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筑波大学vs.明治大学
勝負の秋が始まる。
2022年9月10日(土)に開幕節を迎える関東大学対抗戦Aグループ。
昨季の成績では、明大が大学選手権準優勝、筑波大が対抗戦6位(3勝4敗)で大学選手権不出場だが、明大・神鳥裕之監督の警戒度は最高レベルだろう。
神鳥監督は長野・菅平高原で行われた筑波大の練習試合を見たという。
「(筑波大は)非常に緊張感のある相手です。菅平のゲームも完成度が高かった。ひたむきに闘ってくるチームカラーで、筑波大学さんのいつもの真面目なチームカラーがさらに出ていると感じています」(明大・神鳥監督)
昨季の筑波大は、開幕戦で優勝した帝京大学に10点差(7-17)と肉薄している。
部員寮がない等、環境面の難しさはあるものの、自主自立と創意工夫をもって全国強豪であり続ける「国立の雄」は、どの大学にとっても難敵だ。
筑波大学
大学日本一を目指し、筑波大が今季掲げたスローガンは「バチバチ」だ。
「4年生が話し合って、シーズン最後までグラウンドで話せる言葉を発したい、ということでした。ずっと大事にしているコンタクトエリアのプレー、またチーム内でしっかりぶつかりあおう、という意味もあります」
そう語るのは2009年からヘッドコーチを10季務めた経験もある嶋崎達也監督だ。
さらに今季は現役を引退した目崎啓志氏(元浦安SA)がFWコーチに就任。村上大記氏(元宗像サニックス)もBKコーチに復帰するなど、指導体制が充実した。
秋シーズンまでの戦いを振り返る嶋崎監督の言葉からは、チームへの厚い信頼が感じ取れる。
「春季大会を含めて、リードされる展開の中でも諦めずに追いかけていました。切れてしまったゲームはありません。どんな状況からも最後まで諦めず食らいついていく、という良い経験ができました」
秋の本番では、より一層の執念が見られることは間違いない。明大は土曜日の駒沢で、いくらリードしたとしても諦めない相手と対峙しなければならない。
ハーフ団は九州出身コンビ。SH白栄拓也(3年/宮崎・高鍋高)と対抗戦デビューのSO楢本幹志朗(1年/東福岡)だ。
ルーキーWTB濱島遼はOBの福岡堅樹の後輩にあたる福岡高校出身。高(中が目)田賢臣(3年)は埼玉・浦和高時代、同校初のベスト16進出に貢献したFBだ。
明大との開幕戦へ向けて嶋崎監督は、勝つための準備をしてきた、と気合十分だ。
「(明大は)強いフォワード、良いランナー、前に出すキッカーがいます。簡単に勝てる相手ではないと思いますが、勝つために準備をしてきたのでしっかり勝負をしていきたいです」
明治大学
明大は2018年度以来4季ぶりの大学日本一へ向けて重要な初戦となる。
石田吉平主将の下で『AHead』をスローガンに掲げた明大は、武器となったフィットネスに加え、昨季決勝で課題になったフィジカルを強化。
春季大会Aグループを4勝1敗(3位)で終え、8月上旬から福島合宿、19日(金)から菅平合宿を行ったが「8月は体調不良や怪我などがあり、想定以上に思うような活動ができませんでした」(明大・神鳥監督)
菅平の練習試合では天理大学Aと同点(12-12)。そして帝京大学Aには19-54で大敗を喫した。
主力数名の不在もあったが35点差での敗戦はショッキングだ。
ただ同日行われた帝京大学B戦で、Bチームが35-14で勝利したことはポジティブだろう。神鳥監督は順風満帆とは言えなかった夏をこう振り返った。
「春シーズンは公式戦で1敗して、目指していた結果には届きませんでした。夏に成長して対抗戦に向かっていきたかったですが、その矢先に怪我にだったり体調のコントロールがうまくいかない部分もありました」
「しかしネガティブな状況をいかにポジティブに変えられるか――そこが本当に強いチームのポイントだと(チームに)伝えています。いずれ、8月の取り組みがあったからこそ成長できた、と振り返えられるようにしたいです」
大学ラグビー注目選手!
【動画】明治大学 山本嶺二郎選手への開幕直前インタビュー
公表された明大の先発15人は、4年生が3名(PR中村公星、CTB齊藤誉哉、WTB原口虎太郎)という布陣。残りは2、3年生だ。
FWは8名中6人が3年生。
スローイングに定評のあるHO松下潤一郎、帝京大A戦でもスクラムパワーを見せていたPR為房慶次朗。ラインアウト理論に長けたLO山本嶺二郎らだ。そして背番号8を託されたのはFW唯一の2年生、木戸大士郎。
「我々(明大)としては、受けないこと。こちらがひたむきに闘わないと厳しくなります」(明大・神鳥監督)
モバイル性能と勤勉さが加わった令和時代の重戦車、ランナーたちは、難敵を相手にどんな戦いを披露するのか。
勝負の季節がやってきた。大学日本一へ向けて、若武者たちの本気がぶつかりあう。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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