声を出す熱いキャプテンだ。

BKを率いる共同主将の家村健太

家村率いるBK（バックス）は例年以上に強力になっている。SO（スタンドオフ）からCTB（センター）にポジションを移した家村と、SO西仲隼の2人がダブルSOとしてボールを展開できる。外にはトライまで運べる破壊的なラインブレイカーのシオネ・ポルテレ（目黒学院・1）、小柄ながらもパワフルな北山絢大（東海大仰星・4）という両WTB（ウィング）が控える強力な布陣だ。

福西は注目ポイントとして「BKも多彩でうまい選手や速い選手も多いので、今年はFWだけでなくBKでも点をとれるチーム」、家村はシーズンに向けて「まずはスクラムとラインアウトで京産として戦って行きたい」とそれぞれ語った。背中でチームを引っ張る福西、成長のために叱責を厭わない家村とバランスのよい二人。互いを注目ポイントに挙げるなど、強い信頼関係が伺える。

攻撃面でバランスの良い京産大、鍵になってくるのはディフェンスだ。昨年、粘り強いディフェンスで何度も接戦を重ね自信を付けてきた。スローガンである「TOUGH」には「もう京産大とは試合をしたくないと思わせられるタフなチームになろう」という意味が込められている。京産大の代名詞である「ひたむきさ」に裏付けられた、前に素早く、また粘り強いカバーを繰り返すディフェンスが今年も各大学を苦しめるだろう。

8月に敢行した夏合宿では、昨季は1点差と僅差で上回った日本大学に68-28と大勝し今季の順調ぶりを発揮。しかし、早稲田大学との一戦では22-40と遅れをとった。大学選手権を見据えた早大とのこの試合、家村は「いい勉強になったというか、いいタイミングだった。早稲田さんと試合させてもらって僕たちの状況を把握できたことは、すごくプラスに捉えています」と語る。

現状の立ち位置を把握し、着実に成長へ繋げようという京産大、ホーム京都に戻ってからの練習では時間より早めに集合、練習後にも多くの選手が自主練で課題を重点的に練習するなど、チーム状況の良さも伺える。元日本代表・元木由記雄GM（ゼネラルマネージャー）はこの雰囲気を「今年のチームはAチームから1番下のチームまでみんな一生懸命やっている」と語った。

昨季の関西制覇、全国ベスト4を自信に春季トーナメント優勝、そして菅平合宿での価値ある敗戦。勝ち負けともに充実しているここまでの京産大、悲願の大学チャンピオンに向けて伝統を引き継ぐ京産大らしさに注目したい。

文：出口敬介（京産大アスレチック）