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前半はワンサイド・ゲーム。真紅のジャージーが圧倒した。
8月27日(土)、昨季4大会ぶり10度目の優勝を遂げた帝京大学と、準優勝だった明治大学の練習試合が、長野・菅平高原で行われた。
昨季決勝ではフィジカル勝負で劣勢となり前半無得点に終わった明大は、今季よりフィジカル強化に注力。春季大会では35-26でリベンジした。
しかしラグビー合宿の聖地・菅平での再戦では、真紅のジャージーを着た帝京大が力を見せた。
帝京大は35-28で競り勝った6日前の早稲田大学戦から、先発2名を変更。新たにHO津村大志、LO江里口真弘がスタメンに。
一方の明大は、主力が投入された6日前の天理大学戦(12-12)から先発の4箇所を変更。
LO亀井茜風、SH萩原周、WTB林哲平、ルーキーでは唯一CTB山村和也が入った。昨季決勝に先発しているCTB石田吉平主将、PR大賀宗志、CTB廣瀬雄也ら5名はメンバー外となった。
古瀬健樹レフリーの笛で始まった真夏のデイゲーム。
まずハイレベルな活動量で先制トライを奪ったのは、8番からフランカーに転向した帝京大の奥井章仁だ。
FL奥井は前半4分、好タックルで落球を誘った。ここで相手の反則があり敵陣に攻め入ると、FW間のショートパスから豪快な突破。そのままBK並みの快足を飛ばしてインゴールへ入った。
7点を先取された明大。序盤は快調だった。
帝京陣内で波状攻撃を加え、10次攻撃目でLO亀井がラインブレイク。パスの連携ミスで得点はならなかったが、強化したフィジカルで好勝負を展開した。
しかし明大は、2回続いたパスミスを拾われて攻守交代が起きると、オフロードパスの連続で次々にゲインを許す。
ここでハミルトン・ボーイズ高校(NZ)出身のWTB小村真也が、鮮やかなラン&パスで2トライ目を演出。帝京大が14点を奪った。
帝京大は次第に衝突局面で優位に立った。
好調のFL奥井は相手をドミネートする猛タックル。その後ジャッカルでも攻守交代を起こす大車輪の活躍を見せた。
大学ラグビー2022開幕直前! 菅平合宿 練習試合
【ハイライト動画】明治大学 vs. 帝京大学
3トライ目を演出したのは、花園決勝で大阪桐蔭の両センターとして優勝を経験した2人。10番高本幹也のパスを受けた12番松山千大主将が突破し、3本目を決めた。
注目されたスクラム合戦で、前半の明大は反則に泣いた。
相手ボールスクラムでは2連続の反則(ともにアングル)。2度目の反則からエリアを後退し、モールで帝京大PR高井(高ははしご高)翔太に4本目を奪われた(ゴール失敗)。
無得点の明大、ビハインドはついに26点に。
帝京大は止まらなかった。絶対的司令塔であるSO高本は、瞬時にチャンスを見つける戦況判断が秀逸だった。
前半30分にはキックカウンターでエリア右での優位を察知。ランでみずから攻略し、WTB小村のトライを演出。
さらに前半38分には帝京大がスクラムで、この日初めてのPK奪取によるターンオーバー。フロントローが雄叫びを上げた。
前半のスコアは、帝京大の33点リードという衝撃展開。
しかしフィットネスも武器である明大は、後半に強かった。
まず後半の出だし、ラインアウトからの一次攻撃で、ブラインドから参加した途中出場の秋濱悠太が独走トライを決め、チーム初得点。HO松下潤一郎の正確なスローイング、パスを送ったCTB齊藤誉哉の仕掛けも利いた。
さらに明大は反則が多かったスクラムを修正、反転攻勢した。
後半7分、自陣ゴール前の相手ボールスクラムで、PR為房慶次朗らがトイメンに勝ち、会心のスクラムターンオーバー。
メイジらしいFWプレーで主導権を取り戻すと、スピードのあるFL森山雄太の突破も。さらにFW一丸のモールでHO松下がチーム連続トライを決めるなど、後半の強さを披露した。
試合途中からスクラムハーフに入ったSO池戸将太郎のゴール成功で、ビハインドを18点に縮めた明大。その後自陣ゴール前のピンチもしのぐなど、充実の時間を過ごした。
しかしセットプレーから均衡が崩れてしまった。
明大はここまで好調だったスローイングでノット・ストレート。直後のスクラムでもコラプシングの反則を取られると、帝京大が一気呵成にラインアウトモールで仕留めた。
息を吹き返した帝京大。相手反則(オブストラクション)から速攻したSH李錦寿がインゴールへ入り、連続トライ。帝京大のリードはふたたび33点(47-14)となった。
明大は途中出場組もエナジー高くプレーし、モールでも一本取り返した。
しかし終盤には帝京大のFL青木恵斗が左隅で相手を弾き飛ばし、豪快なフィニッシュ。ゴールも成功し、帝京大が54-19で快勝した。
やはり今年の「本命」は帝京大なのか――。
そう思わせるだけの快勝劇を披露した真紅の軍団は、9月11日(日)に関東大学対抗戦の初戦を迎える。相手は立教大学だ。
明大との再戦は3か月後の11月20日(日)。そのとき両軍はどんな姿で会場の秩父宮ラグビー場に現れるのか。
名門メイジとして、敗戦を糧にさらなる成長を遂げたい。なお同日行われたBチーム同士の対戦では、明大Bが35-14で帝京大Bに勝利している。
選手層、全体の士気では一歩も引かない、負けられない明大。
対抗戦の初戦は9月10日(土)。東京・駒沢で激突する相手は筑波大学だ。夏合宿を乗り越えた各校が、いよいよ勝負の秋へ向かう。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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